カテゴリーアーカイブ:人生の達人

コミュニケーションと伝達との違い

2022年6月8日   岡本全勝

コミュニケーションは、いまや日本語になっています。辞書では、伝達・通信・交流・意思疎通など、情報が伝えられることと書いてあります。しかし、日本語のコミュニケーションは、伝達や通信といった情報を伝える意味ではなく、双方が述べ合って相手の言っていることを理解しようとすることに使われます。

すなわち、ある人が別の人に一方的に話をするだけでは、コミュニケーションとは言わず、相手に理解してもらうこと、あるいは理解してもらおうとすることが必要です。
それが問われるのは、双方に意見の違いや事実認識の違いがある場合で、それを前提に話し合うことが含まれています。
伝達ではなく、認識の相違がある場合の確認であり、共通認識を目指す作業です。

締め切りが仕事を進める

2022年6月2日   岡本全勝

5月16日の日経新聞夕刊コラム「プロムナード」、声優の池澤春菜さんの「我、締め切りを買えり」から。

・・・締め切りとは不思議なもの。
おそらく、締め切りが好き、って人は少数派だと思う。その数少ない1人が、わたし。
あ、でも、好き、というのとはちょっと違うかも。締め切りがないと駄目。締め切りが適度にある生活が好き。締め切り後の解放感が好き。
だって人は怠惰な生き物。いつでもいいよ、と言われれば、一生やらない。プライオリティを上げるには、外圧が必須なのだ。あとは脳の報酬系への刺激。締め切り後の「やったーーー、今回も乗り切ったぜ!」、これが何より効く。やらなきゃ、という緊張とそれからの解放、この繰り返しですっかり中毒になる。下手な嗜好品より遙かにヤバいかも・・・

職場の資料整理

2022年6月1日   岡本全勝

先日、職場の資料整理をしました。市町村アカデミーに来てから半年以上が経ちました。
私は、職場で説明を受ける際に、ほとんどの資料はその場で返します。そうしないと、膨大な資料が貯まるのです。とはいえ、いくつかの資料はじっくりと勉強する必要があり、また今後の検討のために保管する資料があります。これが結構貯まるのです。もちろん、私が職員からもらった資料は原本でなく、必要なら担当職員に声をかければもらえるのですが。

年度末や年度初めが、そのよいきっかけですが、学長に就任した当初は、それら資料の重要性の判断がつかず、また分類に悩んでいたのです。半年が経ったことと、新年度が始まったことで、私の仕事のおおよその見取り図ができました。そこで、自信を持って、捨てる判断ができるようなったのです。いくつか手元に置く資料を残して、残りは引き取ってもらいました。手元に残した資料は、分類別に半封筒に入れました。かなりすっきりしました。

職場での資料整理の重要性については、拙著『明るい公務員講座』第4章をご覧ください。心配はそこにも書いたのですが、電子情報の分類と保管です。定期的に整理(分類替え、廃棄)をしないと、どんどん貯まりますよ。もちろん公文書は保存しなければなりませんが、ここで対象となるのは公文書になる前の検討資料などです。
皆さんは、定期的に整理をしていますか。部下や上司に自慢できますか。

「楽」と「楽しい」は違う

2022年5月31日   岡本全勝

5月16日の日経新聞「先輩に聞く」は、医療法人社団焰の安井佑さんの「「楽」と「楽しい」は違う」でした。そこに、次のような発言が載っています。

・・・人は、今やっている仕事が自分の人生を豊かにしてくれると思えれば、どんなにキツくても楽しくなる。「楽」と、「楽しい」は違う。1日20時間の手術も楽しかった・・・

仕事もそうですが、スポーツなどもそうですね。楽な練習では強くなれず、強くなれると思うときつい練習も楽しくなります。登山も、低い山では楽でも楽しみは小さいです。
鉄棒の逆上がりは小学校の体育の授業で必須科目ではなくなっているようですが、多くの学校で、練習して成功体験を得させるために続けているとのことです(NHK「チコちゃんに叱られる」)。なるほど。

竹内行夫さんの外交証言録

2022年5月26日   岡本全勝

竹内行夫さんが「外交証言録 高度成長期からポスト冷戦期の外交・安全保障 国際秩序の担い手への道」(2022年、岩波書店)を出版されました。500ページ近い大著です。
かつては、官僚も回顧録を書くことがありましたが、最近では少なくなりました。残念なことです。政治主導は望ましいのですが、例えばこの本のように、この30年間の日本外交の軌跡を話し、書ける政治家はいるでしょうか。

竹内さんが活躍され、本書の対象となったのは、冷戦後期から、冷戦が終了し、その後の変動期です。日本外交も、アメリカに追随しておればよい時期から、大変動の時代を迎えました。
この間の日本外交を外から分析することも重要ですが、当事者の語る中からの記録も重要です。もちろん、一人の外交官が日本外交すべてを語ることはできませんが、携わった事案については最も詳しいのです。ただし、書けないこともあるでしょう。

「はじめに」で竹内さんも書いておられますが、回顧録は自己弁護や美化という恐れがあります。竹内さんはそれを避けるために、残してあった膨大な記録を基に、記者と学者の聞き取りに臨まれたそうです。

竹内さんは、奈良女子大附属高校の先輩です。宮沢内閣で総理秘書官を勤められ、私は宮沢内閣の村田自治大臣秘書官で、お世話になりました。その後、定期的にお話を聞く機会があり、尊敬する先輩です。