年別アーカイブ:2017年

復興が進む原発被災地

2017年10月2日   岡本全勝

原発被災地では、順次、避難指示が解除され、生活が戻りつつあります。
10月2日のNHKニュースが、南相馬市小高区での、稲作の再開を伝えていました。「避難指示解除で7年ぶりの稲刈り」。この取り組みは、このページでこの春に紹介した、舞台ファームが取り組んでいるものです。
今年は夏の日照不足があり心配していましたが、作柄は平年並みとのことです。

また、避難指示が解除できない帰還困難区域でも、地域を限って復興の拠点を作る計画です。9月30日には、大熊町で起工式が行われました。

政と官の関係の変化

2017年10月2日   岡本全勝

朝日新聞10月1日の「安倍政治を問う5」は、官邸主導による行政を検証しています。この20年間の政治と行政において大きく変わった一つが、官と政との関係でしょう。詳しくは本文を読んでください。

まだ、政治学も行政学も、この変化の全体像を分析することも、記述することもできてていません。官僚も、積極的な発言をしていないようです。この記事のような、事実の記述と分析が積み重なって、評価の枠組みができるのでしょう。
その場合は、次のような論点が必要です。何が、どのように変わったか。その変化は、なぜ起きたか。制度改革によるのか、運用によるのか、社会条件の変化によるのか。当事者は、どのような行動をとったか。改革の意図と結果はどのように違うか。構造として変わったのか、時の内閣によって変化するものか。マスコミと国民はどのように評価したか・・。

私も、興味を持って勉強していました。というか、私のライフワークは、これなのです。このホームページでも「政と官」という分野を作り、「行政構造改革ー日本の行政と官僚の未来」という連載もやっていたのですが。その後、忙しさにかまけて、放置したままです。いつものように反省。

キレるコオロギとその社会復帰

2017年10月1日   岡本全勝

KDDI総合研究所の「季刊 Nextcom31号」に載っている、長尾隆司・金沢工業大学教授の「キレるコオロギの社会復帰」が興味深かったです。詳しくは、原文を読んでいただくとして。
集団で飼育したコオロギと隔離して育てたコオロギを闘わせると、隔離コオロギが圧倒的に強く、しかも透明なケースで隔離したコオロギは、ひたすら攻撃を続け、最後は相手をばらばらにして食べてしまうほど凶暴なのです。悲しいことに、透明なケース隔離コオロギは、相手がメスでも性行動ができず、殺してしまいます。
この隔離コオロギを、集団コオロギの中に入れると、数日後には攻撃性も収まり、性行動も正常にできるようになります。
仲間との触れあいを断たれた中で育つと、このようになるようです。そして、脳内ホルモンが影響しているようです。

先生は、この透明なケースで飼育した隔離コオロギを「インターネットコオロギ」と名づけておられます。この命名は的を射ています。完全に隔離されて育っているのではありません。つながっているけどつながっていない。インターネットでのつながりに似ています。
先生の研究内容は、「コオロギで探る人間の心」(athome教授対談)でも読むことができます。

民主主義と資本主義の関係

2017年9月30日   岡本全勝

9月25日の日経新聞オピニオン欄、マーティン・ウルフ(ファイナンシャルタイムズ、チーフ・エコノミクス・コメンテーター)の「民主主義 立て直すには」、電子版では「民主主義 危うい資本主義との“婚姻関係” 」から。
・・・民主主義が後退している。自由なグローバル経済への信認も低下している。民主主義と資本主義は本来、“婚姻関係”にあるが、何度も危険な状態に陥った。今も厳しい局面に見舞われている・・・
・・・民主国家の割合を国内総生産(GDP)に占める貿易額の比率と並べて比較することもできる(貿易額のGDP比は、人や資本の移動といった他のグローバル化指標とも強い相関性がある)。
歴史を見ると、民主化とグローバル化はほぼ相関関係にあることがわかる。要は19世紀の産業革命が政治革命をもたらし、独裁主義から民主主義への移行を促した。逆に、反グローバル化は反民主化と連動している。
これは当然だろう。米ハーバード大学のベンジャミン・フリードマン教授が主張するように、民主主義は豊かな時代に進展するが、貧困下では後退する。実際、1820年以降、世界の1人当たりの平均実収入は13倍に増え、高所得国ではそれを上回った。経済発展に伴い国民の教育が必要になり、国民を戦争に動員しようとすれば、政治的に多様な考え方を包摂することが求められた。
逆に金融危機は貧困や不安、そして怒りを引き起こした。民主主義には、勝者は敗者を破滅に追い込むために権力を行使することはないという勝者への信頼が欠かせない。しかし、負の感情はそうした信頼を消し去ってしまう。

民主主義と資本主義は関連が実証されているだけではない。民主国家では全ての人が政治の意思決定に加わり、資本主義の下では誰もが自由に市場を利用できることが前提になるという意味で、ともに平等の理念に基づいている。
だが大きな違いもある。民主政治には国民の連帯が必要だが、資本家たちは愛国主義には関心がない。民主主義では全ての市民に発言権があるはずだが、資本主義では富める者が最も大きな発言力を持つ。有権者はある程度の経済的安定を求めるが、資本主義には好不況の循環が付きものだ・・・
原文をお読みください。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第2回目

2017年9月29日   岡本全勝

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第2回目でした。今日は、前回に続いて、相模原市役所から提供してもらった住民サービス案内冊子「ナイスガイドさがみはら」を、少々丁寧に説明しました。学生にとって、市役所や市役所のサービスは、ふだんあまり縁がないでしょうから。それを踏まえて、市の予算を説明しました。

相模原市からいただいた「予算説明書」「主要施策説明書」など、分厚い議会提出資料を見せて(回覧して)、予算書ってどんなものかを見てもらいました。一般の方がこれを見ることは、まずはないでしょう。「欲しい」という学生がいたので、進呈しました。
もっとも、これらは数字の羅列で、あまりに細かく難しいです。公務員一年生の時に、徳島県財政課で、予算書の作成と校正をしたことを思い出しました。当時は活版印刷で、印刷所に行って「長時間労働」で、間違いがないか校正をしていました。

予算内容については、これもいただいた「予算事始」を配って説明しました。この冊子は、なかなか良くできていて、使いやすいのです。
たくさん印刷物を提供いただいた相模原市役所に、お礼をいいます。学生たちにも、好評でした。

地方財政の説明は、多くの場合、制度論や国と地方の関係などを説明するのですが。これまでの経験を踏まえて、説明の仕方や順番を変えることにしました。
自治体の職員に講義するなら、そのような学者的説明が良いのでしょうが、大学の学部生、多くは公務員にならない学生に話すには、まずは市民の暮らしと市の財政がどのように関わっているかを考えてもらい、制度論はその次にすることにしました。
予算で見える成果と見えない成果があること。予算で達成できることとできないこと。多い方がよいとは限らないことなども。

そして、細かいことを詰め込みすぎず、一つのことに絞って丁寧に説明するようにしました。私の講義、講演の欠点は、詰め込みすぎと早口、場面展開の多さなのです。これまでも、そのようにすることを試みていたのですが、より意識するようにしました。