14日の読売新聞1面から2面にかけて「検証9か月原発危機」で、放射線審議会が取り上げられています。
・・だが、同審議会の法的権限は、省庁からの諮問に対し意見を述べることに限られている。2001年の省庁再編に伴い「審議会が省庁の隠れみのになっている」として、各審議会について必要最小限の機能のみを残すことになり、放射線審議会もそれまで持っていた提言機能を失った・・
省庁改革の際に、審議会の見直しを担当しました。この記事に書かれているとおりです。審議会を、審査決定を行う審議会と、提言を行う審議会に分けました。そして、後者については省庁の隠れ蓑にならないよう、大臣からの諮問に答える以外は、提言する権限を絞り込みました。拙稿「中央省庁改革における審議会の整理」月刊『自治研究』(良書普及会)2001年2月号、7月号。
行政権の責任を明確化するという観点からは、この記事の論理は、少し変ではないでしょうか。行政の責任を明確にしたので、この場合は、省庁の不作為について、「放射線審議会が提言しないからだ」と言えないようにしたのです。審議会は、あくまでも省庁の一機関です。提言が必要なら、大臣が審議会に諮問するのが筋でしょう。またメンバーが専門的知見から提言をしたいのなら、審議会という場でなく別の方法で意見を発表することも可能です。
さらに、行政が、民間人の知見を集めることは、悪いことではなく、奨励されるべきことです。それを、メンバーが固定した審議会という形をとるのか、テーマごとに大臣が意見を聞く場を設けるかは、別の話です。