アメリカ、公共施設の民営化と売却

25日の読売新聞が、提携しているアメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事(8月23日付け)を紹介していました。「公共施設 For Sale 」です。アメリカの州や地方自治体が、空港から動物園まで、あらゆる公共資産の売却を進めている、という内容です。庁舎、水道事業、公営駐車場などです。原文はこちら
このホームページでも書きましたが(「国家観の違い」2010年6月29日)、ここには、アメリカ流の社会観が背景にあります。すなわち、社会のあらゆる組織機構と同じく、国家機構もまた、社会(一般国民)が自らの必要のためにつくったものです。官と民の間に、垣根がありません。これに対し、近代ドイツ国家学では、社会は弱肉強食、カオスの世界であり、中立公正な国家が弱者を救済し、秩序を保たなければならないと考えます。官(国家)と民(社会)が峻別されます。日本もこれまで、このような考え方でした。
しかし、日本が後進国から成熟国家になることによって、官が民間を主導して先進国に追いつくという構図は終わりました。また、公共施設や公共サービスは、それ自体は、公平かつ滞りなく供給されるように、官が監視する必要がありますが、供給行為自体は官がする必要はありません。象徴的な例が、国鉄の民営化であり、介護保険サービスの民間事業者との契約制です。