書類や研究には、二つの方向があります。一つは、より詳しく、細かく掘り下げる方向です。もう一つは、広い視野で、かつ簡単に説明する方向です。難しいのは、後者です。もちろん、前者の基礎がないと、単なる思いつきや「独自の見解」になってしまいます。
先日、近藤和彦先生(元東大の歴史の教授)の「グローバル化の世界史」という文章を見つけました。ウイキペディアをたどっていて、「世界の一体化」の参考に出ていたのです。この文章は、講演録を専門誌に再録されたようです。高校の世界史教育についての部分と、グローバル化の世界史についての部分からなっています。
この文章を紹介するのは、グローバル化をきわめて簡潔に説明しておられることとともに、世界史が20世紀に入って書き直されたことを、これまた簡潔に説明しておられるからです。2002年の文章ですが、古くなっていません。詳しくは原文を読んでいただくとして、世界史の書き直しは、次の3点を挙げておられます。
1 国史(各国がどう発展してきたか)という枠組みから、より広い範囲の中で捉え直す。
2 王侯や将軍、戦争や外交といった権力者とエリートの歴史から、普通の男女の日常生活を扱う。
3 どの国も同じレースをたどるという「ロードレース史観」から、複線的な道筋へ。
先生は、『イギリス史10講』(2013年、岩波新書。上に紹介したウエッブの記述に紹介されながら載っていない図表は、この本に載っています)、『民のモラル: ホーガースと18世紀イギリス』 (2014年、ちくま学芸文庫)、『長い18世紀のイギリス―その政治社会』(2002年、山川出版社)などを書いておられます。
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日本の国際化
古くなりましたが、6月14日の日経新聞夕刊に、「世界の留学生400万人突破」という記事が載っていました。ユネスコの調べで、他国の高等教育機関で学ぶ留学生が、過去12年間で倍増したのだそうです。
出身国は中国の69万人、インドの19万人、韓国の12万人、ドイツの12万人、サウジアラビアの6万人と並んでいます。以下、フランス、アメリカ、マレーシア、ベトナム、イランで、日本は3万人で22位です。外国に行かないと高度な教育や研究ができない国々と、先進国だけどさらに外国で学ぶ人たちの国の、2つの場合があるのでしょう。
他方で、受け入れ国は、アメリカが74万人、イギリスが43万人、フランスが27万人、オーストラリアが25万人、ドイツが21万人です。以下、ロシア、日本(7位、15万人)、カナダ、中国、イタリア、インドです。これを見ると、受入れでは、日本も健闘しています。留学生受入れを一つの産業と見ても、また日本を理解してもらってファンを増やすためにも、日本の生活文化を世界に広めるためにも、もっと力を入れても良いですね。それだけ高等な教育水準にあるのですから。文科省では、戦略を立てています。
また、6月20日の日経新聞には、「外国人株主3割超」という記事も出ていました。東京証券取引所が発表した2013年度の株式分布調査によると、外国人の日本株の保有比率(金額)は、2014年3月末で30.8%で、初めて3割を超え、金融機関の26.7%を超えて「筆頭株主」になったのだそうです。諸外国の状況と比較しなければ、日本の国際度はわかりませんが、かなり国際的になっているのですね。
どちらの数字も、外国の人たちが日本を評価している指標です。
医者の数
日本に、お医者さんって、どれくらいいると思いますか。総人口は1億2千万人です。人口1万人に1人とすると、約1万人です。千人に1人だとすると、約12万人です。
実際は2010年の数値で、29万5千人、約30万人です。30年前、1980年は15万6千人ですから、約2倍になっています。
問題は、これだけ医者が増えているのに、過疎地では医者が足らないことです。都会にばかり集中します。子どもの教育などを考えて、地方には行きたがらないのだそうです。う~ん。
専業主婦率2%の国
6月21日の日経新聞女性欄は、「専業主婦率2%の理由。スウェーデン、就労と育児先進国」でした。1971年に、課税制度が世帯単位から個人単位に変わりました。また、日本のような主婦に配慮した年金制度はなく、働かないと最低限の年金しかもらえません。ちなみに、日本の専業主婦率は38%です。
男性の育休取得率は、スウェーデンが90%、日本は2%です。子育てを支援する制度や国民の意識が、違うようです。
他国の意見広告
6月25日と7月1日に、朝日新聞に、アルゼンチン政府(大統領府)の全面広告が出ていました。
第1回目は「アルゼンチンは債務返済を継続したいが、継続させてもらえない」、第2回目は「アルゼンチン政府の公式声明文、アルゼンチンは支払う」という表題です。それを読むと、次のような状況のようです。
アルゼンチンは、財政が悪化し、2001年に債務不履行(国債を返済できない状態)になりました。その後、債権者との交渉で元本を減免してもらい、少しずつ返済をしていました。債権者の92.4%はそれに応じたのですが、残る7.6%は応じていません。応じない者の一人である投資ファンドが、全額の元利支払いを要求し、ニューヨーク地方裁判所がそれを認めたのです。一部の人にだけ有利な返済を認めると、他の債権者も黙っていません。そこで、この判決の不当性を訴えるために、各国の新聞に広告を出したようです。NHKニュース。
全面広告なので、読者の目を引きます。しかも、国家が出している意見広告です。観光の宣伝などはよく見ますが、裁判の結果について他国の新聞に意見広告を出すのは、めったにないでしょう。アメリカ新聞には、各国がいろいろな意見広告を出すようですが。