カテゴリーアーカイブ:行政

バス路線の維持経費

2021年3月20日   岡本全勝

3月13日の日経新聞、東日本大震災10年「被災地、弱る住民の足 高台の移転先にバス路線なく 補助金終了、自治体に重荷
・・・東日本大震災の被災自治体で住民の「足」となる交通網の負担が重荷になってきた。仮設住宅が集まる地区をつなぐバス路線整備に充てる国の補助金が次々と打ち切られ、支給対象だった宮城県気仙沼市など16市のうち少なくとも14市で再び自治体が負担する費用が拡大している。高台にある集団移転先など向けに路線を整備する余力は乏しく、住まいと交通網はちぐはぐな状態が続いている・・・

仮設住宅団地や高台の住宅地をつなぐバス路線に、国費で助成をしてきました。そうしないと、住民の足がないからです。記事では、2015年に10億円あった補助が、2020年には1億円を下回るそうです。減少分は、自治体の負担になります。

これは、被災地だけの問題ではありません。道路建設には巨額の予算が投入されるのに、鉄道やバスにはほとんど入れられていないのです。いくら道路を造っても、バスが走らないと、子どもや老人には意味がありません。提供者の論理でなく、利用者の論理で、総合的に考えることはできないのでしょうか。この問題は、このホームページで何度か取り上げています。「道路建設・管理と鉄道建設・運営との違い

「民間事故調最終報告書」

2021年3月19日   岡本全勝

アジア・パシフィック・イニシアティブ(船橋洋一代表)著『福島原発事故10年検証委員会 民間事故調最終報告書』(2021年、ディスカバー・トゥエンティワン)を紹介します。民間事故調報告書(2012年)に続く、第2弾です。民間事故調が「備え」に焦点を当てたのに対して、今回の第二次民間事故 調は「学び」に照準を合わせて検証しています。
私は原発事故には関わっていないのですが、船橋さんに呼ばれて、インタビューを受けました。少しだけですが、発言が載っています。復興過程においての話です。船橋さんは、ほかに『福島戦記 10年後のカウントダウン・メルトダウン』上・下(2021年、文藝春秋)も出版しておられます。

原発事故については直後に、国会、政府、民間の事故調査委員会が、詳しい報告書を出しました。しかし、まだ抜け落ちている問題、十分には検証されていない問題があると思います。それぞれの事故調は、なぜ事故が防げなかったか、冷温停止ができなかったかという、原発内の作業と官邸の指揮に焦点が当てられています。それは最も重要なことですが、原発の外で起きていた問題が十分に取り上げられていません。

一つは、事故当時の住民への避難誘導、国民への説明です。放射線で死んだ人はいないのですが、避難作業が適切でなく、避難途中で何人もの人が命を落としています。この責任を、明らかにすべきです。
もう一つは、避難指示区域の設定、賠償、復興についてです。これはまだ進行形ですが、10年経った今、一定の検証をしておくべきです。
政府が自ら検証しないとすると、国会や報道機関に期待するのでしょうか。

NHKウエッブサイトに載りました。

2021年3月18日   岡本全勝

NHKウエッブサイト、政治マガジン「死ななければ、帰れないのか」(3月17日掲載)に、私の取材が載りました。原発被災地、帰還困難区域の扱いについてです。

原発事故による放射線量の高い区域を、政府(原子力災害対策本部)は、3つの区域に分けました。放射線量が低く早く帰還できる区域(避難指示解除準備区域、緑色)、少々放射線量が高く除染をして帰還を目指す区域(居住制限区域、黄色)と、放射線量が高く当分の間帰還ができない区域(帰還困難区域、赤色)です。
このうち、解除準備区域と居住制限区域は、既に避難指示を解除しました。残っているのが、帰還困難区域です。

3つに分けたのですが、「避難指示解除準備区域、居住制限区域」と「帰還困難区域」とは、扱いが大きく違ったのです。前者は帰還することを前提とし、待ってもらう区域です。賠償も、待ってもらう間のものとして計算されています。
他方で、帰還困難区域は長期間帰れないことを前提に、賠償を払った地域です。故郷喪失慰謝料や、新しい土地での住宅建設について不足する金額も支払われています。多くの人も、それを前提に新しい生活を始めておられます。
その帰還困難区域で、放射線量が予想以上に早く減衰したので、帰ることができる地域も出てきたのです。これは、うれしい誤算です。しかし、まだ放射線量が高い地域もあります。
放射線量が下がって帰還できるようになったら、その区域は避難指示を解除することはできます。まだ放射線量が高いところを除染して避難指示解除を急ぐかどうか。そこで、記事にあるような問題が生じているのです。

この件については報道されているのですが、このあたりのことがきちんと書かれていないようです。当事者でない私が発言するのはおかしいかもしれませんが、取材に応じて、解説しました。

損保会社、損害査定と保険金支払いの進化

2021年3月17日   岡本全勝

3月9日の日経新聞に、「損保、災害支払い迅速に」「東日本大震災を機に初動改善 地震保険契約、なお7割」が載っていました。
・・・東日本大震災の発生から11日で10年が経過する。同震災は損害保険会社の地震への初動対応を磨く契機となった。デジタル技術の活用や新商品の開発により素早い保険金の支払いを実現し、被災者の生活再建を支える。一方、地震保険の契約率は全国平均でまだ7割にとどまる。地震大国における備えはなお途上だ・・・

東日本大震災では、損保各社が、被害の全容もつかめず、合計1万人もの社員を現地に派遣して、人海戦術で損害と保険金額を判定していました。
最近では、気象庁の数値を元に、被害予測を行います。「あいおいニッセイ同和損害保険。リアルタイム被害予測ウェブサイト cmap」。これは優れものです。
そして、被災者が写真などで自己申告し、現地に行くことなく査定が始まります。

10年間での対応の進化が表になっています。
事故の受付は、電話やFAXだったのが、スマートフォンで必要事項を入力に変化。
請求書は、郵送だったものが、書類や写真をウエブで送ることに。
事故対応は、現地に社員を派遣していたのが、リモートでできるようになり全国で分散に。
立ち会い予約は、電話で調整していたのが、行程を自動で算出するようになりました。

他方で、地震保険の普及が低い地域があることも指摘されています。また、3月13日の日経新聞の記事によると、火災保険に地震保険を併せて契約する企業の割合は、1%と大震災の前とほとんど変わらない。また日本の企業保険の保険料が国内総生産に占める比率は0.8%で、自然災害が少ないイギリスの1.1%より低いのだそうです。「日本は変われたか 大震災10年(4)ゼロリスク思想 油断招く

東北のすごいいちご

2021年3月17日   岡本全勝

NHKウエッブニュースに「東北のすごいいちご」(3月11日掲載)が載っています。
・・・真っ赤に熟れた大粒の甘いいちご。大好きなフルーツの1つです。「東北にすごい、いちご農家がいる」と聞き、現地に向かいました。どんないちごでしょう。
東京 新宿のデパート「伊勢丹」の“デパ地下”。
そのいちごは、和歌山産「まりひめ」や熊本産の「あその小雪」といった高級いちごとともに、フルーツ売り場の中央に構えていた。
形はきれいな逆三角すい。1粒1粒丁寧に包装されている。もっとも高いものは12個入りで税込み8640円・・・

・・・いちご栽培をはじめたきっかけは、東日本大震災だった。当時は33歳。東京でITベンチャーを経営していた。
岩佐さん
「10年前、変わり果てたふるさとの姿を見て、価値観が大きく変わりました。震災前から衰退が始まっていた故郷をもとに戻すだけの復興なら意味は無い。どうせやるなら、日本一、世界一を目指そうと考えた時、地元特産のいちごならできると思ったんです」・・・

取り上げられている社長の岩佐大輝さんは、先日「東北リーダーズ・カンファレンス2021に登壇しました」で司会をしてくれた人です。