今日は午前中に、早稲田大学で、復興の取り組みと行政の役割を講義してきました。政経学部の小原隆治教授の依頼で、先生の授業の1コマを使っての講義です。時間が限られているので、ポイントを絞っての話にしました。でも、いつものようにエピソードを入れると脱線して・・。100人近い学生が、熱心に聞いてくれました。政経学部の建物は、昨年に改築が終わり、きれいな高層ビルになっています。その中に、かつての4階建ての建物の一部が取り込まれています。
追補
授業で紹介した拙稿は、次の通りです。
「被災地から見える「町とは何か」~NPOなどと連携した地域経営へ」(共同通信サイト、47行政ジャーナル。2012年8月31日)
月別アーカイブ: 2015年6月
復興の後期5か年事業枠組み、3県知事説明
今日22日夜、宮城県庁で、復興大臣と被災3県知事との会合を持ちました。18日に与党の了承を得て、19日に3大臣(復興、総務、財務大臣)で確認した「後期5か年事業計画案」を3知事に説明し、理解を得るためです。参加4人の都合を合わせると、今日の20時になりました。復興庁が主催するのですが、被災地に出向くのがよいと考え、仙台に集まっていただきました。そこで夜遅い時間帯ですが、宮城県庁舎の会議室をお借りしました。
NHKニュースで報道されているとおり、3知事からは一部注文が付きましたが、感謝の言葉をいただき、受け入れていただきました。今回の案のポイントは、5年間の事業費を見積もり、その財源を確保したことです。これで、自治体は安心して事業ができます。また、一部の事業に自治体負担を求めますが、自治体が負担できる範囲にとどめ、また事業に遅れが出ないように配慮してあります。もちろん、復興はまだ道半ばです。大臣からは、国として責任を果たすこと、一緒になって復興を成し遂げたいと表明しました。最後は、4人が固い握手をされました。
会計帳簿が変える世界の歴史
ジェイコブ・ソール著『帳簿の世界史』(2015年、文藝春秋)が、面白く、勉強になりました。書評でも取り上げられているので、読まれた方も多いでしょう。
会計(企業会計、国家の財務会計)、それを記帳する複式簿記が、なぜ生まれたか、そしてその扱い(活用するか無視するか、改ざんするか)が、会社や国家そして社会にどのような影響を与えたかです。会計帳簿の機能からみた、社会史です。
かつては、王様は集めた金は自由に使うことができました。必要なのは、どれだけ収入があって、どれだけ使ったかを把握することです。しかし、足らなければ、集めればよいので、帳簿がなくても統治はできます。もっとも、その部下たちは、どれだけ集めたかを王様に報告しなければなりません。また、王の命令によって軍隊を動かすには、収支の計算が必要になります。商人も、自己資産で経営している限りは、簡単な収支と財産目録だけですみました。ただし、支店を持つと、本店への会計報告が必要になり、帳簿が必要となります。
近世以降、他人から集めた金、他人から預かった金を、どのように使っているか。会社や国家は、それを株主、債権者、国民に説明する義務が生じました。絶対王政のフランスが会計管理をおろそかにして、国家を破綻状態に追いやりました。国家の会計を公開したところから、民衆の不満が高まり、フランス革命へとつながります。それだけが革命の原因ではありませんが、この説は興味深い考えです。他方で、王の権力が弱かったイギリスでは、財務会計が発達します。戦争の経費をまかなうために、銀行借り入れや増税が必要になったからです。ここには、強い王権と弱い王権が、発展に逆の効果をもたらすことを示しています。そして、国家に対して市民や企業が強い社会(イギリス)と、国家の方が強い社会(フランス)がたどったその後の歴史(イギリスがフランスを逆転する)も示しています。
企業にしろ国家にしろ、正確な会計とその公表は、必須のものとなります。ところが、他方で、不正な会計や帳簿の改ざんは後を絶ちません。近年では、2008年のリーマン・ブラザーズの破綻です。これは、国家を揺るがし、世界の経済を恐慌寸前にまで追い込みました。ギリシャの債務隠しもありました。そこまで行かなくても、新聞では、しょっちゅう、企業の会計の不正が報道されます。
社会と歴史を、帳簿ですべて解釈することは無理がありますが、大きな影響を与えたことは間違いありません。帳簿というモノでなく、帳簿を付けるという会計の機能です。面白い本です。翻訳も読みやすいです。お薦めします。
携帯電話買い換え
今日、携帯電話を買い換えました。現在の機種は7年前から使っているのですが、最近ボタンを押しても反応が鈍いことが増えてきたのです。メールを見たりするのに、イライラします。経年劣化でしょうか。そのうちに突然使えなくなると困るので、思い切って、駅前のドコモショップに行って、代えました。
スマートフォンが、はやりだそうですが、電話として使うなら、従来型の携帯電話いわゆるガラケーが便利です。私の携帯電話は、文字を大きくしているので、送られてくるメール文章を読む際に、かなりスクロールしなければなりません。しかし、画面を大きくするなら、タブレットか携帯パソコンにするしかありません。2台持つほどのこともなく、携帯電話で十分です。
本当は、携帯電話など、持ちたくないのですが、この商売をしている限りは、仕方ないですね。場所と時間をわきまえずに、かかってきます。特に電話は、よくないです。「何が起きたのだろう」と、血圧が上がります。その点、電子メールの方は、「後でもよいのだな」と、少しは我慢できます。
店員さんは、親切に相談に乗ってくれ、そして様々なサービスを勧誘します。キッパリと「最低限の機能でよいです。写真機能も要らないのです」と言ったのですが、全機種にカメラがついているのだそうです。
前の電話機に入っていた電話帳や保存してあるメール(歴史遺産をいくつか残してあります)を、新しい電話機に移してもらって、作業完了です。しかし、使い方(機能)が変わるので、慣れるまでに時間がかかりそうです。着信音も違うし・・。
商店街の本格復旧、こんな支援もしています
大震災直後には、商業サービスを再開し、また働く場を確保するために、仮設の商店や工場を提供しました。これまでにない支援策で、喜んでいただきました。その後、高台移転や土地のかさ上げ工事が進み、町並みの再建が見えてきました。すると、仮設商店から本格的な商店街に移ることになります。自治体にとっても、商店街は町の核となる機能ですから、重要です。
しかし、そのような経験はないので、復興庁職員が関係者と一緒になって、支援策を作り、助言をしています。少々専門的で、資料「商店街復興必携資料集」も難しいのですが、紹介します。現場では、各商店は扱っている商品はもちろん、規模や資力も異なり、計画作りは難しいのです。
また、津波で流されたかつての商店街は、何十年もかかってできあがったものです。そこには、時代とともに、はやり廃れもあったはずです。皆さんの住んでおられる近くの商店街を思い浮かべてください。それを一気に復旧するのは、難しいことがたくさんあります。補助金を出したらできる、といったものではありません。
ところで、世間でステレオタイプ的に思われている公務員像と違い、復興庁の職員は、これまでにない課題に対し、新しい対策を考えるのが好きです。それも、机上の空論ではなく、現場に行って関係者と議論をして考えた案です。みんな能力とやる気のある職員なので、「前例どおり」や「できません」と言うより、新しいことに挑戦するのが好きなのです。私の仕事は、彼らのやる気に火を付けて、さらに油を注ぐこと(このようにホームページで紹介したり。笑い)と、案の実現可能性や成果の確認をすることです。