年別アーカイブ:2006年

省庁再編

2006年1月14日   岡本全勝
最近、省庁再編(再々編)の話題が出ています。何人かの記者さんから「省庁再編の専門家としてどう考えるか」との質問があったので、一言書きます(もっとも私は専門家ではなく、体験者ですがね)。
IT関係部門がいくつかの省庁に分かれているので、それを整理統合することは、一つの案だと思います。ただし、これを「省庁再編」というのかどうか。省庁再編と言うには、霞ヶ関全体を見渡してどうすればより合理的かを考え、もう少し多くの省を巻き込んだ組み替えをするべきではないでしょうか。
ある一つの事務をとらえて、その所掌を組み替えるのは「事務の再編」であって、省庁再編とは言わないと思います。例えば、かつて国土庁を作ったとき、あるいは先般、農水省の食糧庁を廃止して内閣府に食品安全委員会を作ったときも、省庁再編とは言わなかったですよね。
私は拙著「省庁改革の現場から」で、「省庁の機能をどのように大括りするかは、識者によってさまざまな説があろう。しかし、所詮は組織をどう括るかの話で、いわば『家の間取り』の問題である。運用してみて不都合であれば、時代の要請に応じて、また再編すればよいのである」と書いています(p192)。なお、2001年の再編でも、国土交通省が巨大官庁になること、総務省の統合理念が不明確であることなどの批判がありました。さらに、あの省庁再編は家の間取りの変更以上に、家の大きさ=国家や行政の果たすべき役割の見直しをしたのでした。
IT行政についても、いろんな考えがあるでしょう。規制と振興を分けるのかどうか。ハードウエア、ソフトウエア、コンテンツをどう分けるのか。例えば、自動車の場合は、道路整備は国土交通省道路局、自動車の型式は国土交通省自動車交通局、交通規制は国家公安委員会、自動車の製造は経済産業省が所管しています。排気ガス規制は環境省、税金は財務省(国税)と総務省(地方税)。それぞれの省に与えられた政策理念に従って、このように分担されています。これを縦割りと見るのか、理念による分担と見るかの違いです。

省庁改革5周年

2006年1月10日   岡本全勝
8日の読売新聞も、省庁再編5年を解説していました。「政治主導、道半ば」「ポスト小泉で逆戻り、統合効果・融和に課題」という見出しです。
「しかし、首相主導のもろさを指摘する声もある。省庁再編に伴う改革では、内閣法を改正し、閣議における首相の発議権を明確化した。次官会議で事前に了承した案件のみ取り上げる閣議の形骸化を改める狙いがあったが、『発議権の定義は明確でないが、首相自ら、閣議で需要案件を発議したケースはほとんどない』(内閣官房幹部)のが実情だ」
「省庁間の調整が難しい場合に、内閣官房か内閣府が調整を果たす政策調整システムも機能していない」
ご指摘点は、その通りでしょう。でも、私に相談してくれれば、もっと幅広い整理をしたのに。先日の整理を見てください。

省庁改革5周年

2006年1月6日   岡本全勝
今日6日で、省庁改革から5年がたちます。日経新聞は「行政効率化、道半ば」「政治主導進む」を書いていました。もう5年もたつのですね。拙著「省庁改革の現場から」では、第2章で「何が変わるか」を、第4章で「残されたこと」を整理しておきました。それに沿って、現段階での進捗状況・効果を簡単に評価しておきましょう。
(仕組みの改革について)
1 省庁再編は、円滑に進んだ(官僚は抵抗しなかった)。
2 内閣機能の強化は、特に、経済財政諮問会議が効果を発揮した。内閣官房・内閣府については、まだ評価は定まらない。
(運用の改革について)
1 政治主導については、小泉総理により、官僚主導から政治主導へ、政治家(のバラバラ)主導や党との二元主導から官邸主導へ、大きく進みつつある。
副大臣・政務官の機能については、まだ評価は定まらない。
2 縦割り行政の弊害除去については、官邸主導で改善されつつあるが、評価は定まらない。
(行政改革について)
1 スリム化については、課の数・定数削減など決められたことは進んだ。さらに、定数削減については、厳しい目標が立てられた。
2 独立行政法人化も決めた以上に進み、予想以上に非公務員化が進んだ。ただし、国費の削減効果、効率化についての評価は、まだである。
3 公務員制度改革については、いったん頓挫した。
4 省庁改革では国営とされた郵政事業が、民営化されることとなった。また、政府系金融機関の整理など、新たな大きな行政改革が進められようとしている。
5 政策評価は着実に運用されているが、これの効果はまだ定まっていない。
新たな行政改革を実行するため、再び各省から職員が、虎ノ門の第10森ビルに「招集」されています。このビルは、省庁改革の時に事務局を入れるために借り上げたのですが、その後の行革、郵政民営化、そして今回の行政改革と次々と事務局が入り、「内閣官房改革別館」になっています。

イタリア市議会、移民の声を反映させる

2006年1月5日   岡本全勝

遅くなりましたが、12月31日の読売新聞国際面に「イタリア市議会、移民の代表『議員補』続々」「不満を代弁、行政とのパイプ役」が載っていました。イタリアでは、市議会が、外国人に地方選挙への参政権を与えるために条例改正しようとしました。しかし、政府は、法律を変えない限り無効だとと宣告しました。そこで、次善の策として、5年以上の合法的滞在者が、独自選挙で議会に代表を送る制度をつくりました。いくつかの市に、広がっています。議会での表決には加わらないものの、移民の声を代弁する補完的制度だそうです。
補足ですが、欧州連合(EU)では、加盟国民は他国でも地方参政権があります。ここで言う外国人は、EU以外の出身者です。興味深い制度です。もっとも、議会が何を決めるかによって、その機能は違ってきます。

三位一体改革(補助金改革・税源移譲)金額内訳

2006年1月2日   岡本全勝
16年度から18年度まで
補助金改革 4兆6,661億円
(H15年度改革分を除く)
税源移譲額
3兆94億円
内訳
年度
スリム化・
交付金化
1兆7,829億円
税源移譲に結びつく
補助金改革額
3兆1,176億円
(15年度改革分を含む)
(H15改革分
2,344億円)
H15決定
(H16分)
1兆314億円
5,565億円
スリム化4,235億
円
交付金化1,330億
円
(H15改革分義務教育共
済等2,344億円)

H16改革分4,749億円
公立保育所等2,440億円
義務教育(退手等)2,309
億円

6,559億円

義務教育共済等H15改革分
2,051億円
公立保育所等2,198億円
義務教育(退手等)2,309億
円

H16決定
(H17・18分)
2兆3,980億
円
6,441億円
スリム化3,011億
円
交付金化3,430億
円
1兆7,539億円
 
公営住宅家賃補助、養護
老人ホーム等2,211億円
国民健康保険6,862億円
義務教育8,467億円
1兆7,429億円
公営住宅家賃補助、養護老
人ホーム等2,101億円
国民健康保険6,862億円
義務教育8,467億円
H17決定
(H18分)
1兆2,367億
円
5,823億円
スリム化2,640億
円
交付金化3,183億
円
6,544億円

公営住宅家賃補助、児童
手当等5,854億円
公立学校施設等690億円

6,106億円
公営住宅家賃補助、児童手
当等5,761億円
公立学校施設等345億円

(作成協力 森山正之さん)

税源移譲に結びつく国庫補助負担金の改革(3兆1,176億円)の内訳
平成16年度税源移譲に係るもの:計7,093億円
・義務教育費国庫負担金及び公立養護学校教育費国庫負担金
(うち共済長期給付負担金及び公務災害補償基金負担金) (2,184億円)
(うち退職手当及び児童手当) (2,309億円)
・児童保護費等負担金(うち公立保育所運営費) (1,661億円)
・介護保険事務費交付金( 305億円)
・軽費老人ホーム事務費補助金( 167億円)など
平成16年政府・与党合意(H16.11.26)に係るもの:計17,539億円
・義務教育費国庫負担金及び公立養護学校教育費国庫負担金(8,467億円)
・国民健康保険国庫負担(6,862億円)
・養護老人ホーム等保護費負担金( 567億円)
・在宅福祉事業費補助金(うち介護予防・地域支え合い事業(緊急通報体制等整備事業等)等) ( 125億円)
・公営住宅家賃対策等補助(うち公営住宅家賃収入補助) ( 641億円)
・協同農業普及事業交付金(うち職員設置費の一部) ( 146億円)
・小規模企業等活性化補助金(うち小規模事業経営支援事業費補助金等) ( 96億円)
・消防防災設備整備費補助金(緊急消防援助隊関係設備分を除く) ( 61億円)など
平成17年政府・与党合意(H17.11.30)に係るもの:計6,545億円
・児童扶養手当給付費負担金(1,805億円)
・児童手当国庫負担金(1,578億円)
・介護給付費等負担金(うち施設等給付費に係るもの) (1,302億円)
・地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(うち都道府県交付金) ( 390億円)
・公営住宅家賃対策等補助(うち公営住宅法に基づく国庫負担金分等) ( 620億円)
・公立学校等施設整備費補助金(うち不適格改築の一部等) ( 170億円)など
地方交付税改革については三位一体改革・交付税改革へ