カテゴリーアーカイブ:社会の見方

落とし物と届け出

2013年11月29日   岡本全勝

昨日、オリンピック誘致の際に、「日本では年間3千万ドルも落とした金が戻る」という説明に諸外国が驚いたと書いたら、今朝の朝日新聞に、次のような記事が載っていました。
東京の警視庁に確認すると、昨年1年間で、29億8千万円が都内の警察署に届けられ、このうち21億6千万円が持ち主に戻ったとのことです。ただし、落としたとして届け出たのは84億1千万円です。それでも、3割は戻っているのです。

外国に対する日本の売り

2013年11月28日   岡本全勝

講談社のPR誌『本』2013年12月号、高木徹さんの「国際メディア情報戦」「日本のハンディと資産」から。
ブエノスアイレスで開かれたIOC総会の場で、2020年の東京オリンピック開催を勝ち取りました。日本のプレゼンテーションの中で、IOC委員や海外のメディアにとって、最も印象に残ったエピソードは何かです。
・・私は「オモテナシ」ではないと考えている。それは、その後に語られた「東京では、現金を落としてもかえってくる」という話、それも1年で3千万ドル以上と具体的に強調したことだったのではないだろうか。
これは、あの場にいた日本人以外の人々にとって、驚天動地のことだったに違いない。私も世界のさまざまな国で取材し番組を作ってきたが、そんな国はどこにもない。特に日本ほどの経済規模を持つ大国では考えられないことだ。日本社会が他国と比較して飛び抜けて安全で平和なことは、いまや数少なくなった日本の「売り」の最大のポイントの一つだ・・
ただし、高木さんは、日本のハンディについても書いておられます。

いろいろな職場に導入できるカイゼン

2013年11月26日   岡本全勝

11月23日の朝日新聞経済欄に、「病院もカイゼン」という記事が載っていました。
「トヨタ生産方式」は、各現場で仕事の無駄を省くカイゼンを積み重ね、効率の良い生産や経営を目指すものです。これが、医療現場に導入されているのだそうです。
記事に出てきた病院では、患者が入院してきて手術をするまで(病室に案内されてから、説明を受け、術前処置が終わるまで)の待ち時間を、平均163分から26分に短縮しました。すごいですね。また、救命救急センターの6つの処置室ごとに、ばらばらだった注射針やチューブなどの置き場所を、物品ごとの名前を書いた2つの箱に入れ整理しました。これで在庫が一目でわかるようになりました。
まだまだ、他の分野でも、カイゼンを導入できそうです。

景気は気から、皆で縮こまると世界が小さくなる

2013年11月24日   岡本全勝

11月24日の朝日新聞「ベア検討、4社のみ」から。全国の主要100社への調査結果です。
企業の利益が増えています。その利益を、どこに振り分けようとしているのか、の回答です。設備投資が53社、従業員への還元が52社です。今年1~3月の政府の「法人企業景気予測調査」では、内部留保が6割で、従業員への還元は回答の6番目だったそうです。企業の意識が、はっきりと変わってきています。
新聞の見出しでは、企業が消極的な態度かと思わせますが、記事の内容は逆です(見出しの付け方に、難がありますね)。
この変化は、「景気は気から」と「合成の誤謬」で、説明できます。これまでの日本では、新興国の追い上げ、海外への生産の移転、デフレの下で、企業はコストカットの1つとして、国内での職員と給与の削減を続けました。他方、景気が良くならないと見通して、設備投資に消極的でした。そして、利益が出ても、内部留保にとどめたのです。各企業としては、正しい選択です。しかし、多くの企業がこの方針を続けると、
給与削減→消費者が使うお金が減る→消費が冷える→売れないと見越して企業が設備投資を控える→景気が悪くなる→給与を削減する→(繰り返す)となります。
企業が儲からなくて、内部留保がないなら、企業は倒産し、もっと深刻な事態になります。ところが、企業の業績は上がっているのです。すると、先ほどの悪循環・負のスパイラルを、好循環・成長のスパイラルに変えれば、良いのです。
みんなで、「これから景気は良くなるぞ」と思い、給料を増やします。すると、消費が拡大し、設備投資を増やす判断ができます。それがまた、景気を良くします。儲かったお金を貯め込んでいては、会社も発展しないし、経済も大きくなりません。お金は、使ってこそ、生きるのです。
もちろん、この解説は、ごく単純化したものです。例えば、売れない商品に設備投資しても、その企業にとって良い結果にはなりません。

東京オリンピックの持つ意味、もたせる意味、3

2013年11月20日   岡本全勝

あえて切り口を際出たせれば、次のようになります。
競技施設といったハードだけでなく、ソフト。一回きりのイベントでなく継続的なもの。スポーツ競技という肉体だけでなく、知的なもの。競技だけでなく、日本社会。
尾田栄章・元建設省河川局長は、オリンピックを機会に世界の英知を集め、世界の主要な関心事について、解決策を探る国際会議を始められないか。「英知の五輪」を提唱しておられます(読売新聞2013年10月10日、論点)。
スポーツ競技の大会であるオリンピックに、あまりたくさんのことを期待してもいけませんね。なお、オリンピックには、「文化プログラム」もあります。ロンドンの例
前回の東京オリンピックは、戦後復興を成し遂げ、世界の一流国へ仲間入りした成人式でした。でも、東京オリンピックが、それら経済的社会的意義を成し遂げたのではありません。しかし、そのシンボルになったのです。日本人の多くがそう考え、世界の人がそう見たのです。
次回2020年の東京オリンピックを機会に、日本社会の目指すべき姿と、世界の中の日本を考えてみたいのです。
50年前の先輩やご先祖様に「半世紀経って、日本はこうなりましたよ」と報告する。そして50年後の後輩や子孫に「私たちは、こんな日本を残したんだよ」と言えるように。