それなら、「大部屋ごとに業績を評価すれば良いではないか」という指摘が出るでしょう。「課や係で仕事が決められている」なら、それごとに評価をすればいいのです。しかし、課や係ごとに仕事は決められていますが、課や係で達成すべき目標は、たいてい決められていません。年度の初めに、あるいは人事異動で着任した際に、課長が上司から「今年度はこれだけを達成するように」と指示を受けることはまずないと思います。局長が就任に当たって、大臣から「これこれを達成するように」との指示書を受け取ることもないと思います。
「××の企画に関すること」「○○の運用及び改善に関すること」といった定め方では、仕事を決めていても、目標は決まっていません。何となれば、これでは達成したかどうか判定できないからです。
すなわち、課や局としてのさらには省としての、目標は設定されず評価はされていないのです。「あの課は良くやったから今年はボーナスをはずもう」ということはありません。
実は、職員に職務内容書が示されないのは、この組織にも目標がないこととも連動しています。課や係に業務の目標がなければ、個々の職員に目標を設定できないのです。もちろん、企画業務や内部管理業務の場合、目標設定は難しいです(民間企業の場合、どうしているんでしょうか)。数値にならない目標もあります。でも、「××プランを、9月までにつくり、市民に公開する」といったように、数値でない目標はあります。この場合、当然、プランをつくるだけでは達成でなく、内容が実のあるものでなければなりません。
それより問題なのは、「あの組織はもう目標を達成したから廃止しよう」ということが、ほとんどないことです。官庁では、これまで予算や定数・法律の数といった「入力」で評価されたので、「成果」では評価してこなかったからです。
近年、政策評価や行政評価が議論になり、取り組まれています。そして、これまでの入力評価でなく、効率や顧客満足度による評価に変わりつつあります。これは良いことです。しかし、これらも目標達成度という観点からは、まだ十分には機能しません。組織定数の査定も、せいぜい「忙しいから増やそう、暇そうだから減らそう」です。次回に続く。