これまた古くなりましたが、10月28日の日経新聞「創論」の「観光立国実現の道は」から。
田川博己・JTB社長の発言
「2003年に小泉純一郎首相が『ビジット・ジャパン』と銘打って観光立国を目指す方針を明確に示しました。約10年が経過してどのように評価していますか」という問に対して。
・・確かに2003年に521万人だった海外からの旅行者は、ピークの2010年には861万人にまで増えた。しかし、世界各国・地域の外国人訪問者数ランキングでは30位にとどまっている。これは03年当時とほとんど変わっていない。世界第3位の経済規模の日本でいながらこの順位の低さの原因を考えていかなくてはならないだろう。第1位のフランスを訪れる外国人は7,680万人だ
この間に日本各地の交通機関や案内板などの表示で中国語やハングルをよく見かけるようになり環境整備も進んではいる。しかし海外で(メニューなどを除き)日本語表示は見かけるわけではない。もっと取り組むべき大切なことがあるはずだ・・
「外国人旅行者が日本に滞在している間について取り組むべき所はありませんか」という問に対して。
・・訪日外国人旅行者を保護するインバウンド法(仮称)の制定を強く求めたい。日本人が日本の旅行会社を使って海外旅行をした場合、旅行業法によって幅広く旅行者のトラブルなどを補償することになっている。日本人を保護するための厳しい法律があるのに、日本を訪れている外国人旅行者を保護する法律がないのはおかしい・・
石塚邦雄・三越伊勢丹ホールディングス会長の発言。
・・中国や韓国などアジアからの観光客の来日目的を聞くと上位に買い物(ショッピング)がくることが多い。旺盛な消費意欲にこたえなくてはいけない。百貨店での海外旅行者の買い物金額は約400億円で全体の1%にも満たない。フランスの著名百貨店では50%近いという。買い物の利便性を高める必要がある
販売員と言葉が通じないという指摘はよく聞く。免税の対象商品の幅も狭く、化粧品は対象外だ。中国や韓国では日本の化粧品の人気が圧倒的に高く、免税対象となればもっと買っていただけるはずだ
一般的に家電製品などの免税手続きも煩雑で、利用者に迷惑をかけてしまうこともある。小売店側もその処理に手間暇がかかっている。三越や伊勢丹の主力店舗ではコンピューターによる免税手続きのシステムを採用した。これだけ電子化が進んでいる時代にもかかわらず、国内では商品名や金額などを手書きで記入する伝票がいまだに存在する。手続き中にイライラが募った買い物客が返金を待たずに立ち去ることもある・・
これまで日本は、海外に出て行く(観光に行く)ことは考えていましたが、アジアの人を呼び込む努力は少なかったようです。