カテゴリーアーカイブ:社会の見方

日本企業への信頼、東芝と経産省

2021年6月30日   岡本全勝

6月23日の日経新聞オピニオン欄、小平龍四郎・論説委員の「東芝、議決権介入で損なった国益 重なる日本企業の実情」から。
・・・東芝が25日に定時株主総会を開く。外部弁護士の調査報告は同社の2020年株主総会の運営が、海外の物言う株主(アクティビスト)の議決権行使に介入するなど、不公正だったと結論づけた。今年の総会に臨む多くの株主の胸のうちは、いかに。日ごろから情報交換をしている海外の市場関係者に聞いた。
「日本の企業統治(コーポレートガバナンス)は改善にはほど遠く、日本市場への信頼を再びなくした」(米国東部の公的年金基金)
「事実だとしたら日本企業そのものへの見方にも影響するだろう」(英国の有力機関投資家)・・・

・・・もう一つ共通するのは「これは東芝だけの問題ではない」という視点だ。もはや焦点は、総会で取締役が選任されるかどうかといった問題を超えている。「日本にはすぐれた統治事例も多い」(アジアの投資家)との見方もあるが、多くの外国人投資家にとって、東芝は日本株式会社の象徴になりつつある。
日本企業は旗色が悪くなると政官の盾の後ろに逃げ込み、異論の排除に動く。少なくとも排除のリスクがある。そんな見方が醸成されつつあるということだ。
日本市場で「コーポレートガバナンス」が強く意識されるようになったのは、1990年代のバブル崩壊後だ。証券会社が大企業の財テクの損失を穴埋めする「損失補塡」が発覚し、日本に好意的だった海外の投資家がいっせいに日本不信を強めた・・・

・・・92年にはカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)が、野村証券などに社外取締役の選任を求める動きも表面化。振り返れば、日本のガバナンス改革の出発点は証券不祥事だった。
委員会制度や連結決算、国際会計基準、社外取締役、ガバナンスコード……。約30年にわたって日本は改革を進め、不透明さへの批判をはね返そうとしてきた。
アベノミクス(安倍晋三前首相の経済改革)の一環として始動したガバナンス改革は、信頼回復の取り組みの仕上げにもなるはずだった。東芝問題は海外勢の日本企業・市場への見方を、30年前に引き戻しかねない。そうだとすれば、東芝の報告書が指摘した不適切な総会運営は、市場の観点で見た国益を損なうことにもつながる・・・

やさしい日本語

2021年6月27日   岡本全勝

6月16日の朝日新聞オピニオン欄、「やさしい日本語考」から。
・・・市区町村のウェブページや公共施設の案内などで、平仮名ばかりの文章を見かけることがある。「やさしい日本語」というらしい。目にすると、どうも奇妙な心地がする。幼児向けの本を読んでいるような……。日本語教育を専門にしている、言語学者の庵(いおり)功雄さんに聞いた。「やさしい」のは、誰のため、何のためですか・・・

――日本語を簡単にするのではなく、英語や中国語といった多言語で表示したり、話したりするのでは駄目なのでしょうか。
「国内に住む外国人を対象にした国立国語研究所の調査では、英語よりも日本語の方が『わかる』と答えた人が多いという結果が出ています。旅行者には英語が適していますが、長期定住者は日本語の方が理解しやすい。英語は日本人の側も得意とは言えません」
「それに、多言語といっても定住外国人の多くが話す主な言語だけでも20近くあり、すべてに応じるのは現実的ではありません」

――外国人のためだけでなく、日本社会にとってのメリットがないと取り組みは進まないのでは。
「少子化と人口減少に悩む日本にとって、日本人と同等の給料を稼いで税金を払い、家族で暮らす外国人を増やすことは極めて重要です。子どもたちはさらに大切で、遅くとも高校卒業時に同年代の日本人と同じ日本語レベルに達していないと、付加価値の高い職業にはつけない。不必要な難しさをそぎ落とした『やさしい日本語』をステップにして一定レベルに追いつけば、あとは自力で知識を得ることができます」
「その教育に税金が使われたとしても、能力を発揮できる大人に成長すれば財政や社会保障の担い手になります。逆に、もし日本語の習得に失敗すれば社会から孤立するでしょう。ここで考えるべきなのは『言語のバリアフリー』です。リターンできる人でなければ価値がないということではありませんが、持てる力を発揮できるようになるまでの『のりしろ』を社会が保障する、ということです」

多言語電話通訳企業勤務、カブレホス・セサルさんの発言
・・・多言語通訳サービスの会社で働いていますが、日本に初めて来た外国人をサポートするとき、最も説明に困るのが、印鑑登録や年金、健康保険の加入などです。制度や文化的背景を知らないと理解できません。日常生活でも、学校でなぜ上履きが必要なのか、何万円もする制服をどうして買わないといけないのか、分からない。
そんなとき、「日本ではこうだから。以上」で済ませるのは一番良くない。「やさしい日本語」は、日本人の側こそ意識する必要があります。日常使う日本語とは大きなギャップがあるでしょうが、まごころにならって、外国人に寄り添う気持ちになってほしい。
外国人と日本人の間には、言語の壁と文化の壁があります。実は文化の壁の方が圧倒的に高いのですが、まずは言語の壁を乗り越えないと、そこにたどり着けないのです・・・

流行に翻弄されない衣服

2021年6月21日   岡本全勝

6月13日の読売新聞「あすへの考」は、デザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏「ファッション界とニューノーマル「よい装い」紡ぐ持続可能社会」でした。

・・・ここしばらくの間、ファッションは果たすべき使命からかけ離れたものになっていました。装いとは、生活をしやすくし、人々を美しくして、個性を定義するものです。ファッションはそうした使命を失い、単なる商業性や収益性の追求に貪欲に突き進んできました。低品質の物を大量に生産し、消費者が本当に求めている物とは違う方向に走ってきました。
ファストファッションがその原因だとみています。ファストファッションは、流行を追い続けて常に新しい物を買わねばならないという風潮に消費者を巻き込みました。その結果、大量に衣服があふれ、短期間だけ着て捨ててしまう。全くの無駄遣いです。ファッション企業はもっと人間的な尺度で運営され、創造性やよい習慣を促すべきです。持続可能な行動を採るべきです・・・

・・・ファッション業界は今、立ち止まって考える時に来ています。コロナ禍の経験から学び、優先順位を見直すべきです。衣服は美しいと同時に心地よく機能的であるべきです。移り変わる流行に 翻弄されない物を作る必要があります。いつも着ていても長持ちするものを作ることが、ファッション業界が採るべき持続可能な道なのです。
ファッション業界が目指すべき方針は、「生産量を減らし、よりよい物を作る」ということに集約することができます。そのためには、長年の商習慣であるファッション業界の暦を変えなければなりません。
まずはショーの数を減らす必要があります。商品が店頭に並ぶ期間を長くして、販売時期が自然の季節の移り変わりと合うようにするのです。まだ寒いのに夏用のリネンのドレスが店頭に並んだり、暑いのに冬用のコートが売られるようなことをやめるべきです。
無責任な商習慣をやめて無駄を減らし、環境に有害で終わりがない異常な生産サイクルに終止符を打たなければなりません・・・

子どもを産み育てにくい国

2021年6月18日   岡本全勝

6月12日の朝日新聞が「日本「子ども、生み育てづらい」6割 欧州3カ国と国際調査」を伝えていました。
・・・日本と欧州3カ国で「子どもを生み育てやすい国と思うか」と質問したところ、日本は「育てづらい」との回答が6割を超え、他国より圧倒的に高い割合だったことが内閣府の国際調査でわかった・・・国際調査は5年に1回、少子化対策に役立てるため、内閣府が行っている。今回は昨年10月~今年1月に日本、フランス、ドイツ、スウェーデンの各国で20~49歳の男女を対象に実施した。日本では1400人近くから、欧州3カ国では約1千人から回答を得た。
「子どもを生み育てやすい国と思うか」との問いに対し、日本では「そう思わない」が61・1%を占め、フランスの17・6%、ドイツの22・8%、スウェーデンの2・1%と比べても、ずば抜けて多かった・・・

令和3年版 少子化社会対策白書」のトピックス「少子化社会に関する国際意識調査について」です。
子供を生み育てやすい国だと思う理由は、調査結果があるのですが、そう思わないという理由は載っていません。ただし、「そう思う」という理由のうち、他国に多くて日本に少ない項目は、次の通り。雇用の安定、柔軟な働き方、職場環境、所得保障、地域や社会の理解です。

韓国との相互不信

2021年6月17日   岡本全勝

6月9日の読売新聞が、韓国日報社との共同世論調査結果を載せていました。
・・・日韓関係を巡っては、「戦後最悪」と言われる状況に改善の兆しはみられない。日韓関係が「悪い」との回答は、日本で81%(前回2020年調査84%)、韓国で89%(同91%)となり、厳しい見方のままだった。「悪い」は両国ともに3年連続で8割を超え、高止まりしている。
相手国への信頼や親しみについて聞いた質問でも、日韓関係の行き詰まりを反映し、変化はみられなかった。日本で韓国を「信頼できない」は69%(前回69%)で、韓国で日本を「信頼できない」は80%(同83%)だった。相手国への親しみを「感じない」は日本で57%(同58%)、韓国で76%(同77%)に上り、相互不信は固定化している・・・

近年の変化も、図で載っています。日本では、2011年頃までは、良いと悪いが拮抗していました。韓国では、1995年にはかなり接近していましたが、その後は悪化したままです。「質問と回答