流行に翻弄されない衣服

6月13日の読売新聞「あすへの考」は、デザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏「ファッション界とニューノーマル「よい装い」紡ぐ持続可能社会」でした。

・・・ここしばらくの間、ファッションは果たすべき使命からかけ離れたものになっていました。装いとは、生活をしやすくし、人々を美しくして、個性を定義するものです。ファッションはそうした使命を失い、単なる商業性や収益性の追求に貪欲に突き進んできました。低品質の物を大量に生産し、消費者が本当に求めている物とは違う方向に走ってきました。
ファストファッションがその原因だとみています。ファストファッションは、流行を追い続けて常に新しい物を買わねばならないという風潮に消費者を巻き込みました。その結果、大量に衣服があふれ、短期間だけ着て捨ててしまう。全くの無駄遣いです。ファッション企業はもっと人間的な尺度で運営され、創造性やよい習慣を促すべきです。持続可能な行動を採るべきです・・・

・・・ファッション業界は今、立ち止まって考える時に来ています。コロナ禍の経験から学び、優先順位を見直すべきです。衣服は美しいと同時に心地よく機能的であるべきです。移り変わる流行に 翻弄されない物を作る必要があります。いつも着ていても長持ちするものを作ることが、ファッション業界が採るべき持続可能な道なのです。
ファッション業界が目指すべき方針は、「生産量を減らし、よりよい物を作る」ということに集約することができます。そのためには、長年の商習慣であるファッション業界の暦を変えなければなりません。
まずはショーの数を減らす必要があります。商品が店頭に並ぶ期間を長くして、販売時期が自然の季節の移り変わりと合うようにするのです。まだ寒いのに夏用のリネンのドレスが店頭に並んだり、暑いのに冬用のコートが売られるようなことをやめるべきです。
無責任な商習慣をやめて無駄を減らし、環境に有害で終わりがない異常な生産サイクルに終止符を打たなければなりません・・・