産経新聞は、18日から連載「分権の壁、第2部中央の抵抗」を始めました。第1回目は、「農水相、手放さぬ権限」でした。・・地方への影響力を温存するため、既得権限を手放したがらない農水省は組織を挙げて”抵抗”を強めていた・・(6月18日)
産経新聞連載「分権の壁、第2部中央の抵抗」、19日は、「消えぬ国管理神話」でした。・・丹羽(分権改革委員長)は、「役人たちは他の世界から完全に隔離された異星人」と舌鋒鋭く官僚批判を繰り広げている。・・丹羽は16日の講演で、「1次勧告は岩盤の厚い入り口に手を突っ込んでドアを開けた。これで終わりなんてとんでもない」と語った。
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地方行財政-分権改革
京都府知事の主張・河川整備の責任者
18日の朝日新聞「私の視点」は、山田啓二京都府知事の「河川整備計画、地元知事に判断委ねよ」でした。
・・国土交通省近畿地方整備局が原案に盛り込んだ4つのダム計画について、整備局の諮問機関である淀川水系流域委員会が「説明や議論が不十分」と待ったをかけた。この異例の事態は、実は当たり前といえる。整備局は、治水事業に関する高度な専門技術集団であり、利水や環境の問題に配慮しつつ最も安全確実な河川の整備こそ彼らの使命だ。一方の流域委は、治水だけでなく、まちづくり、景観、生態系など幅広い分野の有識者や住民代表らで構成される。委員がそれぞれの観点から主張すれば、治水専門家の整備局と意見がかみ合わないことは明らかだろう。
この問題の本質は、誰が河川の未来計画を判断して決めるのか、という点にある。整備局は、国の出先機関にすぎない。・・私は、地域住民の生命・財産を守る責任を負っている地方自治体が、技術集団の支援を受けながら責任を負っていくのが、本来の姿であると考える。地方行政の責任を任された知事が、様々な専門家の意見を聞き、財政負担の問題も含めて住民に説明しながら、総合的に判断すべきなのだ。しかし、現行の河川法では、国が管理する河川の整備計画について、知事は議論の過程に参加できない・・
第1次勧告の扱い
14日の読売新聞解説欄で、青山彰久編集委員が「分権推進要綱案固まる。抵抗受け骨抜き、首相の指導力欠如」を解説しておられました。要約は、政府の要綱案は、分権推進委の第1次勧告の内容を後退させる内容になった。分権に抵抗する各省・議員の意を酌んだためだが、改革には首相の強い意思が不可欠。というものです。
16日の東京新聞では、清水孝幸記者が、「地方分権委が1次勧告。試される政治のやる気」を解説していました。「中央官僚と族議員は相変わらず権限死守の姿勢だ。骨抜きや先送りは許されない。首相と首長のやる気が試される」。
分権委員会1次勧告の扱い
12日の各紙が、政府の地方分権改革推進要項案を取り上げています。5月末に地方分権改革推進委員会が、第1次勧告を総理に提出しました。それを受けて、政府の地方分権改革推進本部が、政府としての取り組みを決めます。この本部は、総理が本部長で全閣僚からなるので、閣議のようなものです。記事では、要綱案が、11日の自民党地方分権改革推進特命委員会に示され、了承されたと伝えられています。
「11日の自民党地方分権改革推進特命委員会に示して了承された地方分権改革推進要綱案(対処方針)は、地方分権改革推進委員会の第1次勧告より後退した内容となった。各省や自民党議員の抵抗に配慮し、妥協を迫られた結果だ」(読売新聞)。
「インフラ整備にからむ権限移譲については、自民党内の反発も強い。11日午前の党地方分権改革推進特命委員会では「河川管理を知っているのか」「了承するわけにはいかない」といった意見が続出。政府案を説明する増田総務大臣の前で、出席議員が激しく怒号を飛ばす場面もあった」(日経新聞)。
「分権委は今後、より激しい抵抗が予想される、国の出先機関の廃止・縮小や、国と地方の税財政の見直し提言に取り組む。それだけに、同本部長を務める福田首相の指導力が問われそうだ」(読売新聞)
2008.06.08
8日の朝日新聞補助線は、多賀谷克彦編集委員の「地方分権を読み解く。推進委の孤立、避けよ」でした。
・・勧告を踏まえた政府の対応は、今月中にも公表される。といっても、農水省は農地転用の権限移譲を認めておらず、他の案件でも霞ヶ関の抵抗は強い。こんな話もある。国営公園の管理をめぐって、丹羽氏が「なぜ都道府県に任せられないのですか。県の管理と国の管理で草の育ち方が違うのですか」と聞くと、国交省の担当官は真顔で「全然違います」と答えたという・・
丹羽氏は「分権の成否は国民の支持とリーダーシップにかかっている」と言う。それだけに、今回の提言への関心があまり高くないことが気がかりだ。分権は疲弊し続ける地域経済に道を開く。経済界からの力強いサポートがあっていいはずだ。「丹羽委員会」を孤立させてはならない。