22日の朝日新聞「クルーグマンコラム」、「ギリシャに学ぶこと。引き締めは番狂わせ招く」から。
・・ギリシャの公的債務は、GDPの113%と実際に高いが、ほかの諸国も同水準の債務を抱えながら、危機を経験せずに済んでいる。例えば、第2次世界大戦から抜け出して間もない1946年のアメリカでは、連邦政府の債務がGDPの122%に達していた・・その後の10年間で、対GDP比はほぼ半分に削減され、1981年には33%という低い水準になった。アメリカ政府は、戦時中の債務をどうやって償還したのだろうか?
実際は、償還などしていなかったのだ。1946年末時点で連邦政府は2,710億ドルの債務を抱え、1956年末には2,740億ドルとわずかに増加した。債務の対GDP比が下落したのは、債務自体が減ったからではなく、GDPが増加したからだ。つまり、アメリカのGDPは、10年間でほぼ倍増した。GDPの上昇は経済成長とインフレーションの結果にほぼ等しく、1946年から1956年にかけて、実質GDPと全体的な物価水準は、ともに約40%上昇していた。残念ながら、ギリシャは、同じような成果は期待できない・・。