連載を振り返って9(番外編)

右筆の思い
付録として、「右筆」からの一言を載せます。趣旨を変えない範囲で、手を入れてあります。

岡本先生、連載どうもご苦労様でした。
「いろいろ忙しいらしいのに毎回毎回よう書きはるなあ」と思い、「少しでも負担軽減になれば」と、お手伝いをはじめたつもりだったんですが。
部下としてお仕えした時代に「あかん」と直されたことへの意趣返しができる、という喜びも多少ありましたことを、この際に表明させていただきます。(「講座」にもあるように、突き返されたことは無くて必ず直してくれる上司なので助かりました)。

さらに言えば、この連載は、役所の中で悩んでいるひと、困っているひと、張り切っているひとたちにかなり役立ちそうだし、影響力を持ちそうだと思い、その中に自分の考えが多少なりとも盛り込めるようなら、これは右筆の役得だろうといろいろ修正案を出させていただきました。

調子に乗って、真っ赤に直してしまったこともあり、そのうち怒って「おまえにはもう見せへん」とおっしゃるのではないか、と毎回恐懼していましたが、忍耐いただきありがとうございました。

この連載がなされる数十年前から、岡本先生から身をもって教えてもらった「手練手管」を一部は真似して、わたしもやってきたつもりだったんですが。今回、全体像を見渡すと、自分が真似てきたものは「岡本学」のほんの一端に過ぎなかったのだなあ、と改めて感じ入っている次第です。

なお、江戸幕府には将軍側近の「奧右筆」という職があって、将軍に内緒で金品を受け取って関係者に手心を加える、ということもあったそうなのでございますが、わたくしにはそのようなことはございませんので、念のため申し添えます。