カテゴリーアーカイブ:社会の見方

本田由紀著『「日本」ってどんな国?』

2022年3月2日   岡本全勝

本田由紀著『「日本」ってどんな国? ――国際比較データで社会が見えてくる』( 2021年、ちくまプリマー新書)が、お勧めです。

帯に「私たちの「普通」は世界では「変」だった」とあります。家族の形、性別役割、学校での学び、友達、仕事などについて、統計数値を元に世界比較をしています。そして、日本の「普通」が、いかに世界とは変わっているかが示されます。
かつては、日本の特殊性は日本優秀論としてもてはやされたのですが、今や日本特殊論は日本の経済停滞、社会の不安の原因となりました。あれほど売れた「日本人論」が最近では、本屋に並びません。このホームページでは、高野陽太郎著「日本人論の危険なあやまち」を紹介しました。

ちくまプリマー新書は、中高生を対象としているのでしょうか。簡潔にまとめられていて、大人にとっても読みやすいです。長く書くのは体力があればできますが、簡潔にまとめるには知能が必要です。
なお、同じように数値で日本の現状を分析した本に、橘木俊詔著 『日本の構造 50の統計データで読む国のかたち』(2021年、講談社現代新書)

進まない学校でのデジタル教育

2022年3月2日   岡本全勝

2月15日の日経新聞に「学校パソコン、もう返したい 教師の本音「紙と鉛筆で」」が載っていました。

・・・義務教育の子どもにパソコンやタブレット端末を1人1台ずつ持たせる「GIGAスクール」構想が空回りしている。国の予算でばらまかれた端末を持て余す現場からは「もう返したい」との声も出る。日本の教育ICT(情報通信技術)はもともと主要国で最低レベル。責任の所在がはっきりせぬまま巨額の税金を投じたあげく、政策が勢いを失いつつある。
「紙と鉛筆でなければ頭に残りませんよ」。神奈川県の中学校にICT支援員として派遣された山本真理さん(仮名、40代)は、中堅教師から本音を聞かされた。日々の業務が山積みの学校現場にとってGIGAスクールは「国から降ってきた話」であり、前向きに受け止めるムードになりにくい。
一部の若い教師が関心を寄せても、学年や教科で足並みがそろわなければ「保護者から『不公平』というクレームがくるかもしれない」といった組織の論理が優先されがちだ。山本さんは「結果的にパソコン授業をやりたくない先生やデジタル機器を扱うのが苦手な先生に合わせる流れができてしまう」と実態を明かす・・・

そこに、地方分権と教育委員制度が指摘されています。
・・・教室や家庭で端末を具体的にどう使うか国に強制力はなく、成功事例を積み重ねて社会の支持を広げるしかない。端末は25年前後に更新時期を迎える。責任体制を明確にして政策を再起動しなければ、めったに使われないパソコンに巨額の税金を費やし、子どもたちの教育機会も奪うことになる・・・
・・・■日本の地方教育行政 戦後日本の教育行政では、都道府県や市区町村ごとの教育委員会が幅広い権限を握ってきた。ところが、審議の形骸化やいじめ事件への対応などが問題になり、2015年の法改正で首長が教育委員会のトップである教育長を任命する仕組みになった。GIGAスクール構想が軌道に乗るかどうかも首長の動きに左右される面がある。
首長には教育委員会と協議して教育の目標や施策を「大綱」にまとめる権限がある。萩生田光一前文部科学相は21年4月、端末が未配備だった自治体の首長に直接連絡したと明らかにした。「ぼーっとしている自治体」「納品はされたが学校ではなく自治体の倉庫にあるという首長もいた」などと言葉の端々に不満をにじませた・・・

でも、教育委員会制度は、戦後の占領政策でアメリカから輸入した制度です。アメリカでのデジタル教育は進んでいるのですから、制度の問題ではないでしょう。新しいことを受け入れない教員、教育委員会の体質に問題があるのでしょう。

日本語を大切に

2022年2月28日   岡本全勝

先日、コロナワクチンを受けに、会場に行きました。
係員の皆さんが、クビから札をかけています。そこには、「STAFF」とだけ書かれています。英語表記だけです。
会場に来るほとんどは、日本人です。「係員」と書けば良いものを。「英語にしたら、かっこよい」と思っているのでしょうか。拝外思想ですね。

その人たちに文句を言っても仕方ないと思い、何も言わずに帰ってきました。

事例研究の危うさ

2022年2月27日   岡本全勝

高野陽太郎「日本人論の危険なあやまち」」の続きになります。高野陽太郎著「日本人論の危険なあやまち 文化ステレオタイプの誘惑と罠」 (2019年、ディスカヴァー携書)に、次のような話が出ています。64ページ。

日本人の代表として野球の大谷翔平選手を出し、アメリカ人の代表として俳優のトム・クルーズさんを出します。これは、多くの人が納得するでしょう。
そして二人の身長を比べます。
大谷選手は193センチ、トム・クルーズさんは170センチほどだそうです。これで、日本人の方がアメリカ人より背が高いと、結論づけて良いのでしょうか。

高野先生は、いくつも「都合の良い事例」「変な証明」を取り上げて、日本人論のおかしさを指摘しています。

宇宙と時間の不思議

2022年2月25日   岡本全勝

意識はいつ生まれるのか」の延長で、カルロ・ロヴェッリ著『すごい物理学入門』(2020年、河出文庫)、『時間は存在しない』(2019年、NHK出版)、『世界は「関係」でできている』(2021年、NHK出版)を年末から、芋づる式に読みました。

書評などで、読みやすいと書かれていたこともあり。確かに文章は平易で、翻訳も良く、読みやすかったです。では、分かりやすかったかというと、そこまでは行き着きませんでした。
アインシュタインの相対性理論、ハイゼンベルクの量子論。説明を読むとなるほどそうなのかと思うのですが、頭の中には入りません。

場所によって時間の流れが違う?? 光は粒であり、決まった場所がなく確率だ?? 時間は存在しない、あるのは熱の流れ??
特に気になるのは、世界が物ではなく関係でできている、物ではなく出来事でできているという説明です。拙稿「公共を創る」で、公共とは施設や設備、法令や予算ではなく、私たちの意識が作っている、人と人との関係であることを強調しています。その参考にならないかと思って読んだのですが。少し次元が違いました。

いつか、宇宙の成り立ち、素粒子、重力、時間などが解明されるのでしょう。素人がすんなりと分かるようなものであってほしいです。