4月8日の読売新聞「戦後70年想う」、吉見俊哉・東大教授の「米国の支え、揺らぐ時代」から。(1か月以上前の記事です。書こうと思いつつ、半封筒に入れたまま、鞄に眠っていました)
・・・親米を説明する3つの通説がある。まず「米国は民主主義をもたらし、復興を支援してくれた。感謝すべきだ」という説。それが本当なら日本人は義理堅いことになるが、私には疑問だ。次に「米国大衆文化の虜になったからだ」との説。だが、米国文化の影響は世界的で、日本は特別ではない。「占領改革で日本が骨抜きにされたから」という説もある。だが、日本の社会構造、ものごとの決定の仕組みはあまり米国化していない。
私は「米国こそが日本が戦後もアジアで支配的な地位を保ち続けることを可能にしたからだ」と考える・・・
・・・日本は戦後、アジアの経済的中心として栄える。戦前までの軍事的中心ではなくなるが、中心であることは変わらない。日本が明治維新以来の近代化で築き上げた「アジアの中心的地位」は連続する。一方で「米国に最も近い国」という地位も得た。戦前・戦中の振る舞いを巡る、近隣諸国からの激しい対日批判は抑えられた。日本は自らを変えないまま、この優位性を保つために「米国に最も近い国であり続けなくてはならない」と意識するようになる・・・