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道路特定財源と分権

2008年2月23日   岡本全勝

232日の朝日新聞に、片山善博前鳥取県知事の、道路財源についてのインタビューが載っています。
・・道路が要るか、要らないかという議論はほとんど無意味。要る道路は要るし、要らない道路は要らない。1本ごとに審査し、教育など他の施策とどちらが優先度が高いか議論すればいい・・
(多くの首長が暫定税率維持を訴えていることについて)
そう言うのは、自治体の財政しか頭にないからだ。「民のかまどを考えたら減税を」という主張が少しでも出るのがバランスというものだが、知事会にそんな人はいないし、市長会も(暫定税率維持を求める署名をしなかった)6人以外は国土交通省の言う通り。残念だ・・地方6団体は総務省の外郭団体。情けない。この間まで、三位一体改革で「一般財源化しろ。自由をよこせ」と言っていた人たちが「道路にしか使えないように縛って、縛って」。緊縛趣味のマゾヒストですよ・・

知事が地域の雇用を考えるとき

2008年2月22日   岡本全勝

21日の朝日新聞「私の視点」に、平井伸治鳥取県知事が「ハローワーク、地域に合った住民本位の工夫を」を書いておられます。
・・昨年11月末になって、今度は県内5か所のハローワークのうち2か所を閉鎖するとの国の方針が出され、怨嗟の声が上がった。狙われたのは県内でも求人倍率の低い地域で、昨年12月には0.36倍まで低下したところもある。地域を挙げて産業振興を図り、働く場を何とか確保しようとしている矢先に、仕事を探し求める場が閉ざされてしまう不条理。年末にこれらの問題を国に訴え、求人開拓員を雇う県など他にない、と桝添厚労大臣に閉鎖撤回を直談判したところ、撤回こそならなかったが、求人開拓の職員増をはじめ閉鎖代替支援の特別の温情が国から示されるに至った・・そこで新年度から、閉鎖される区域に鳥取県独自で「ふるさとハローワーク」を創設することにした。ハローワークは国の組織という固定観念にとらわれず、国の支援を活用し、県職員も加え、市町も協力して新組織をつくるのである・・
知事が、地域の雇用を考えることさえ、「国の温情」にすがらなければならないのです。

道路財源と分権

2008年2月9日   岡本全勝

9日の朝日新聞社説は、「道路と自治体―分権の視点はどこに」でした。
・・・歴代の首相は口をそろえて「分権推進」を強調してきた。小泉元首相の「三位一体」改革の掛け声はその代表例だ。なのに、中央官庁は権限をなかなか手放そうとしない。財源移譲となればなおさらだ。地方の財政は細るばかりというのが首長らの実感だろう。 その結果、知事や地方議員らはことあるごとに上京し、中央官庁や与党を陳情に歩かねばならない構図が続いてきた。 そんな状況を変えたい。権限と財源を自治体に移し、限られた予算をどう使うか、もっと住民に近いところで決めるべきだ。それが分権の考え方である。 道路整備についても同じはずだ。地域が真に必要とする道路はどれなのか。福祉や教育、医療などの行政需要と比べ、どの程度の予算を道路に振り向けるのが適当なのか。自治体の長や議会の判断で決められるようにしてこそ、効率的で無駄のない使い方ができるようになる。 そう考えれば、自治体側が訴えるべきことは明らかだろう。中央が握っているいまの道路財源を大胆に地方へ移す。そして、道路にしか使えないという特定財源の仕組みを廃止し、何にでも使える一般財源にすることだ。・・・

講評

2008年2月3日   岡本全勝
今日、66人の成績評価を終えました。一人ひとりの学生にとっては、重大なことですから、私としても真剣・慎重になります。一通り読んで点数をつけた後、何度か読み返します。減点主義だと低くなりがちなので、良いところを探して、引き上げます。授業を理解していない(聞いていない)レポートが出てくると、悲しくなります。一方、学生がこれだけのものを調べて書いているのかと、感心するのもあります。この人は、文句なくA。
多くの人は、分量や内容に関して「良くこれだけ書いたな」と思うくらい、努力の跡が見えました(一部の人を除きます)。また、地方制度の現状や分権の課題などについて、十分理解してもらえているようです。この点については、安心しました。以下、講評を述べます。
1 テーマ
第1課題「地方公共団体への議院内閣制導入の是非」を選んだ人は10人、第2課題「道州制」を選んだ人は49人、第3課題「その他」を選んだ人は7人でした。
2 形式など
課題のペーパーに「評価の基準」として、「外してはいけない要素」「体裁」などを指示しておきました。これを守っていないレポートは、当然、評価は低いです。結論またはポイントを書いていないもの、長所短所を書いていないものです。
数人ですが、誤字のとてつもないもの、白紙が挟まっているもの、文章の途中で活字の大きさが変わるもの、「ですます」と「である」が混在しているものがありました。研究者の論文を引用する際に、氏名を間違えているものも。提出する前には、読み返してください。
3 道州制について
道州制についての理解は、ほぼ全員できていました(一部の人を除く)。
評価が低いのは、次のようなものです。
私の授業を無視して、議論を展開するもの。例えば、授業で取り上げ資料も配った「第28次地方制度調査会答申」に言及せず、第27次答申で議論するもの。都道府県・市町村の上に、さらに道州制を載せるものとして議論をするもの。それも一つの考えですが、その際には、なぜ都道府県を存続させるのかを、述べておくべきでしょう。
行政論を述べず、区割りだけを議論するもの。「立法権を付与する」と書いて、その内容や問題点を書かないもの。理由なく、長所短所を羅列するだけのもの。
道州制を導入すると、財政再建ができ、分権が進み、住民が自立するなど、考察もなくバラ色の社会を描くもの。国との対比をするだけで、現在の都道府県がどう変わるかを述べないもの。
評価が高いのは、次のようなものです。
バランス良く論点に言及しているもの。あるいは、論点が多いので、ある点に絞って深く考察しているもの。このテーマは論点が広く、それに言及し出すと、分量が大変になります。よって、論点を絞ることが望ましいでしょう。例えば、基礎自治体との関係に絞った人、経済に絞った人、行政分野を分けてメリットを分析した人などです。
4 議院内閣制と首長制について
制度と運用を、区別しない議論が多かったです。例えば、地方議員の資質が低いので、議院内閣制は導入すべきでないとか、議員立法が少ないから議院内閣制は導入すべきでないなど。また、首長制の方が市長が強いリーダーシップを発揮できるというのもありました。予算や条例を成立させるためには、議会の同意が必要です。小泉内閣を見ても、「議院内閣制だからリーダーシップが弱い」とは、言えません。
5 第3課題について
これを選んだ人は、それぞれのテーマについて、それなりに勉強していました。文献を読んで勉強していることは評価できるのですが、本人の意見・分析となると、何人かを除いて、踏み込みは少なかったです。
6 そのほか
授業の内容を、そのままレポートにしたのもありました。それはうれしいのですが、課題には「あなたの意見を書きなさい」と入れてあります。また、文献の書き写し=要約もありました。よく勉強しているのはわかりますが、これも、Aを上げるわけにはいきません。
私の授業では、地方自治の基本的知識と現在の問題を理解すること、そして日本の行財政に関心を持ってもらうこと、できればニュースを見て自分としての判断ができるような能力を身につけること、を目指しています。その意味もあって、テストでなく、レポートで採点しています。レポートを書くことで、あるテーマについて、授業を超えてさらに自ら勉強してもらえるからです。これからも、関心を持ち、自らの判断でニュースを見るようにしてもらえれば、幸いです。