1月17日の朝日新聞に、砂原庸介・神戸大学教授が「選挙制度改革、まず地方議会を。多数派作れず機能不全、野党の組織作り阻む」を書いておられます。
・・・選挙制度改革と言えば、しばしば国政選挙が念頭に置かれる。しかしまず改革が必要なのは地方議会の選挙である。この選挙制度が議会の機能不全をもたらすとともに、国政での野党の統合を阻んでいるからだ。
日本の地方議会の選挙制度は、基本的に選挙区から複数名を選ぶ大選挙区制であり、有権者は1人1票を持った上で候補者を1人選んで投票する。伝統的に日本政治で用いられてきた投票方法だが、議員たちに多くの有権者の支持に基づく多数派を形成させるという観点からは、この制度は深刻な欠陥を持っている。
まずは候補者が個人として選挙を戦うために、自分と考え方が近い候補者がライバルになることだ。そのため、例えば「子育て支援」を訴える候補は、似たような政策を訴える候補より票を集めようとして差異を強調する。同じ子育て支援でも、この地域に特化しますとか、幼稚園よりも保育所に手厚い支援をしますといったアピールである・・・
・・・地方議会の選挙制度に対する現実的な代替案としては、非拘束名簿式比例代表制を挙げたい。個々の候補者への投票を政党ごとに合算して議席配分を行い、政党内での得票順に候補者に対して議席を割り当てる制度である。この制度のメリットは、得票が政党ごとに合算されるので、考え方が似ている候補者が連合を組みやすくなることである。政策の一致する候補者同士が協力することは、地方だけでなく国政でも安定した政党がつくられる基盤となるだろう・・・
的確な指摘であり、提案も現実的です。原文をお読みください。