「明るい課長講座」カテゴリーアーカイブ

生き様-明るい課長講座

働き方改革は、仕事の仕方の改革

成果に結びつかなかった猛烈勤務」の続きです。

・・・リクルートも変わり始めていた。06年には「長時間労働風土改善キャンペーン」を実施。15年には「働き方変革プロジェクト」を立ち上げた。
その頃、リクルート住まいカンパニーの社長だった野口は率先して改革メニューに手を上げた。

ただ最初からうまくいったわけではない。まず取り組んだのが、パソコンやネットを使って自宅やサテライトオフィスなどで仕事するリモートワークの導入だった。カンパニーの全従業員を対象に試験導入したところ、仕事のパフォーマンスの低下という最悪の結果に終わった。「自律的に自分の業務を効率的に設計できる能力がないとできない」と悟った・・・

成果に結びつかなかった猛烈勤務

6月27日の日経新聞「リクルート 遺伝子への挑戦者(3)」「脱「モーレツ」に向き合う」から。
・・・「起業家精神」と並ぶリクルートホールディングスを象徴するワードが「モーレツ営業」だ。そんなモーレツ時代をくぐり抜けたミドルが働き方改革に向き合っている・・・

・・・「24時間戦えますか♪」。働き方改革担当の執行役員、野口孝広(51)は、こんな栄養ドリンクのCMソングが流れていた1991年にリクルートに入社した。
配属は人事部門。担当は新卒採用だった。当時のリクルートは社員約3000人のうち約1000人が新卒。野口は十分に休みを取れないまま、「1年中絶え間なく採用活動をしていた」。
3年たって住宅の広告営業部門に異動すると、モーレツぶりは加速する。「会社に泊まることもあったし、それが美徳みたいな雰囲気もあった」。不動産事業者の店舗に朝晩押しかける「夜討ち・朝駆け」は当たり前だった。

働き方に関する考え方が変わるきっかけになったのは10年ほど前に社内で行ったある調査だった。従業員の業務成果と勤務時間の関係を調べたところ、「何の相関もなかった。衝撃的だった」・・・
この項続く

夫婦円満の秘訣

5月8日の福島民報1面コラム「あぶくま抄」「奥会津水力館」から。
・・・会津若松市の東北電力会津若松支社の窓口にパネルが並ぶ。その一枚に夫婦円満の秘訣は「一緒にいないこと」と記されている。初代会長を務めた白洲次郎氏の言葉だという。互いに信頼し、自立する。夫は女房の前でも、かっこつけるべきだとも書かれてある・・・

「亭主元気で留守が良い」という名文句もあります。

会議のムダ

4月28日の朝日新聞オピニオン欄「カイシャの会議」が面白いです。

本文を読んでいただくとして、いくつか現場の声を紹介します。
・・・同じ議事で3回会議があります。親会社の幹部職のみで1回。組合の役員を入れて1回。関連会社を入れて1回。さらに各部署でその内容の報告会議のようなものも、存在します。1回で済ませろよとの印象を受けます。会議が仕事だと思っている人間が多過ぎです。どこかで聞いたようなセリフですが、会議室で問題が起こっているのではありません。現場を見てみろよ!・・・

・・・部局構成員全員で集まる会議が毎月あります。会議中、私語や内職・居眠りもよく見られ、長時間多人数を束縛してまで集まる意義を感じられず、座っているのが苦痛です。見直す動きが出てきて欲しいです・・・

末松千尋・京都大経営管理大学院教授の発言から。
・・・会議とは、明瞭かつダントツに、その企業の体質が見える場所です。10年ほど前、業務に関わるコミュニケーション全般の効率について調査しているときにそれに気付き、数値化して検証しました。
対象にしたのは、意思決定や業務執行の管理をする会議。実際に国内19企業の会議を調査し、会議の設計の明確さや、設計通り進められる体制かなどを検証しました。具体的には、目的は明確か、どこまで決めるかを設定しているか、進行役が決まっているか、終了時間が守られたか、決定事項がその後きちんと執行されるかなど、67項目について採点し2014年に発表しました。その結果は見事に業績と比例しました・・・

・・・欧米の伝統的な大企業では、リーダーシップを軸にした運営が主流です。社内のトップから現場まで、各階層に明確な責任と権限を与えたリーダーを配置。各リーダーは部下から情報と提言を広く集め、最後は個人の責任で取捨選択する。合意形成に基づかない意思決定は迅速で、リーダーが有能なら機能的です。
一方で近年、米シリコンバレーのIT企業に象徴される新興企業に、合意形成を軸とした運営形態が出てきました。彼らの勢いを見れば、リーダーシップ型より発展性が高い形態と考えられます。ただし、合意を重んじる運営は一歩間違えれば何も決まらず、迷走します。成功している彼らの会議を見ると、議事進行のスキルは卓越しています。
一方で実際、日本では合意形成が尊重されてきましたが、そのためのルールも社員の自覚も足りず、停滞する企業が多いように思います・・・

会議が目的になっていますね。対策は、拙著『明るい公務員講座 仕事の達人編』P44をお読みください。今日この会議で何を決めるのか、何を伝えるのか、目的を最初に明確にしておくことです。それが明確でない場合は、主催者か責任者が、会議をやめることです。

信頼が仕事を進める

最近目にした、信頼の重要性について。
日経新聞4月23日夕刊、コミュニティナースの矢田明子さんの発言から。
・・・費用を捻出するため仕事を見つけないといけません。小さな子供がいたので託児所付きの仕事を探していると、ヤクルト販売員の求人が目に留まりました。すぐにヤクルトのセンターに飛び込み、採用してもらいました。
営業販売の仕事は初めてです。三輪バイクで、まちのオフィスを回りました。ただ「買ってくれ」と言うだけでは誰も買ってくれません。最初は気持ちよくあいさつし、信頼関係ができて初めてお客さんは買ってくれる。関係をつくっていく大切さを学びました。この経験は、その後にコミュニティナースとして活動するうえで大きな財産になりました・・・

次は、ある会社(A社とします)の方の話です。
取引先(B社)が、競合他社(C社とします)から、A社に乗り換えてくれたそうです。その秘訣は何だったか。
B社が、改善点や要望について話すと、C社は「それは無理」「コストの問題もあり難しい」と答えることが多かったそうです。
それに対し、A社の担当者は、「貴重なご意見」と真剣にメモをとって聞いてくれました。これが、B社に評価されたのだそうです。

復興庁での経験を、『明るい公務員講座』(p175)に書きました。「信頼関係で満足度が上がる」
最初の頃は、復興庁は、被災自治体の首長たちからは、必ずしも良い評価をもらえませんでした。主な原因は、あまりにも被害が大きく復旧がなかなか進まないことや、これまでにない災害だったので政府も自治体も試行錯誤していたことなどでしょう。
ところが2年が経過した頃から、首長さんたちの評価が変わりました。「よくやっている」と、言ってもらえるようになったのです。
工事が突然進捗したのではありません。首長の要望をすべてかなえたわけでもありません。意見交換を重ねて、首長たちに「復興庁とは信頼関係ができる」と納得してもらえたので、評価が上がったのだと、私は推測しています。
なぜなら、この時点では、現地での復旧工事はまだ目に見えて進んではいなかったからです。計画策定や用地買収に、時間がかかっていました。そんな中でも復興庁への評価が良くなったのは、復興庁の職員が現地に出向いて要望を聞き、できることとできないことを整理したからだと思います。