カテゴリーアーカイブ:行政

制度・規制改革学会、「子育て支援金」制度の撤回を求める緊急声明

2024年4月10日   岡本全勝

4月5日に、制度・規制改革学会が、「「子育て支援金」制度の撤回を求める」緊急声明を出しました。最初の部分を引用します。

政府は、少子化対策の財源として「子育て支援金」の新設を提案し、今国会に関連法案を提出した。健康保険料に上乗せして国民と産業界から徴収するとの案だが、根本的な欠陥がある。
1)健康保険から取ることは根本的に間違い
・そもそも健康保険は、疾病のリスクに備える社会保険である。少子化対策への流用は、その本来の目的から外れる。
・何ら合理的理由がないにもかかわらず、こうした提案がなされるのは、「取りやすいところから取る」ということにほかならない。
・少子化対策は医療保険にとっての受益であるというのはもはや屁理屈である。これを認めれば、観光振興も環境対策も健康にプラスの効果を与え、医療保険の受益となるなどもはや何でもありとなる。将来の各種施策の財源確保にも禍根を残す大失策になりかねない。
2)負担は生じる
・政府は「実質的な追加負担は生じない」と主張するが、この政策で保険料負担が増える以上、詭弁である。
・上乗せ分は世代一律ではなく、現役世代に偏って負担が増す。高齢世代の負担がわずかであることは不公平であり、かつ、子どもを産み育てる世代の支援という少子化対策と逆行する。

日銀、異次元緩和の評価

2024年4月9日   岡本全勝

3月21日の朝日新聞に「異次元緩和11年目の転換1」「未達成、2%目標も好循環も」が載っていました。

・・・ 「輪転機をぐるぐる回して日銀に無制限にお札を刷ってもらう」
異次元緩和は12年末に政権復帰した安倍晋三首相(当時)の大号令で始まった。リフレ派と呼ばれる金融緩和論者たちの主張に沿った取り組みだ。しかしその構図は、日銀が国債を買い支えるという「財政ファイナンス」だった。
日銀や財務省の幹部たちは強い懸念を抱いていた。リフレで物価と賃金の好循環が生まれると、心から信ずる者はまずいなかった。むしろ、異常なマクロ政策を押し通せば、通貨円や日本国債の信認が失墜する恐れがあると案じていた。
「サイは投げられた。こうなったらやるしかない」。財務省幹部は悲壮な表情を浮かべた。

懸念はさまざまな形で現実となる。最近の輸入インフレをきっかけにした物価高や賃上げが起きるまで、異次元緩和を10年近く続けても2%インフレ目標は実現しなかった。「好循環」も起きなかった。
一方、日銀が保有する国債は発行残高の5割超まで膨れあがった。日銀の買い支えに甘え国債増発に頼り切った政権や与野党からは、財政健全化の機運が消え失せているように見える。
黒田日銀は「2年」という2%目標の達成時期を守れないだけでなく、総裁1期目の5年間でも異次元緩和を終えられず、異例の2期目も続けた。そして期限なしの長期戦へともつれこんだ・・・

板垣勝彦著『自治体職員のための ようこそ地方自治法』第4版

2024年4月8日   岡本全勝

板垣勝彦・横浜国立大学教授の『自治体職員のための ようこそ地方自治法』(第一法規)の第4版が出ました。平成27年に初版が出て、7年で第4版です。よく売れているということですね。
書名にあるように、自治体職員向けに書かれていますが、大学での教科書にも使えます。「文字通りの“超”入門書」とのこと。先生は、地方自治法の講義を動画配信しておられます。この本を使った講義です。

一部が、江戸川学園取手中学の2024年の入試問題に使われたとのこと。「地方自治が必要な理由」の「自己決定・自己実現の要請」(3ページ)です。中学入試ということは小学生が読んで、考え、答えることができるということです。
先生のホームページでは、鉄道模型ジオラマもお勧めです。
参考、北村亘ほか著『地方自治論』新版

大きな政策の進め方、各論優先の失敗

2024年4月8日   岡本全勝

3月20日の日経新聞経済面コラム「大機小機」、「誤った人口減少対策の手順」から。

・・・この提言のおよそ1年前の2023年1月、岸田首相は「異次元の少子化対策」に取り組むと表明した。
この時に筆者は、政府がいよいよ人口減少問題に本格的に取り組むと期待した。ところが、その後の議論は児童手当拡充など子育て支援策とその財源手当てなどに集中し、外国人労働者を含めた労働力の確保や人口減に対応した経済・社会構造の改革という骨太の議論にならなかった。

その理由は、岸田政権が選挙をにらんで児童手当を人気取り政策のひとつとして考えていたためではないか。その結果、人口減への危機感の共有が十分に進まなかったと考えられる。
本来は今回の人口戦略会議で示しているように、まず問題意識の共有と国家ビジョンを策定してから児童手当拡充など各論に行くべきだったのに、国民にお金を配る児童手当に話が先に行ってしまった。手順があべこべなのだ・・・

小池都知事選挙公約の進展度

2024年4月2日   岡本全勝

3月20日の読売新聞東京版に「「七つのゼロ」進展は 待機児童大幅減 介護離職は1.7倍」が載っていました。数字を掲げ、数字で評価できるのは、わかりやすいですね。

・・・ 知事選は6月20日の告示まで3か月を迎えた。小池知事は去就を明らかにしていないが、2期8年の小池都政の評価は選挙の主要テーマの一つになるとみられる。2016年の知事選出馬時に掲げた公約「七つのゼロ」はどれほど実現したのか。データで探った。
最も早く公約を達成したのが「ペットの殺処分」のゼロだ。就任前の15年度、都内で殺処分された犬や猫は203匹に上ったが、ボランティア団体と連携して保護犬や保護猫を譲渡する機会を増やすなどした結果、18年度は0匹(生育困難なペットを除く)に。それ以降、ゼロが続く。
最重要課題とした「待機児童」も大きく前進した。知事は就任直後、保育施設の整備促進などを柱とする緊急対策に着手。23年4月までに認可・認証保育所の定員は約3割増え、16年4月時点で8466人いた待機児童は、23年4月に286人と約97%減った。
「満員電車」も進展がみられた。国土交通省によると、東京圏の鉄道の平均混雑率(通勤時間帯)は15年度の164%から、22年度は123%に下がった。
混雑率の低下はコロナ禍の影響が大きいが、都はコロナ禍を機に、在宅勤務の機材購入費を助成するなどしてテレワークを推奨。22年の都内企業のテレワーク導入率は62・9%と、17年(6・8%)から大幅に増え、都の施策も混雑緩和に寄与したとみられる。

一方、後退しているのが、「残業」と「介護離職」だ。
都職員の22年度の平均残業時間は1か月16・8時間で、就任前の15年度(13・5時間)より3・3時間増加。近年は新型コロナや東京五輪・パラリンピックへの対応も影響したとみられるものの、民間企業の平均(15・2時間)も上回っている。
また、総務省の就業構造基本調査によると、22年9月までの1年間に、都内で介護や看護を理由に離職した人は1万4200人。16年9月までの1年間(8200人)の1・7倍だった・・・