わが国成功の負の遺産

3日の読売新聞は、読売国際会議「明日への責任」で、消費税の引き上げと社会保障のあり方を、大きく取り上げていました。4日の日経新聞は、国際シンポジウム「安保改定50周年、どうなる日米関係」を、大きく紹介していました。
私は、戦後日本が成功したことの「負の遺産」の代表は、国民に負担を問わなくて良かったこと=負担を考えないことと、戦争がなかったこと=外交と防衛を考えないことの2つだと考えています(拙稿「行政構造改革」では、負担を考えないこと、国際貢献を考えないこと、自分で考えないことの3つを上げました)。
経済成長がある時は、税負担を増やすことなく、行政サービスを拡大できました。成長が止まってからは、国債と地方債で行政サービスを続けています。そして、社会保障支出は確実に増えています。サービスを増やすには負担が必要。これができないのが、今の日本です。税負担だけでなく、貿易の自由化をすると農業に負担が来る、これをどう解決するか。これからの政治は、税制も社会保障も「負担の配分」です。国際貢献も、お金とともに人を出さないと、評価されません。「危険だから嫌です」は、通用しません。
近隣諸国は友好的で、善隣外交をしておれば平和が保てるという信仰も、幻想でした。いよいよ、日本の政治、国民の政治意識が問われる事態になりました。もっとも、バブルがはじけて20年が経ち、第一次湾岸戦争で巨額の資金を出しながら感謝されなかった時からも20年が経ちます。