総務省が、「地域づくりキーワードBOOK 地域コミュニティ再生」を発行しました。毎年テーマを変えてつくっているようですが、今年は、地域コミュニティ再生がキーワードです。また、今年からHPに載せたので、簡単に見ることができます。紹介せよとの指示が来たので、お知らせします。これで良いかな、鈴木係長。
「行政」カテゴリーアーカイブ
行政
包括民間委託
25日の日経新聞経済教室は、根本祐二教授の「学ぶ点多い米の包括委託」でした。警察・消防・教育・保健福祉以外の業務を、企業に包括的に委託した市役所の例です。政策決定などを市職員が行い、実施のための企画や実施は受託企業が行います。ほぼ半分の経費で、できているそうです。日本でも、刑務所の一部や駐車違反取締りが、民間委託される時代ですから。まだまだ、工夫できると思います。
官僚のごまかし術
昨日、「順調に進んでいて、達成率は1%」という、笑い話のような話を書きました。その続きです。
官僚は、しばしば「このような事業を行います」「研究会を立ち上げます」と発表します。例えば、地域振興などでも「こんな施策をやっています」と言って、いくつかの取り組みを紹介します。それは事実なのですが、聞いていて、何か納得できない時ってありますよね。
理由は簡単です。やっているけど、成果が見えないからです。見えないというのは、まず第一点目に、その説明に「成果」がついていないこと。第二点目に、成果が付いていたとしても、全体での達成度が示されていないことです。
第一点目は、次のようなことです。「これからやります」「こんなことやってます」は、これからの取り組みについての説明であって、「これだけできました」という成果の説明ではありません。ここがポイントなのです。国会でも地方議会でも、予算について議論します。でも、それは予定であって、どれだけの成果が出たかの説明ではないのです。
第二点目は、昨日の記事のように、ごく一部をとらえて「進んでいます」といっても、全体ではまだまだ進んでいない場合です。
これらの説明は、嘘ではないのですが、結果として国民をだましています。議員さんも記者さんも、もちろん国民も、こんな説明にだまされてはいけません。そのような説明があったら、次のように質問してください。「それで、全体ではどれだけ進んだのですか。どんな結果が出たのですか」と。
岡本審議官、官僚に苦言を呈す
先日、ある政策の状況を、聞いたときのことです。説明資料に、右肩上がりの棒グラフが付いていて、「月平均増加率17%。順調に推移」と書いてあります。「なるほど」と思って、その上の本文を読んだら、その結果の達成率は1.3%でした。比較対象となる某国は、100%です。
岡本審議官曰く「おいおい、こんな説明資料つくっていたら、官僚は信頼されないよ」「0.2%が0.4%になったら、『倍増』と書くのかね」「書いていて恥ずかしくないかい・・」
ある経済人は、「君たち官僚の説明は、ユビキタスだ」と揶揄されます。その方が何か質問すると、官僚は何についても、どんなことでも、「やっています」と答える。しかし、よく聞くと、少しやっているけれども、結果が出ていない、という意味です。
正直に答えれば、いいのですよね。「できていません」と。そして官僚に求められるのは、達成するにはどんな方法があるか、どの方法が効率的かを提示することです。
官僚復活の条件=新しい価値創造と世界での勝負
民間の方たちと議論していて、次のような話になりました。私の関心は官僚機構の今後であり、彼らは企業の今後についてです。しかし、見方は共通なのです。
一つめは、官僚機構が評価を復活させるためには、「新しい価値」を生まなければならないことです。これまでは、先進国からの輸入という手法で、新しい価値=新しい行政サービスなどを国内に広めました。しかし、先進国に追いついたことで、輸入すべきものがなくなりました(これは、私がいつも言っていることです)。
民間企業が勝ち残るためには、新しい製品やサービスを提供しなければなりません。学界も同じで、人より先に新しい発見や理論を提示しなければなりません。官僚に求められることは、新しく生じる社会問題に、どのような対策を講じるかです、新しい政策を打ち出せるかどうかが、問われます。これまでと同じサービス(政策)を売っているようでは、評価は復活しないということです。
もう一つは、競争の場です。企業は、世界を相手に競争をしています。経済のグローバル化で、国内で勝っているだけでは、じり貧なのです。学界も、世界で勝負しています。それと同様に、官僚も、国際社会で日本が生き残ることを、考えなければなりません。
日本で勝って世界で負ける減少を、「ガラパゴス現象」と呼びます。閉ざされた世界でそれなりに進化するのですが、世界では負けるのです。内弁慶では、だめなのです。
もちろん、企業でも官庁でも、決められたことを実行するという仕事も重要です。しかし上に述べた観点から見ると、企業において、内部管理部門より開発部門と営業部門が重視されることが、納得できます。官庁においても、事業の執行や予算や補助金を配分する仕事は重要であっても、それは新しい価値創造ではなく、また世界での競争ではありません。それらは、これからの官僚に期待される重点的な役割では、ないのでしょう。