3月20日の読売新聞文化欄、藤村龍至・東京芸術大学准教授の「考景・幕張ベイタウン」から。
千葉市の幕張ベイタウンは、高さを5階程度に低く抑えた集合住宅が並び、それに包まれるように街路や中庭を配置し、洗練された外部空間を作っています。
・・・バルセロナやパリ、ベルリンなどに見られる良質な住宅街のようだ。このような街がなぜ日本で実現できたのだろう。
いくつかの理由があるようだ。ひとつの要因は、沼田武知事時代の1980年代後半に、都市デザインの専門家組織が継続的に関わる仕組みが作られたことだ・・・行政組織は通常、特定の人に権限が集中しないように人事を流動化させる。幕張でも行政及び企業の担当者は、長い事業期間のあいだに次々と入れ替わり、変わらなかったのは部外の専門家組織だけだった。簑原さん(都市プランナー)を含む彼らが開発事業者の意向をくみつつ、全体方針に基づいて絶えず調整を継続したから行政担当者や開発担当者が次々と交代しても、当初の方針を守ることができたのだ・・・
指摘されているように、行政の担当者は、2年や3年で異動していきます。これは、職員を活性化するためにも必要なことなのですが、過去のことが忘れ去られることや、政策の継続が途切れたり、実績の検証がおろそかになるという欠点があります。
これを防ぐ方法に、大きな政策や方針は、法律や条令で規定しておくこと、要綱などを定めておくこと、住民と協約を結んでおくことが考えられます。また、役所内部では、引き継ぎ書が重要です。