9月29日の朝日新聞東京西部版に、杉並区の所在不明高齢者実態が載っていました。区の調査は、75歳以上の区民5万4千人のうち、介護認定を受けていない人や介護サービスを受けていない人1万8千人を訪問調査した結果です。
昨年7月から、民生委員、看護師、ケアマネージャーを動員し、訪問調査をしました。電話でも面接でも本人確認できなかったケースについて、今年4月から区の職員が直接調べに入ったそうです。その結果、5人の方の所在がわからなくなっていました。年齢は76歳から94歳です。5人の住所には、それぞれ息子や娘、知人と名乗る人が住んでいますが、「どこに行ったかわからない」といった回答です。う~ん。
区の調査は、福祉の需要を開拓するのが目的でした。行方不明高齢者の調査ではありません。よって、年金をいつまで受給していたか、事件性はないのかなどは、わかりません。
問題はこれからです。
区は、良い調査をしたと思います。2万人近くの人が、介護サービスや医療を受けていないことは、大きな問題です(ちなみに杉並区の人口は54万人、65歳以上人口は10万人です)。75歳以上で、健康な人ばかりとは思えません。制度はできているが、漏れ落ちている人がいるのです。
もう一つは、次のような問題です。一人の高齢者にいくつかのサービスや制度(年金、介護、医療、住民基本台帳などなど)が関わっています。しかし、一人の人に対し、これらの制度をまとめて、包括的に見る仕組みがありません。健全な人なら良いのですが、弱者には制度がばらばらに担当するのではなく、できれば一人の人・一つの窓口が効果的です。これは、高齢者だけでなく、引きこもりの若者対策などでも同じです。
私の提唱している「国民生活省構想」は、この視点も入れたものです。サービス提供者側でなく、受ける社会的弱者から考えようとする仕組みです。