先日紹介した、「幼児のライター遊び」の続きです。住宅で焼死する被害者は高齢者が多いということは、皆さんご存じだと思います。では、次に多いのは、どの社会集団・階層でしょうか。
鈴木主任研究員の研究によると、熟年男性なのです。平成18年に記者発表した資料なので、少し古くなっていますが、分析によると次の通りです。「熟年男性の危険が顕著に増大-住宅火災による死者急増の背景」(平成18年8月11日消防庁報道資料)
別紙の図2で、50歳前後の熟年層の死亡が増えていることが、わかります。図4で、やはり熟年層の死亡率が高いことがわかります。そして、図5で、それは圧倒的に男性なのです。図6では、この10年間のトレンドで、50歳代後半の男性の死者数が倍増しています。
その50歳代後半男性の住宅火災死者の特徴も、分析されています。図7では、6割の人が無職です。これに対し、日本全体の失業率は、一桁小さい5~6%です。そして、図9では、一人暮らしが5割です。これに対し、日本全体では50歳代後半男性の一人暮らしは、1割程度です。図10では、出火原因の第一は、たばこです。
なかなかショッキングな数字です。核家族化が進み、さらに一人暮らしが増えて、日本社会は昔とは変わってきました。私は「新地方自治入門」や講義・講演の中で、一人暮らし家庭が増えたこと、それによって社会や行政の役割が変化していることを、取り上げています。その際は、夫に先立たれた妻と結婚しない若者を、一人暮らしが増えた要因として説明しています。しかし、熟年男性の一人暮らしも、このような課題をもたらすのですね。家族を持たない、職業を持たない、いわゆる社会から「排除」された人たち。また、うまく社会とコミュニケーションができず、関わりを持てない人たちは、行政の大きな課題です。再チャレンジ社会の課題です。