日経新聞経済教室は21日から、「官民の役割を見直す」を始めました。初回は、八代尚宏先生の「公共サービス、市場に曝せ」「競争で効率性追求、民にできぬ範囲再検討を」です。
市場で得られない公共サービスは、政府が責任を持って供給しなければならない。しかし、公共サービスのすべてが、公務員でなければ提供できないわけではない。生活に欠かせない電力・ガスを供給する民間企業は、事業法の制約の下で公益性が担保されている・・・官が民と張り合って、財やサービスを提供することは、サッカーの試合で審判が選手を押しのけ、シュートするようなものである。選手に自由にプレーさせる一方で、不正を行う選手は一発退場させ、公平で熱気ある試合を作り出すことが、審判の本来の役割である。
・・いうまでもなく、官業の民間開放は万能ではない。官の独占体が民の独占体に変わることは、もっとも避けるべきだ。国が抱え込んでいた事業を市場の競争に曝す一方で、それが民の事業と対等な立場で競争するような事後規制を担保する必要がある。人々の安全を守る責任では、官民事業者の違いはない。「官でなければできない仕事」とは何かを、抜本的に検討する時期に来ている。