カテゴリーアーカイブ:行政

村上信一郎著『ベルルスコーニの時代』

2018年4月11日   岡本全勝

村上信一郎著『ベルルスコーニの時代 崩れゆくイタリア政治』(2018年、岩波新書)を読みました。政治、特に西欧民主主義の現在に関心のある方には、お勧めです。
面白いと言ってはお叱りを受けますが、イタリア政治の実態がよくわかります。そしてそれを通して、政治が制度や理論では動いていないことが、よくわかります。複雑怪奇なイタリアの戦後政治を、著者は切れ味良く整理して見せてくれます。
ベルルスコーニの時代と銘打っていますが、それとともにイタリア政治の実情と大変化が主題です。

イタリアは、キリスト教民主党が戦後長く政権にあり、しかし内閣は短命で交代を繰り返していました。また、共産党が大きな勢力を持っていました。それが、1990年代初めに両党がなくなるという、大変化が起きたのです。
私も新聞報道を読んでいましたが、この本を読んで、その背景と過程がよくわかりました。一つは、東西冷戦の終結です。
しかしもっと大きいのは、イタリアの政治と経済を仕切っていたマフィアと秘密結社への戦いが進んだことです。この二つの裏の力には、改めて驚きます。検察と裁判(イタリアでは検察は内閣の下ではなく、この二つが同じ組織に属します)が、暗殺による多数の被害者を出しつつも、切り込みに成功するのです。
戦後長く続いた第一次共和制は、制度と主たる担い手とともに終わるのですが、第二次共和制への移行は混乱を極めます。
この項続く。

地方財政健全化法から10年

2018年4月4日   岡本全勝

4月1日の朝日新聞が「財政健全化法10年、自治体は今」を詳しく書いていました。
・・・自治体の倒産を未然に防ぐ。そんな狙いの地方自治体財政健全化法が施行されたのは、北海道夕張市が財政破綻(はたん)した翌年のことだ。それから10年。最悪水準の借金を抱える国と比べて、地方は指標上は財政再建が進んだ。ただ、緊縮財政で住民が流出する悪循環も起きている。健全化は、本物か・・・

記事によれば、標準的な収入に対する借金返済額を示す実質公債費比率でみると、新たな借り入れ(起債)に国や都道府県の許可がいる自治体は、2007年度の436から2016年度は15まで減り、2008年度に健全化法の黄信号にあたる早期健全化基準以上だった自治体は21が2013年度以降は一つもなくなりました。赤信号とされる財政再生団体の夕張市が残るだけです。

第二の夕張市を生まないこと、財政状況の悪化している自治体に健全化努力をさせることについて、成功したと言って良いでしょう。もっとも、国も地方も、総体的に赤字国債と赤字地方債に依存していて、財政状況は悪化したままです。

麻生政権の仕事ぶり

2018年3月28日   岡本全勝

日経新聞3月25日の風見鶏が「麻生氏不在の存在感」を書いていました。2008年のリーマン・ショック後の経済運営についてです。

・・・麻生氏ら当時の首脳の真剣ぶりを示したのが、日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の創設。リーマン・ショックから2カ月の早さで会議の開催までこぎ着け、結束を新たにした。国際金融の安定を守る国際通貨基金(IMF)の拡充は、日本の音頭でG20会議を舞台に進んだ。
石油危機後の経済を論じるため1975年に日米欧の首脳が集まったことに始まるのがG7の枠組み。G7は共通の価値観をもつ少数のメンバーが集まるのに対し、G20は成長著しい中国やインドも顔をそろえる。「G20会議は出席者が多すぎて言いっ放しになりがち。なかなか議論が深まらない」(国際金融筋)との不満はある。それでも、過去10年でG20はすっかり国際社会に定着した・・・

新聞は往々にして「政局」を追いかけることに熱心ですが、「政策」については関心が少ないことがあります。特に、国際政治や国際金融については、分かる記者も少ないようです。
当時、官邸で麻生総理の近くにいた者として、がっかりしたことを覚えています。
総理官邸ホームページに、いくつか記録が残っています。これは便利です。
麻生内閣」「経済への緊急対応」「主な政策体系

アタリ著『21世紀の歴史』

2018年3月25日   岡本全勝

調べたいことがあり、ジャック・アタリ著『21世紀の歴史』(邦訳2008年、作品社)を読みました。出版された時、本屋で手に取ったのですが、そのときは気が進まず。

フランスで出版されたのは2006年。世界金融危機を予言したと、有名になりました。今読んでも、適確な未来予想に、驚きます。
本の前半は、これまでの資本主義の歴史、経済と権力の中心がどのように移ってきたかを述べます。
後半は、未来予想です。民主主義、政府、国家が破壊され、放っておくと、混沌とした社会が出現すると述べます。市場・商品化の行き過ぎと、地域紛争によってです。
今まさに、進行していることです。市場経済と民衆の感情は、貧富の格差拡大や移民問題によって、放置しておくと、社会の安定が損なわれます。

この社会の分断を、どのように防ぐか。社会の統合(その基礎にある個人の満足。それは承認と再配分によるのでしょう)も、政治の重要な役割です。政治には、重い課題が突きつけられています(もっとも、対外戦争をすることで愛国主義に訴える手法はよく使われます。これには注意が必要です)。
経済成長がある時期にしか、民主主義は成り立たないという説もあります。20世紀の後半は、経済成長と両大国の支配とで、日本をはじめ多くの先進国や中進国にとって良い時代だったのでしょうか。

社会の動きや人の行動や感情を、管理することはできません。また、そんなことをしたら、怖い社会です。しかし、管理までに至らないとして、社会を制御すること、良い方向に導くことが重要です。

朝日新聞「しつもん!ドラえもん」、地方自治編

2018年3月20日   岡本全勝

朝日新聞1面右下に「しつもん!ドラえもん」という、子ども向けのクイズが連載されています。
最近は、「ちほうじち編」です。
3月20日の問は「自治体の収入の差を埋めるために、国が地方に配るお金のことを何というかな?」でした。
ありがとうございます。地方交付税の宣伝をしていただいて。
でも、小学生に分かるかな。