カテゴリーアーカイブ:経済

催し物の経済波及効果

2025年4月18日   岡本全勝

大阪・関西万博の経済波及効果が3兆円と見込まれると、政府が発表しました。これ自体は、喜ばしいことです。来場者による消費や、工事費、人件費などを足し上げると、経済波及効果になるのでしょうか。

私の疑問は、万博による需要拡大が、純粋に上乗せになるのかという点です。
例えば、ほかの催し物に行っていた人が、万博に行くのなら、全体では消費は増えません。ある映画がたくさんの人を集めても、映画館に行く人の総数が増えないと、ほかの映画の分を食っているだけです。
訪日外国人が増えるなら、その分は純増と思いますが。ホテルが満杯状態だと、ほか旅行客を断念させているかもしれません。

工事費も、労働者不足で工事が遅れたという報道もあります。すると、労働者不足が足かせになって、日本全体の工事費は増えません。人件費も、万博関係で雇用者が増えたとしても、労働者不足ですから、どこかほかの職場の労働者を奪っているのでしょう。
このような影響は、経済波及効果の計算では、どのように扱われているのでしょうか。「催し物の経済波及効果2」へ

産業分類

2025年4月16日   岡本全勝

私は学生時代、産業分類として、第一次産業、第二次産業、第三次産業の違いを学びました。これはクラークの3分類で、ウィキペディアによると次のようなものです。
第一次産業 - 農業、林業、鉱業、水産業など、狩猟、採集。
第二次産業 - 製造業、建設業など、工業生産、加工業。電気・ガス・水道業
第三次産業 - 情報通信業、金融業、運輸業、販売業、対人サービス業など、非物質的な生産業、配分業。

かつてはこの分類が有効でした。「公共を創る」第41回で図1で説明したように、1950(昭和25)年では、第1次産業が49%、第2次産業が21%、第3次産業が30%でした。1970(昭和45)年には、それぞれ19%、34%、47%になりました。
1990(平成2)年では、第3次産業が6割になり、2015(平成27)年では、第1次産業はわずか4%で、7割が第3次産業です。産業の3分類は、意味を持たなくなりました。

現在、統計として使われているのは、日本標準産業分類のようです。そこでは、次のように大きく、20に分類されています。「大分類A~T
A農業,林業。B漁業。C鉱業,採石業,砂利採取業。D建設業。E製造業。F電気・ガス・熱供給・水道業。G情報通信業。H運輸業,郵便業。I卸売業,小売業。J金融業,保険業。K不動産業,物品賃貸業。L学術研究,専門・技術サービス業。M宿泊業,飲食サービス業。N生活関連サービス業,娯楽業。O教育,学習支援業。P医療,福祉
Q複合サービス事業。Rサービス業(他に分類されないもの)。S公務(他に分類されるものを除く)。T分類不能の産業

この中が、さらに中分類、小分類に分けられています。しかし大分類が20とは、多いですね。3分類なら、理解しやすいのですが。サービス業の中を、いくつかに括れませんかね。何か良い切り口はないでしょうか。試みておられる先学がおられたら、教えてください。

飲料自販機と回収箱

2025年3月29日   岡本全勝

孫と散歩中に、ジュースを飲むことがあります。自動販売機は便利です。ところが、横に、空き缶・空き瓶回収箱がついてない場合があります。さて、飲み終えた空き瓶はどうするか。

コンビニのゴミ箱や回収箱も、問題があります。あっても、多くはお店の中にあります。家庭ゴミを持ち込まさないためだそうです。しかし、ジュースを店内で飲むことはありません。それをやっている人は見かけませんよね。コンビニは狭くて、ゆっくり飲める空間もありません。ほとんどの人は、店の外で飲むでしょう。では、この空き瓶はどこに捨てるか。

私はリュックサックを背負っているので、入れて持ち帰ります。しかし、鞄などを持っていない人は、どこかに捨てるのでしょうね。
売るだけ売って、空き缶は他の人や事業者に回収させるのでしょうか。「外部不経済

「カローラ買えない」停滞ニッポン映す鏡

2025年3月15日   岡本全勝

2月27日の日経新聞に「「カローラ買えない」年収の半分に 停滞ニッポン映す鏡」が載っていました。

・・・トヨタ自動車の「カローラ」が日本の貧しさを映し出している。価格を平均年収で割った「カローラ価格指数」を算出すると、高度成長期を経て年収の2割台(0.2)まで下がったが、今は5割まで高まった。米国では3割のままで差が際立つ。大衆車の象徴の歴史を振り返ると、物価上昇に賃金が追いつかない日本の姿が見える・・・

1966年に売り出されたときは、495,000円。平均年収548,500円の0.9でした。
1979年には85万円で、平均年収279万円の0.27まで下がりました。1982年には、価格は同じですが、平均年収が319万円になって0.27まで下がりました。
その後は0.3程度で推移しましたが、2000年代に入って指数は上昇し、2019年では価格が240万円で、年収は436万円。指数は0.55になっています。
アメリカではこの指数は0.30で、日本の賃金の低さが目立ちます。

航空燃料不足の原因

2025年2月24日   岡本全勝

1月30日の日経新聞に「晴れぬ航空燃料不足リスク 成田の「直接輸入」阻む旧習」が載っていました。原因は、原料の不足でも、国の規制でもないようです。お米も、生産量は減っていないのに、流通量が減っているとのこと。

・・・2024年のインバウンド(訪日外国人)が過去最多を更新した。国はさらなる伸長を目指すが、楽観はできない。昨夏に突如顕在化した航空燃料不足の再発リスクをいまも解消できていないからだ。何が壁になっているのか。背景を追っていくと、機動的な燃料調達を阻む石油業界の独特な旧習が見えてきた・・・

・・・国内空港に新規就航や増便できなかった海外エアラインは24年7月に週140便あったがいったん週12便まで減少した。ただ訪日需要の高まりで24年9月下旬は週63便まで再び増加。複数の関係者によると、現在は訪日客の受け入れが多い新千歳空港や台湾積体電路製造(TSMC)の進出に沸く熊本空港など一部空港では今後の増便に見合うだけの燃料調達の懸念が残っているという。資源エネルギー庁幹部は「局所的な問題になっているが、燃料不足リスクは解決していない」と指摘する・・・

・・・この動きと並行して、NAAと伊藤忠は石油元売り、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)など成田空港の燃料施設利用者で構成する協議会のメンバーとの緊急オンライン会議に臨んだ。
このとき、一部の石油元売りが「安全第一」を盾にして緊急直接輸入にあらがった。
航空燃料の取引における品質管理は、英国にある非営利組織「ジョイント・インスペクション・グループ(JIG)」の定めが世界の標準となっている。最近の改定で、出荷地点で燃料を燃やして引火点を調べるなど「全項目試験」を実施すれば、受け入れる地での検査は外観、水分、密度、導電率の4項目をチェックする「簡易検査」ですませられるようになった。
業界団体の石油連盟もこの新規定を23年3月から採用していた。国交省とともに官民タスクフォースを仕切ったエネ庁の燃料供給基盤整備課長、永井岳彦は「このルールに従えばいい」との立場だったが、一部の元売りは日本でも厳重に検査するよう求めた。

航空燃料の輸入経路には2次基地と呼ばれる元売り各社の中間受け入れ施設でチェックを経て内航船で空港まで運ぶ。元売りはこうした取引に介在することで、収益が稼げる構図になっている。NAAと伊藤忠が外航船で直接空港に運ぶ前例をつくれば、大手元売りの独占的な商流が崩れるのではないか、との警戒感が募ったとしても不思議ではない・・・