毎日新聞連載、五百旗頭真先生の「大災害の時代」、9月17日は、「復興構想会議 議論百出 波乱の船出」でした。復興構想会議は、菅総理の下につくられた、復興の方針を議論する審議会です。議論が百出し、毎週土曜日に5時間も議論をしておられました。詳しくは、先生の文章をお読みください。その頃、私は、被災者生活支援本部(後に支援チームと改称)で、現地の被災者の支援に汗をかいていました。組織も別で、建物も別でした。私の方は、現地からの悲鳴にどう答えるか、その日その日が勝負でした。構想会議事務局の方は、将来に向かって「高尚な」ことを考えておられるなあと、横で見ていました。よもや、その提言を実行する復興本部、その後継である復興庁で仕事をするとは、考えていませんでした。
「復興への提言」にはいろいろ書かれていますが、現時点から振り返って、特徴的な点を紹介しておきましょう。一つは、「減災」という考え方です(第1章ほか)。それまでは、津波は堤防で押さえ込むという思想でした。しかし、完全には押さえ込めないことが分かりました。もしそうしようとしたら、とんでもなく大きな堤防が必要で、費用も膨大になり、そもそも地域の生活がとても不便になります。そこで、100年に数回来るような津波は防潮堤で防ぐとして、それ以上の津波は逃げることを組み合わせることとしました。「減災」という考え方は、この新語とともに普及しました。もう一つは、地域の復興には、暮らしと仕事の再生が必要だと指摘していることです(第2章)。いま復興庁では、産業となりわいの再生、コミュニティ再建を、3本柱の2つとして取り組んでいます。