先日、経済産業省のホームページに、「避難指示区域における空間線量から推計した年間積算線量の分布の推移」が載ったことを紹介しました(5月31日)。今度は、原子力規制庁が、「東京電力福島第一原子力発電所事故から2年間の航空機モニタリングの線量の推移について」を公表しました(6月5日、原子力規制委員会)。基礎となっているデータは、同じです。規制庁の方が、測定方法や評価が載っていて、さらに会議録に説明もついています(p11~)。
それによると、80km 圏内(事故7 ヶ月後~1 年8 ヶ月後)では、空間線量率は平均で約40%減少しています。避難指示区域のうち旧計画的避難区域(事故7 ヶ月後~2 年後)では、ほとんどが3.8μSv/h 以下になっています。
ところで、放射線量が表示される場合に、時間当たり(μSv/h)と年単位(mSv/年)の2つがあります。その換算について、会議録(p12)で次のように説明されています。
「・・単位はマイクロシーベルト・パー・アワー(μSv/h)でございまして、原子力災害対策本部で従来示している換算式で直しますと、0.2のところが年間1ミリシーベルト、3.8が20ミリ、9.5が50ミリ、19が100ミリシーベルト・パー・イヤー(mSv/年)に相当いたしますが・・」
1時間あたりの量を1年間に換算する際に、1時間の放射線量を、「×24時間×365日」するのではなく、屋外にいる時間(100%浴びると推計)と屋内にいる時間(家の中では低くなります)を仮定して換算しています。
簡単には、5倍して単位をmSvに置き換える(5,000倍していることになります)と近似値になるので、私はそれで換算しています。例えば、3.8μSv/h×5×1,000≒20mSv/年です。
ここで3.8μSv/hが出てくるのは、避難指示の基準の一つに、20mSv/年に設定しているからです。だいたい、どの地図でも、20mSv/年以上を黄色や赤で表示し、それ以下を黄緑や青で表示しているようです。
なお補足すると、20mSv/年といっても、人間がそれだけの放射線を「浴びる」わけではありません。これはその地点の「空間線量」であって、人が実際に浴びる数値は個別に測る必要があります。
また、放射能汚染された食品を食べることによる被爆は、これとは別です。これについては、農産物などの検査をして、厳しい規制値(年間食べる食品の半分が汚染されたものであるという設定)を上回るものは出荷していません。