近過去を知る「平成の100人」

月刊誌『中央公論』2018年1月号の「平成の100人」が勉強になります。政治、経済、社会・事件、文化、科学、スポーツの6分野で、それぞれ2人ずつの有識者が、平成を人物で表現するのです。科学では、鎌田浩毅・京大教授もでておられます。最後に、猪木武徳先生と北岡伸一先生による、総括的な対談が載っています。
「他にも、こんな事件もあった。このような見方もできる」という思いもありますが、短い紙面では、ないものねだりですね。

平成とは何だったかを問う、あるいはこの30年は何だったかを問う、良い試みです。
元号で時代が変わるわけではありません。昭和という時代が、戦前と戦後で全く違うものでした。平成も、バブル、その余韻、バブル崩壊と金融危機、そこからの脱出の試みと、いろんな経過をたどりました。しかし、平成という時代は、バブル崩壊とそこからの立ち直りの試みという時代に重なります。
その際に、特に、日本の政治と経済は何を目指したのか、そしてどれだけ成功したのか。その視点が重要でしょう。
近過去を知ることは難しいです。毎日のニュースはすぐに忘れます。つい最近のことは、本や教科書では整理されていません。このような雑誌記事や新聞の特集が役に立ちます。

ところで、56ページに、次のような、斎藤環・筑波大教授の発言があります。
・・・震災は様々な迷走を生むばかりでしたね。私が驚いたのは、国の原子力保安検査官が全員、現場から逃げ出したこと。しかも誰も処分されていない。信賞必罰が成立していない日本型組織の典型です。こういう組織に原発は任せられないことが露わになったと思うのです・・・