平成28年の回顧1、復興

年末になり、年賀状も出したので、今年の回顧を始めましょう。
まず、復興についてです。復興庁事務次官を退任したのですが、内閣官房参与、福島復興再生総局事務局長として、引き続き大震災からの復興に関与しています。発災直後からこの仕事に直接関わっている国の職員は、私一人になりました。首長さんたちとも、長い付き合いになりました。過去からの苦労を踏まえた議論、そして本音の議論をすることができます。継続と信頼関係がいかに重要かが、わかります。ありがたいことです。
ところで、公務員は通常2年で職場を変わります。これはこれで合理性があるのですが、このような仕事の場合は、より長期に携わっている職員それも管理職がいると、仕事がうまく進むと思います。各省なら職員が異動しても、どこか関連部署にいれば、彼を頼って継続性を保つことできるのですが。もっとも、局を越えると、それも難しくなります。内閣府のように、分野が違う組織の集合体の場合も、難しくなります。

復興は6年目になり、現地では工事が着実に進んでいます。このホームページでも、随時紹介しているとおりです。津波被災地では、次々と町並みが出来ています。仮設住宅も、撤去されつつあります。平成29年度末には9割の宅地と住宅が完成する予定で、平成30年度中には完成する見込みです。復旧工事費は、予算額でも減少が始まりました。
原発事故被災地では、順に避難指示が解除され、また解除される見通しが立ちました。帰還困難区域を除いて、鉄道も復旧します。除染も、多くの地域で終わりに近づいています。帰還困難区域では、当分の間は帰還は困難なので、一部で復興拠点を作ることにしました。そこから町の復興を始めようという趣旨です。
このように、着実に進んでいます。関係者のご努力のおかげです。

しかし、今なお13万人の方が、避難生活を送っておられます。また、産業再生とコミュニティ再建が、課題です。そして、原発事故の風評被害が収まりません。農産物や観光のほかに、避難した子どもたちへのいじめという「とんでもない被害」が出てきました。悲しい話です。これらの新しい課題に、対応していく必要があります。これらの課題は、お金を出せば、また工事をすれば解決する問題でなく、工夫と継続が必要です。