私たちは、難しい事態を前にして「大変だ」と、悩みます。その際に一番困るのは、「何が大変か、わからない」ことです。何が課題かが、わからない。その課題に対して、どうしたらよいかわからないことです。このような場合は、混沌としている課題群を解きほぐし、一覧表に整理できたら、半分は片付いたようなものです。
あまりにたくさんの課題があり、一つ一つが重い課題の場合は、一気に解決することはできません。優先順位を付けて、そして各課題ごとに予定表(工程表)を作ります。それぞれに責任者を決めて、管理執行してもらいます。ここまで来たら、司令官の第一の仕事はできたようなものです。
これら「全体像」を示して、関係者が共有すれば、「大変だ」は解消します。もちろん各課題には、簡単に進まない課題も多いです。でも、今の技術や能力では達成できないとわかれば、それは「大変だ」ではなくなります。
大災害の発生当初に、「大変だ」と言われるのは、何が起こっているかわからない。徐々に被害がわかると、それに対し何をして良いかわからない。大きな被害に対して、誰がどのように対応できるかわからない。これらが、一気に生じ、しかも対策を急がなければならないからです。
対策本部の壁に被災地の地図を貼り、被害状況を書き込む(被害状況を把握する)。黒板に、主な課題、現状と対応状況を書き込む(課題を整理し、対策と担当者を決める)。ここまで来たら、「大変だ」ではなくなります。
各課題の担当者(各部長や課長)や現場の責任者が、自分の置かれている状況を理解して、責任を持って処理する。進捗状況と困っていることを、本部に上げてくれればよいのです。情報の集約と権限の分散です。
こうなると、本部は、各部局からの困りごとを処理するとともに、遅れているところに人とモノを追加する。そして、対策に漏れ落ちがないかを考え、次に何が必要になるかを想像することが仕事になります。
(ここに想定しているのは、組織として対応する事態です。上司の指示に対して一人で悩んでいる場合については、「明るい係長講座」をご覧下さい。)