カテゴリーアーカイブ:社会

進まない学校でのデジタル教育

2022年3月2日   岡本全勝

2月15日の日経新聞に「学校パソコン、もう返したい 教師の本音「紙と鉛筆で」」が載っていました。

・・・義務教育の子どもにパソコンやタブレット端末を1人1台ずつ持たせる「GIGAスクール」構想が空回りしている。国の予算でばらまかれた端末を持て余す現場からは「もう返したい」との声も出る。日本の教育ICT(情報通信技術)はもともと主要国で最低レベル。責任の所在がはっきりせぬまま巨額の税金を投じたあげく、政策が勢いを失いつつある。
「紙と鉛筆でなければ頭に残りませんよ」。神奈川県の中学校にICT支援員として派遣された山本真理さん(仮名、40代)は、中堅教師から本音を聞かされた。日々の業務が山積みの学校現場にとってGIGAスクールは「国から降ってきた話」であり、前向きに受け止めるムードになりにくい。
一部の若い教師が関心を寄せても、学年や教科で足並みがそろわなければ「保護者から『不公平』というクレームがくるかもしれない」といった組織の論理が優先されがちだ。山本さんは「結果的にパソコン授業をやりたくない先生やデジタル機器を扱うのが苦手な先生に合わせる流れができてしまう」と実態を明かす・・・

そこに、地方分権と教育委員制度が指摘されています。
・・・教室や家庭で端末を具体的にどう使うか国に強制力はなく、成功事例を積み重ねて社会の支持を広げるしかない。端末は25年前後に更新時期を迎える。責任体制を明確にして政策を再起動しなければ、めったに使われないパソコンに巨額の税金を費やし、子どもたちの教育機会も奪うことになる・・・
・・・■日本の地方教育行政 戦後日本の教育行政では、都道府県や市区町村ごとの教育委員会が幅広い権限を握ってきた。ところが、審議の形骸化やいじめ事件への対応などが問題になり、2015年の法改正で首長が教育委員会のトップである教育長を任命する仕組みになった。GIGAスクール構想が軌道に乗るかどうかも首長の動きに左右される面がある。
首長には教育委員会と協議して教育の目標や施策を「大綱」にまとめる権限がある。萩生田光一前文部科学相は21年4月、端末が未配備だった自治体の首長に直接連絡したと明らかにした。「ぼーっとしている自治体」「納品はされたが学校ではなく自治体の倉庫にあるという首長もいた」などと言葉の端々に不満をにじませた・・・

でも、教育委員会制度は、戦後の占領政策でアメリカから輸入した制度です。アメリカでのデジタル教育は進んでいるのですから、制度の問題ではないでしょう。新しいことを受け入れない教員、教育委員会の体質に問題があるのでしょう。

日本語を大切に

2022年2月28日   岡本全勝

先日、コロナワクチンを受けに、会場に行きました。
係員の皆さんが、クビから札をかけています。そこには、「STAFF」とだけ書かれています。英語表記だけです。
会場に来るほとんどは、日本人です。「係員」と書けば良いものを。「英語にしたら、かっこよい」と思っているのでしょうか。拝外思想ですね。

その人たちに文句を言っても仕方ないと思い、何も言わずに帰ってきました。

家庭科での金融教育

2022年2月16日   岡本全勝

2月12日の読売新聞夕刊1面コラム「よみうり寸評」に、次のような話が載っていました。
・・・受験に必要だからではなく、豊かな人生を送るために勉強するのだとしたら、保健体育、芸術、家庭科は「主要3教科」と呼ばれるはず――高校の英語教師から家庭科教師に転身した経歴を持つ南野忠晴さんは、著書にそう 綴つづ る◆高校の家庭科が男女ともに必修となって約30年がたつ。暮らしの幅広い分野を扱うことから内容は時代とともに変化してきた◆人生100年時代を迎え、新年度からは金融教育にも踏み込む。教科書を開いてみると、株や投資信託を取り上げ、「確実な 儲もう け話はありえない」とリスクにも触れている。ところが教師からは「投資も資産形成も経験はおろか知識もない」と戸惑う声が聞こえてくる・・・

そうですよね。高校で習う数学や物理は知らなくても生きていけますが、消費者教育や家庭生活(家事や子育てなど)は知らないと生きていけません。インターネットのお作法なども、今や必須知識です。
私も学校では教えてもらわず、社会人になって先輩に聞いたりして見よう見まねで身につけました。金融は、銀行に預けることしか知りませんでした。ちなみに、私の高校は課外授業で、洋食のマナーを教えてくれました。これは、自信になりました。

スウェーデンの社会科の教科書を紹介し、人生で挫折した場合などの対応方法を教えるべきだと、連載「公共を創る」で主張してます。
かつては家庭や地域で身につけることができたのですが、今の世の中では無理です。多くの若者、いえすべての若者にとって、高校数学より消費者教育や家庭生活教育の方が重要だと思います。

高校生の就職、1人1社慣行

2022年2月13日   岡本全勝

2月4日の読売新聞1面に「高校生就活の「1人1社」、「見直す」は2府県のみ」という記事が載っていました。
・・・高校生の就職活動で、最初に応募できる企業を1社に限定する長年の慣行「1人1社制」について、2022年度以降に「見直す」としたのは2府県にとどまることが読売新聞の全国調査で明らかになった。
高校生の就活では、3年以内の早期離職者の割合は4割近くに上っている。今年4月に改正民法が施行され、成人年齢が18歳になるのを前に、47都道府県の教育委員会に1月下旬までの検討状況を尋ねた。
今年度、就活開始時から複数社に応募できたのは秋田、和歌山、沖縄の3県。今回、新たに大阪府と奈良県が「見直す」と回答した・・・

社会面には、「就職先 生徒が選択 納得感高めミスマッチ防ぐ」が載っています。3社の中から一つを選び、無事就職が決まった学生の事例です。
・・・山口教諭は「今の子どもは『でも、だって』と何でも人のせいにしがち。自分の道を決めるのは自分の責任だと、就職活動を通じて理解してほしい」と話す。
高校生の就活では、早期離職が多いことが課題だ。文部科学省などによると、昨春就職した高校生は約15万8000人で、就職率は97・9%。その一方で2018年3月の卒業生の3年以内の離職率は36・9%に上る。要因の一つは「1人1社制」によるミスマッチと指摘されている。

名古屋市の男性(23)もそのうちの一人だ。三重県の県立高校を卒業後、プラスチック製品のメーカーに就職したが、わずか2年で辞めた。
「自分に合う会社を教えてください」。先生に相談し、選んでもらった3社のうち、資本金が一番多い企業に入社した。どんな製品を作る会社か詳しくは知らず、配属された工場ではすぐに単調な仕事に飽きた。
今は人材サービス会社で働く。人と接する仕事に向いていると思ったからだ。成果に応じた報酬制度にも魅力を感じている・・・

日本の従業員の、職場への愛着度や満足度の低さの原因の一つだと思います。

おわびの過剰?

2022年2月11日   岡本全勝

今朝2月11日の朝日新聞東京版1面に、おわびが出ていました。
「降雪で配達遅れ おわびします
降雪のため、けさの新聞は特別輸送態勢を取りましたが、配達が遅れる場合があります。ご迷惑をおかけすることをおわびいたします。」

昨夜から大雪が予想され、電車の運休や高速道路の通行止めもありました。新聞配達が遅れることもあるでしょう。でも、それって、お詫びをすることでしょうか。新聞社にとって、避けることはできません。もし、通常通りに配達しようとするなら、とんでもない経費がかかるでしょう。
「降雪で配達が遅れることもあります。ご了解ください」というお知らせで、十分だと思います。

鉄道でも、人身事故や急病人救護のために遅れが出て、それを謝る放送があります。
これもおかしいです。鉄道会社の責めによる遅れなら、おわびをすること、そして再発防止に努めることが必要でしょう。でも、乗客の責任での人身事故や急病は、会社が防ぐことは無理です。

たぶん、新聞配達の遅れや鉄道の遅れに文句を言う客がいるので、会社としてはこのようなおわびをするのでしょう。でも、このようなおわびは、責任の所在を不明確にします。