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社会

40歳代の海外勤務

3月5日の日経新聞夕刊「40代、惑いの10年。一歩前へ」は、新興国市場開拓のために、現地に駐在する40歳代の日本人職員が増えていることを取り上げていました。アジアでは、2000年に6万人だったのが、2010年では13万人を超えています。
もちろん、現地での生活環境による苦労や、単身赴任での苦労もあります。仕事の流儀が違うことの苦労もあります。しかし、先細りになる国内市場にしがみついているだけでは企業に発展はなく、海外での経験は本人にとって大きな糧(財産、技能)になるようです。

昭和30年(1955年)、奈良の田舎生まれの私にとっては、東京へ出てくることが目標(ささやかな坂の上の雲)でしたが、現在では海外で活躍することが、夢を追う若者の目標なのでしょう。また、そうでなければ、日本の発展はないのでしょう。

日本の魅力

日経新聞1月10日連載「C世代駆ける」に、日本の大学や大学院に留学している外国人へのアンケートが載っています。
「日本にあって、あなたの国にないものは」という問いに対して、34%の人が「便利な生活環境」と答えています。次が「高度な科学技術」で19%、「謙虚な国民性」が17%、「治安の良さ」が11%、「将来への希望」が5%です。私たちが当たり前と思っている生活環境が、諸外国ではそうではありません。
同じ欄に、日本の学生に聞いた「未来に向け発揮できる日本の強み」の結果が載っています。1位は「技術力・ものづくり」で67%、次が「文化などのソフトパワー」で29%です。以下、IT分野、新型エネルギーや環境関連、かなり少ないですが、人材、外交力の順になっています。

経営の失敗例・選択と集中の誤り

日経新聞1月17日西條都夫編集委員の「一目均衡」は、「コダックはなぜつまづいたか」でした。コダックと言えば、かつては、世界一の写真フィルムメーカーでした。黄色のパッケージを、覚えておられる方も多いでしょう。富士フイルムやコニカより、はるかに大きな巨人でした。
その世界の名門会社が、倒産の危機に瀕しています。衰退の要因は、デジタルカメラの普及で、フィルムが売れなくなったことです。しかし、コニカも富士も、生き残っています。
原因は、関係者の指摘では、1990年代の失敗だそうです。コダックもいろんな事業を手がけていましたが、「選択と集中」原則によって、フィルム以外の事業を外に切り出しました。その時に、将来の成長の種も、社外に流出させたのです。例えば、近年需要が急拡大している液晶用の光学フィルムが、それに当たります。富士やコニカは、これで稼いでいるそうです。
難しいですね。一方で、本業以外に手を広げすぎて失敗した会社があり、他方で、集中しすぎて失敗した会社があります。
このコラムでは、もう一つの要因=政治力でライバルをねじ伏せようとしたことも、採り上げています。詳しくは、原文をお読みください。

脱成長モデル、日本が解を

1月1日朝日新聞オピニオン欄、カレ・ラースンさんのインタビューから。ラースンさんは、ニューヨークから各地へ広がった反格差社会運動「ウォール街を占拠せよ」の仕掛け人です。日本で10年近く暮らしたこともあります。
・・いまの日本はしょぼんとして見えるが、元来ものすごく創造性豊かな国だと思います。米国主導の経済モデルに取って代わるものを打ち出せるとしたら、おそらく日本しかない。経済成長が永遠に続くと思いこんできた米国中心のシステムは、もうダメになった。米国の衰退は、誰の目にも明らか。欧州債務危機を見てもわかる通り、G8とかG20とか世界の主要国がやっているのは、しょせん対症療法です。

「新経済モデルの構築を日本に期待するのはなぜですか」との問いに対して
・・成長一辺倒モデルの限界を、世界で最も早く体感した国だからです。高度成長を経て、バブル崩壊と20年の停滞。日本の困難を、欧州や米国は遅れて経験しているのです。いま求められているのは、壮大な構想力。経済成長が止まった後に、どう経済持続させられるか。解を日本が見つけてくれたら、若者が公園を占拠する必要はもうなくなります・・

作成者の意図と使う人の都合

公共用のトイレで、トイレットペーパーのロールが横に2つ並んでいる型のホルダーがあります。これは、一つのロールを使い切って紙がなくなっても、困らないようにという意図です。ところが、多くの人は、2つのロールが同じように減るように使います。すると、2つのロールがほぼ同時になくなることになって、設計者の意図に反する結果になります。これを防ぐのが、ロールを縦に2つ並べておいて、一つがなくなったら、次のロールが出てくるようにしたものです。D.A.ノーマン著『複雑さと共に暮らす―デザインの挑戦』(2011年、新曜社)に、書かれていました。
なるほどね。2つロールが並んでいる場合、多くの人は、片方を先に使い切って、もう一つの方を手つかずに残そうとはしないでしょう。必ずたくさん残っているロールを使うでしょう。すると、2つが同じ程度に減っていくのですね。