カテゴリーアーカイブ:社会の見方

グローバル化とグローバリズムの違い

2018年12月12日   岡本全勝

12月7日の日経新聞オピニオン欄に、クラウス・シュワブ世界経済フォーラム会長の「グローバル化、関与と想像力を」が載っていました。

「第2次世界大戦後、国際社会は一丸となって共通の将来の構築を目指した。現在、再び同様のことが必要になっている。
2008年の金融危機後の景気回復はもたつき、まだら模様だった。社会のかなりの人々が政治や政治家に対してだけでなく、グローバル化と経済システム全体に不満を抱き、怒りを募らせる。不安といら立ちが広がる時代には、ポピュリズム(大衆迎合主義)が人々を引きつける」
として、その次の段落で次のような趣旨を述べておられます。

すなわち、グローバル化とグローバリズムは、異なる概念である。
グローバル化は、技術や思考、人々、製品の移動が進む「現象」であること。
他方、グローバリズムは、国益よりも、ネオリベラリズム(新自由主義)的な世界秩序を優先する「イデオロギー」であること。

原文をお読みください。

変わる死因

2018年12月5日   岡本全勝

11月29日の日経新聞「死期先延ばし」の記事に、「進歩する医療、変わる死因」が載っていました。
そこに、日本人の主な死因のこの100年間の変化が、図になっています。大きな変化が一目瞭然です。

かつては、肺炎や結核がダントツでした。結核は不治の病と恐れられ、小説の題材にもなりました。それが、栄養状態の改善や薬の開発で、劇的に減りました。
脳卒中も、健康診断で高血圧の人を見つけ、塩分を減らす食事や血圧を下げる薬で減りました。
他方で、がんが増えています。これは、高齢化によって増えたと説明されています。人は、いずれは死にます。他の病気による死が減ると、残る病気が死因になるのです。

薬物、アルコール依存

2018年12月4日   岡本全勝

朝日新聞別刷りGLOBEの12月号が、麻薬を特集していました。そこに、世界と日本の比較が載っています。
大麻の生涯経験率は、諸外国では3割や4割くらいです。それに対し、日本では5%未満です。覚醒剤もアメリカが5%、イギリスが10%に対して、日本は0.5%です。桁違いに、日本は低いのです。ぜひ、この低さを保ちたいですね。

記事では、あわせてアルコールについても書かれています。アルコール障害は世界では5%、その半数(2.6%)が深刻な依存症とみられています。ハンガリーやロシアが9%、アメリカが8%です。日本は1%です。
興味深いのは、飲酒に寛容と言われる日本が、世界の半分なのです。アルコール依存や薬物依存は、規制すれば減らせるというものではないでしょう。

国民の意識が、それを支えていると思われます。
一つには、お酒には寛容でも、過度の飲酒はいけないという世間の意識です。もう一つは、薬物やアルコールに頼らざるを得ない(日本は頼らなくても良い)社会環境です。失業や将来に希望が持てなくなると、依存症になると思われます。
違法薬物は、取り締まりも重要ですが。
このような、社会の意識、文化資本を大切にしたいです。参考「社会の財産

単身高齢者世帯、全体の1割

2018年11月28日   岡本全勝

11月26日の日経新聞1面は、「単身高齢者、三大都市圏で1割超え」でした。

・・・一人暮らしの高齢者が大都市で急増している。日本経済新聞が国勢調査を分析したところ、三大都市圏(1都2府5県)は2000年以降の15年間で2.1倍の289万人に達し、15年に初めて世帯全体の1割を突破した。単身高齢者は介護や生活保護が必要な状態に陥りやすい。社会保障の財政運営が厳しくなる懸念が強まり、在宅を軸に自立した生活を支える「地域包括ケアシステム」の構築が急務となる・・・

詳しくは本文を読んでいただくとして。単身高齢者世帯が、急速に増えています。全国で1割ですが、過疎地域とともに都市部での増加が大きな問題になっています。
元気なうちは良いのですが、いずれ体力や知力が衰えます。家族と同居していると、世話をしてもらえるとともに、何かあったときは助けを呼んでもらえます。一人住まいでは、それができないのです。
これからの地域行政の大きな課題です。

社会史と政治史、喜安朗・川北稔著『大都会の誕生 ロンドンとパリの社会史』2

2018年11月26日   岡本全勝

社会史と政治史、『大都会の誕生 ロンドンとパリの社会史』」の続きです。

パリについては、喜安朗先生が19世紀の民衆運動を書いておられます。
フランス革命後、商工業の発展、市民層の台頭が、パリの風景を変えていきます。大通りが作られ、盛り場ができます。主役は、貴族から市民(金持ちとそうでない人と)になります。その盛り場を舞台にして、民衆の歓楽と騒ぎが出ます。それが暴走すると、1846年の2月革命となります。
歴史で学んだ2月革命が、より詳しく、その背景や民衆蜂起としての姿が描かれます。

この本を読むと、政治史がいかに狭い範囲を扱っているかがわかります。社会の変化を見るには、政治指導者たちの動きだけでなく、それを支えた、あるいは指導者たちが意識しなければならなかった民衆の意識や社会の問題を見る必要があります。
マルクス経済学は、経済という下部構造が社会と政治を規定しますが、これはあまりに短絡的すぎます。
これからの歴史学、政治史は、民衆と社会を対象としたものに変わっていくのでしょう。
関連記事「歴史の見方の変化」「加藤秀俊著『社会学』