私が「変わらなかった」と主張するのは、次のようなことからです。
現実として、日本社会は変わりませんでした。明治維新や戦後改革のような、社会構造や国民の意識に大きな変化はありませんでした。
一つには、被災地域と人口が限られていたからです。大きな災害でしたが、東北3県の人口は全人口の5.5%でした。
変わったとすると、被災地での絆が強まったとか、ボランティア活動や企業の社会的責任がより認識されるようになったことが、挙げられます。また、防波堤だけでは守ることはできない、自分の命は自分で守る、逃げるということがわかりました。
この災害をきっかけに社会が変わるためには、「変える努力」が必要だと思います。統治者が変わるような革命は、民主主義の日本では想定しにくいです。
しかし、社会がじわじわと変わることはあります。少子高齢化で、家族の形態は変わりました。介護保険で、高齢者の面倒を見る形も変わりました。それらと同じように、ボランティア活動の広がりが日本社会を変えていくでしょう。若い起業家が増えることで、産業や若者の労働観が変わるでしょう。
アメリカで、寄付文化やボランティアが活発なのは、キリスト教文化とともに、ベトナム戦争反対と若者の反乱(カウンター・カルチャー)によって、優秀な若者がエスタブリッシュメントに対抗して新しい生き方を選んだからだと聞いたことがあります。
日本社会を変える。そのためには、「若者の挑戦」が必要です。待っていても、革命は起きません。