年別アーカイブ:2017年

1997年11月26日の取り付け騒ぎ

2017年11月28日   岡本全勝

11月26日の朝日新聞経済面、原真人・編集委員の「あの日恐慌寸前だった」から。
・・・戦後日本で最も経済破綻が近かった日をあげるなら、ちょうど20年前の1997年11月26日である。多くの銀行で深刻な取りつけ騒ぎが起き、金融恐慌寸前となった。報じられなかった事実もふくめ、当事者たちの記憶をたどって改めて歴史に刻みたい。これからの私たちのために・・・

・・・「日本経済はこのまま破綻してしまうのだろうか」。30年の記者生活で、そんなことを考えたのは後にも先にもあの日だけだ。
そのまま取り付け騒ぎを記事にしたら預金者に不安が広がり、全国の金融機関に連鎖する可能性が高いと考えられた。朝日新聞は、現場の写真も含め、記事にするのを見合わせた。報道協定はなかったが、結果的にほぼすべてのマスメディアが同じ判断をした。
いま同じ騒ぎが起きたらどうか。インターネット社会では誰もがツイッターやユーチューブで情報発信ができる。取り付け情報の拡散は止めようがない。マスメディアの配慮などまったく役に立たないだろう。その結果何が起きるのか、私たちにもまだわからない・・・

事実の回顧とともに、マスコミの役割についても、考えさせられます。
原文をお読みください。

連載を振り返って9(番外編)

2017年11月27日   岡本全勝

右筆の思い
付録として、「右筆」からの一言を載せます。趣旨を変えない範囲で、手を入れてあります。

岡本先生、連載どうもご苦労様でした。
「いろいろ忙しいらしいのに毎回毎回よう書きはるなあ」と思い、「少しでも負担軽減になれば」と、お手伝いをはじめたつもりだったんですが。
部下としてお仕えした時代に「あかん」と直されたことへの意趣返しができる、という喜びも多少ありましたことを、この際に表明させていただきます。(「講座」にもあるように、突き返されたことは無くて必ず直してくれる上司なので助かりました)。

さらに言えば、この連載は、役所の中で悩んでいるひと、困っているひと、張り切っているひとたちにかなり役立ちそうだし、影響力を持ちそうだと思い、その中に自分の考えが多少なりとも盛り込めるようなら、これは右筆の役得だろうといろいろ修正案を出させていただきました。

調子に乗って、真っ赤に直してしまったこともあり、そのうち怒って「おまえにはもう見せへん」とおっしゃるのではないか、と毎回恐懼していましたが、忍耐いただきありがとうございました。

この連載がなされる数十年前から、岡本先生から身をもって教えてもらった「手練手管」を一部は真似して、わたしもやってきたつもりだったんですが。今回、全体像を見渡すと、自分が真似てきたものは「岡本学」のほんの一端に過ぎなかったのだなあ、と改めて感じ入っている次第です。

なお、江戸幕府には将軍側近の「奧右筆」という職があって、将軍に内緒で金品を受け取って関係者に手心を加える、ということもあったそうなのでございますが、わたくしにはそのようなことはございませんので、念のため申し添えます。

行政手続き、電子化

2017年11月27日   岡本全勝

11月27日の日経新聞オピニオン欄で、滝田 洋一・編集委員が「行政こそ生産性革命を 手続き簡素に 経済後押し」を書いておられます。
詳しくは本文を読んでいただくとして、載っている表がわかりやすいです。
会社設立手続きについて、外国と日本を比べておられます。シンガポールでは原則オンラインで15分、韓国もオンラインで最長5日です。日本はほぼ紙の書類で1~2週間かかるそうです。また、日本の電子申請は、関係省庁がまたがります。

官僚主導から政治主導へ、この20年。

2017年11月26日   岡本全勝

11月23日の日経新聞オピニオン欄、藤井 彰夫・ 上級論説委員の「日本経済になお97年の傷痕」から。
・・・すでに株式バブルが崩壊してから7年がたっていたが、バブル崩壊が日本経済にもたらした傷痕の大きさを国民全員が目の当たりにしたのは、1997年の晩秋だろう・・・
・・・金融機関と監督当局のなれあいにも批判が強まり、翌98年に接待汚職事件で大蔵省・日銀から逮捕者が出る。蔵相と日銀総裁は引責辞任。財政と金融監督は完全に分離され98年に金融監督庁(現金融庁)が誕生した・・・

・・・大蔵省の護送船団方式の金融行政と財政再建至上主義への不信。97年の金融危機は大蔵支配という言葉に象徴される霞が関の官僚主導の秩序を揺るがし、その後の政治主導の流れを決定的なものにした。
官邸主導のはしりとなった小泉純一郎政権、民主党への政権交代、そして安倍晋三政権へと続く政治主導の政策運営に向かう原点は、97年秋の危機だったのではないか・・・
・・・97年危機は「大蔵省にまかせておけば安心」という時代の終わりを告げた。「それでは誰にまかせればいいのか」。20年たった今、この問いへの答えはまだ出ていない・・・

若い人は、この20年間の出来事を知らないと思います。また、習っていないでしょう。
この記事は、大手金融機関の破綻から20年を取り上げたものですが、そのうち、官僚主導から政治主導への変化に関するところだけ引用しました。原文をお読みください。

近年の少年非行

2017年11月26日   岡本全勝

朝日新聞オピニオン欄11月15日、家庭裁判所調査官・伊藤由紀夫さんのインタビュー「非行少年だけが悪い?」から。
・・・非行少年はうまくいかないことやおもしろくないことがあると、投げやりになって窃盗や無免許運転など行動化します。悪いことだとわかっていても抑えられない。そういう未熟さは今も昔も変わりません。
共働きが普通になり、家族もそれぞれが孤立して、学校にも居場所がなくなっています。昔は反社会的・不良顕示型の少年が多かったですが、最近は非社会的・対人関係回避型が増え、不登校や引きこもり、自殺念慮が目立ちます。「一昨日から何も食べていない」という子どもによく会います。昼夜逆転の生活で親と顔を合わせず、家の冷蔵庫に何もない状態です。小学校高学年から大人と一緒に食事をしたことがない子どもも珍しくありません・・・

・・・自分の部屋でゲームやラインをして親子が面と向かって会話する時間が減っているのでしょう。少年と話すと、「大人にこんなに話を聞いてもらったことはない」と漏らす子も少なくない。早い段階で話を聞いてあげれば、少年たちは変わっていきます。非行を起こした少年が何にはまって、どういう考え方を作り出してしまったのかに社会はもっと目を向けるべきです。大人が子どもを放置しすぎていないでしょうか。
一方、少年院に入るような子は、就職や復学の手がかりが得にくくなりました。高校を中退しても、学習を支援するサポート校に入れば高卒認定資格を取りやすいですが、学費が高い。経済力がないと、学歴を取り戻すのは難しい。かつては型枠や塗装などの親方への弟子入りもありました。でも、いまは一人親方も非正規雇用で、少年を連れて歩くのは厳しいのが現状です・・・