カテゴリーアーカイブ:生き方

会社の中の私、私の中の会社

2026年3月22日   岡本全勝

個人の再登場」の続きになります。
「会社人間」は、個人の生活が会社に取り込まれてしまいます。図にすると、会社という大きな円の中に、小さな円である私が入ります。下の図の左。個人が主役になると、私という大きな円の中に、小さな円である会社が入り、ほかに家族や趣味という小さな円も含まれています。下の図の右。
左の図では私が会社を飛び出すのは困難ですが、右の図なら会社を取り替えることも容易です。

また、組織の中の歯車という表現もされます。それを表したのが、下の図です。

尊敬する人は父親より母親

2026年3月13日   岡本全勝

2月21日の日経新聞に「イクメン増えても父の地位低下 尊敬も感情共有も母に軍配」が載っていました。
博報堂の、19~22歳の未婚の男女600人を対象とした調査です。
「尊敬する点が一番多い相手」は、1994年では父親46%、母親28%でしたが、2024年では母親43%、父親34%です。
「自分の価値観や考え方に一番影響を与えている相手」は、1994年では母親22%、父親21%でしたが、2024年では母親41%、父親20%です。

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が2018、21、24年に実施した合同調査では「進路決定に影響した人の意見やアドバイス」は3回連続で「母親」が1位です。「父親」は21年と24年は「高校の先生」「友達や先輩」に次ぐ4番目でした。

・・・30年前よりも育児に関わる父親、イクメンは増えたはずなのに、なぜか。
博報堂生活総合研究所上席研究員の高橋真さんは「女性の進学率や就業率が高まり、『大黒柱』として尊敬されていた父親の役割を女性も担うようになった。現代の母親は学校の対応や家事、仕事をこなすスーパーヒューマン。ロールモデルとして母親の存在感が増している」と見る。

実際、専業主婦世帯は1980年の1114万世帯から24年には508万世帯に減少。共働き世帯は90年代に専業主婦世帯を超え、2024年には1300万世帯と専業主婦世帯の2.5倍に増えた。女性の大学進学率も1974年の11.6%から2025年には56.5%に伸びた。

男性学に詳しい京都大学名誉教授の伊藤公雄さんは「男は『弱みを見せてはいけない』といった価値観の社会で育ち、家庭内でも職場のように結論先行型で感情のないコミュニケーションをとりがち。共感しながら関係を深める意識が大切」と指摘する・・・

事後に人を論じ、局外に人を論ず

2026年3月6日   岡本全勝

毎日難解な古典漢文解説を続けている肝冷斎、時には私たちにもわかりやすい題材を取り上げてくれます。3月1日は「事後に人を論じ、局外に人を論ず」でした。時代と場所が違っても、人の性癖は変わらず、それを戒める人がいることも変わらないようです。

人多事後論人、局外論人。
(人多く事後に人を論じ、局外に人を論ず)
みなさんは、よく事が終わってから、それに関わった人のことを論(あげつら)う。あるいはその事件の外から、それに関わった人のことを論っている。

事後論人、毎将知人説得極愚、局外論人、毎将難事説得極易。
(事後に人を論ずるは、つねに知人を将(ひ)いて極めて愚なるを説き得、局外に人を論ずるは、つねに難事を将いて極めて易なるを説き得ん)
事が終わってから関わった人を論ずるなら、つねに知恵ある人を極めて愚か者だったと評することができ、事件の外から関わった人を論ずるなら、つねに困難な事案を極めて簡単なことだと評することができるわけだ。

中高年社員、身につけた価値観を捨てる

2026年3月3日   岡本全勝

2月17日の日経新聞夕刊「「アンラーニング」で過去の価値観手放そう シニアや転職者に」から。
・・・これまで培った仕事のスキルや価値観を意識的に手放す「アンラーニング」に取り組む企業や個人が出てきている。雇用期間の延長に伴うシニア社員の増加や、転職者の増加が背景にある。「シニアは成長しない」「転職前のやり方で転職後もやり通せる」といった固定観念を捨てることで、新たな成長を目指す。

「ベテラン社員はアタマが固い」「若手より報酬が高いのに仕事の担当数が少ない」
森永製菓の人事部の桜沢典子さんはこの数年、幾度となく若手・中堅社員からミドル・シニア社員への不満を耳にした。一方で、50代以上の社員に個別に話を聞くと、また別の風景が見えた。
「ITは苦手と思われているし、挑戦しなくてもいいか」「若手の邪魔にならないよう何事も控えめがいいのかな」

ミドル・シニアに漂う遠慮や諦めの空気を変えなければ成長はない――。森永製菓は50代以上の社員が約4割を占める。今後も若手や中堅が減少する見通しのなか、50代以上の社員を「現役戦力」とするため2022年度から研修を始めた。そこで据えたテーマが「アンラーニング」だ。
アンラーニングとは、成功体験や固定観念を手放すことをいう。森永製菓では「必要ないスキルを一度しまう」、その上で「必要なスキルを学ぶ必要がある」という意識を持ってもらうアンラーニングを目指しているという。
例えば25年12月の研修では、10年後、20年後といった場面ごとにリストラなど予想もつかない変化にどう対応するかを決めるカードゲームをして、今後必要なスキルを確認した。研修の最後には習慣やスキルで「置いていくもの」「もっていくもの」をそれぞれがシートに記入した。
これまでの研修参加者からは置いていくものとして「プライド」「過去の武勇伝」などが挙がったという。人事部の桜沢さんは「ミドル・シニア社員が若手の見本になるよう、現役として学び続ける意識を持ってほしい」と話す。

青山学院大学の松尾睦教授(組織論)によると、個人を対象にしたアンラーニングは2000年以降、海外で研究が始まり、日本でも10年ごろから注目されるようになった。松尾教授は「雇用延長などでシニア社員が増えたり、人工知能(AI)の台頭でリスキリングの必要性が高まったりする中で、企業が特に意識するようになった」と話す。
転職などで仕事環境が大きく変わりうる現代は、年齢問わずアンラーニングの重要性が増している・・・

それは本当にタイパなの

2026年2月14日   岡本全勝

今時の言葉に、コスパ、コストパフォーマンス(費用対効果)という言葉とともに、タイパ、タイムパフォーマンスという言葉があります。両方とも和製英語だそうです。費用対効果は英語では、cost effectiveness だそうです。
タイパは、かけた時間に対する効果、時間対効果です。若者が重視するとのこと。電車の中で、あるいは歩きながらスマートフォンを操作している人を見ると、タイパが悪いことをしているなあと思います。本人は、空いている時間や歩いている時間にスマホを見るのだから、タイパが良いと思っているのでしょうが。

「ながら」は、効率が悪いです。人間の脳は、一度に一つのことしか処理できません。同時に二つのことをやっていると思っていても、実は頭はその切り替えに時間と労力を費やしているのです。アインシュタインの言葉に「美人にキスしながら 安全運転ができる人間は、 キスに十分集中していない」があります。歩きスマホは、危ないし、周囲の迷惑です。さっさと歩いて、立ち止まってスマホを操作してください。
「電車中なら迷惑もかけない」と思っているあなた。その間に、頭は疲れていますよ。一日のうちに、人間が集中できる時間は限られています。そして、疲れは蓄積されます。電車中で居眠りすることはお勧めしませんが、ぼけ~としていることにも効果があるのです。

あなたは、何のためにスマホを見ていますか。スマホに、あなたの注意と時間を奪われていませんか。それはあなたの人生を充実させ、幸せにしてくれていますか。忙しいことの成果は、何でしょうか。
その瞬間の時間対効果と、一日や長い目で見た時間対効果は別です。スマホ画面の注意を引きつける画像は、害毒だと心得ましょう。スマホは、あなたの時間と脳を盗むの泥棒です。
いつものように、老人の繰り言です。