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行政

西尾勝先生の公務員制度改革の道筋

東大出版会広報誌「UP」8月号に、西尾勝先生の「公務員制度改革の道筋」が載りました。
・・いま早急に国民的合意を形成しなければならないのは、まず民と官の異質性をどこまで是認するのかしないのか、である。公務員給与が高すぎるとする批判・・をみていると、この国の世論は民と官の異質性を認めようとはせず、むしろ両者間の徹底した同質化を求めているように感じられる。そうであれば、官の世界にのみ課してきた労働基本権の制限も政治活動の自由も撤廃すべきである。ついで「キャリア・システム」を公式に承認するのか、それともこれを廃止させるのか、である。これを廃止させるのであれば、これに代わる幹部公務員の選抜養成制度を再構築しなければならない。第三に、国家公務員の任用権者を各省大臣とし、国家公務員の採用を各省別にしている現行制度を維持するのか否かである。これこそ、省庁ごとの強固なセクショナリズムと外郭団体・関連企業との癒着構造とを支えてきた基盤だからである。要するに、まずは公務員制度改革の全体像を描き、ついで改革の工程表を慎重に設計し、その上で改革に着手して欲しかった・・
・・もう一つの問題は、「政治任用」の余地をどの程度まで拡大するのか、である・・私は、資格任用と自由任用と政治任用という三つの概念を明確に使い分けることを提案している・・各省庁の審議官級(または局長級)以上の職位の任用権者を各省大臣から内閣総理大臣に変えるとともに、これらの職位を自由任用職に変えるだけで十分に達成されるのではないかと思われる・・

再チャレンジ特集号

拙稿「再チャレンジ支援施策に見る行政の変化」が載った、月刊『地方財務』(ぎょうせい)2007年8月号が、発行されました。
『地方財務』今月号に、再チャレンジ特集を組んでもらいました。私の他は、「再チャレンジ支援策の概要」(黒田岳士・再チャレンジ室企画官、旧経企庁)、「地域における若者の自立支援」(美濃芳郎・再チャレンジ室企画官、旧労働省)、「暮らしの複線化の推進」(森山誠二・再チャレンジ室企画官、旧建設省)、「交流居住、移住促進政策の推進」(菊地健太郎・総務省補佐、旧自治省)、「ささやかですが、北海道から新たな『日本の笑顔』を創ります」(大山慎介・北海道庁主幹)です。すごい執筆陣だと、思いませんか(自画自賛)。8月号が雑誌としては高額なのは、別冊付録が付いているからです。すみません。市町村役場には、あると思うのですが。
なぜ『地方財務』で再チャレンジを、という疑問をもたれた方もおられるでしょう。しかし、私は、出納簿の計算を合わせることや、歳出を削ることが、財政ではないと考えています。財政は手段であって、目的ではありません。数字合わせなら、電卓に0.9を定数として入れて、すべての支出にかければいいのです。
今の職場で、行政の新しい形を考える機会をいただきました。中でも、地域の若者を育てること(美濃論文)は、地域と自治体の最大の使命です。「新地方自治入門」に書いた、「モノの20世紀から関係の21世紀へ」の代表例です。しかも、そんなに多額のお金は、必要ありません。市町村の財政担当者や企画担当者に、一緒にこれからの自治体を考えて欲しいのです。「?」とお思いの方は、拙稿をお読みください。次のような内容です。
1 再チャレンジ支援策の目的
2 行政の変化
(1)対象、(2)手段、(3)評価、(4)手法、(5)役割
3 再チャレンジ支援があぶり出したもの
(1)単線型社会、(2)外部に冷たいムラ社会、(3)仕事優先
4 地方団体の役割
(1)社会の大転換と行政、(2)地方団体への期待

民について行けない官

今日は夕方から、御手洗経団連会長に、ご説明。そのあと引き続き、キヤノン本社での夏祭りに、参加させてもらいました。それなら、フルートを持って行ったのに。「そんな、周りに迷惑な」と、おっしゃる方もおられるでしょう。でも、5,000人もおられるから、端っこで吹いていても目立たなかったでしょう(笑い)。
キヤノン本社伊藤忠本社(丹羽会長)に行くたびに、わが官庁の建物の貧弱さを痛感します。もちろん、向こうさんは世界で活躍する企業、業績を上げておられる企業です。当方は、その納めていただいた税金で食っている官庁です。しかし、世界第二位の経済大国の官庁が、こんなに天井が低く、執務室も狭く、廊下には資料が山積みされているの見ると、情けなくなります。歩いている職員はサンダル履きだし、雨の日は廊下に傘を干す人もいるのですよ。とほほ。
私ごときが説明に行っても、会長がエレベータまで送ってくださいます。もう恐縮して、恐縮して。翻ってみると、役所は、相手を呼びつける、廊下で待たせる、お見送りはしない。反省してます。

行政の失敗

24日の毎日新聞は、厚生年金と国民年金の保険料のうち、約7兆円が年金給付以外に流用されていたことを伝えています。母数は、戦後、国民が納めた総額500兆円の保険料です。その内訳は、厚生年金会館や健康福祉センターなどの施設建設費1.4兆円。大規模年金保養施設(グリーンピア)建設費0.3兆円。年金相談など1.9兆円。年金事務費1兆円などです。
同じく読売新聞は、この年金福祉施設建設費1.4兆円の資産価値が、現在評価すると0.2兆円しかないことを報じていました。これらも、順次売り払われています。
このような政府と行政の失敗は、だれが検証するのでしょうか。

再チャレンジ採用

NHKニュースが、「国家公務員中途採用に応募殺到」を伝えていました。
・・政府は、いわゆる年長フリーターと呼ばれる人たちなど、就職氷河期に就職できなかった人たちを念頭に、今年度の秋の採用試験で、来年4月1日時点で30歳から40歳までの人を対象に中途採用を行うことにしています。人事院によりますと、この中途採用で、先月26日から今月3日までの受け付け期間に、152人の募集に対しおよそ2万5000人から応募がありました。平均でおよそ164倍と国家公務員の採用試験としては異例の高さとなっています・・