7日の朝日新聞異見新言は、宇野重規准教授の「選挙の争点、政治は格差を語れるか」でした。
日々、格差問題が語られているにもかかわらず、これが本当に政治問題化するかは、今のところはっきりしない。
格差の問題を痛切に感じ、格差の広がりに対して不満を持つ人の数は少なくないはずであり、不満を持つ人々が結集すれば、一つの政治的な力となるだろう。しかしながら、不満を持っているという点では、一致団結できるとしても、何に不満を抱いているのか、どこにその原因があるのかを論じ始めると、たちまち団結は崩れてしまうのが現状である。
というのも、かつての不満が階級意識とも結びつき、社会のなかで一定の数を有し、はっきりとした輪郭を持つ社会集団とのかかわりを持っていたのに対し、現代の不満の特徴は、一人ひとり多様で、ますます個別化する傾向を持っているからである・・・
この説には、納得します。豊かな社会での格差や不満が、かつてのような政治集団や政治的主張にならないのは、こういうことなのですね。豊かな社会での不安・不満と行政の関係は、「新地方自治入門」p180以下に書いておきました。