大きな政策の進め方、各論優先の失敗

3月20日の日経新聞経済面コラム「大機小機」、「誤った人口減少対策の手順」から。

・・・この提言のおよそ1年前の2023年1月、岸田首相は「異次元の少子化対策」に取り組むと表明した。
この時に筆者は、政府がいよいよ人口減少問題に本格的に取り組むと期待した。ところが、その後の議論は児童手当拡充など子育て支援策とその財源手当てなどに集中し、外国人労働者を含めた労働力の確保や人口減に対応した経済・社会構造の改革という骨太の議論にならなかった。

その理由は、岸田政権が選挙をにらんで児童手当を人気取り政策のひとつとして考えていたためではないか。その結果、人口減への危機感の共有が十分に進まなかったと考えられる。
本来は今回の人口戦略会議で示しているように、まず問題意識の共有と国家ビジョンを策定してから児童手当拡充など各論に行くべきだったのに、国民にお金を配る児童手当に話が先に行ってしまった。手順があべこべなのだ・・・