カテゴリーアーカイブ:人生の達人

組織運営の要諦1

2022年9月5日   岡本全勝

私は官僚になってから、組織を動かす立場や、新しく組織をつくって動かす経験をしました。その経験と、他の組織でうまくいっていない事例を比べて、組織を動かす要諦は、「集権と分散」「社風」の二つだという結論に達しました。企業にも当てはまると思いますが、ここでは役所を念頭に説明します。

「集中と分散」は、幹部がすることと、部下がするべきことを、はっきりさせることです。幹部が組織の目標を提示し、それを部下に割り振ることです。そして、部下の動き把握し、問題があれば修正し、新しい課題が見つかればそれに対応すること(新しい部下を置き、指示を出すこと)です。
幹部が何を処理するか、何を部下に任せるかの判断が、最も重要です。幹部がすべてに指示を出すようだと、部下は自主性を失い指示待ちになります。部下にすべてを任すと、部下は迷走します。

各省や自治体の組織の多くは、長い歴史と経験を持っています。その間に、各組織は何をしなければならないかが、幹部が明示しなくても、構成員と外部に共有されています。
ところが、新しく作られた組織や、××本部のように臨時で編成される組織は、下部組織や構成員が何をしなければならないかが不明確です。幹部が部下に対して、はっきり明示しなければならないのです。
既存組織で管理職だった幹部が、新しい組織に来て「何で、部下は動かないのだろう」と悩むのは、ここに原因があります。既存組織では暗黙知だったことを、新しい組織では明示しなければならないのです。

もっとも、幹部も、全体の方向性は理解していても、下部組織にどのように割り振るとよいのか、誰だどれだけ仕事ができるのか、できないのかは、分かりません。だから、常に部下との対話を通して、進んでいるのかいないのか、どこに問題があるのかを把握する必要があります。自分一人ではすべてを把握することは困難なので、代行してくれる「手下」が必要です。
また、部下からも、自主的に問題点が申告されるような仕組みと雰囲気をつくる必要があります。これは、要諦の2「社風」につもつながります。「組織運営の要諦2

今の職場では女性が活躍できる

2022年9月5日   岡本全勝

8月22日の日経新聞女性欄に、令和入社の女性社員1000人調査(下)「3人に1人「仕事や出世優先」」が載っていました。

今の職場では女性が活躍できる――。令和以降に大学や大学院を出て社会人になった女性の75.5%がそう感じていることが、日本経済新聞社の調査で分かった。また3人に1人は「仕事や出世を優先する働き方が理想」と回答。若手女性社員らが、女性活躍や昇進に前向きなイメージを抱いている様子が浮かんだ。
「今勤めている会社は女性が活躍できる職場か」との問いに「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えた人は、4分の3を占めた。

会社や社会は、着実に変わりつつあります。

夏休みの宿題と残業時間

2022年8月30日   岡本全勝

8月21日の読売新聞、森川暁子・編集委員の「自分に気づける 夏休みの宿題」から。

2018年、学習塾「明光義塾」が小学5年〜中学3年までの子を持つ保護者600人に、子供が前年の夏休みの宿題にどう取り組んだかを尋ねたインターネット調査がある。
「計画を立て、コツコツ」が34・2%で「計画はなく、気が向いたときに」が39・2%。案外ちゃんとしてると思ったが、「終了間近にまとめて」(15・7%)と「夏休み中に終わらなかった」(3・8%)を合わせ約2割ギリギリ組がいた。

兵庫県立大准教授の黒川博文さん(34)(行動経済学)らは16年、ある会社の協力を得て労働時間に関する調査を行った。回答者はオフィスワーカー146人。性格など個人の特性を尋ねる中で、子供のころの夏休みの宿題についても質問した。
残業時間と照らし合わせると、夏休みの宿題を遅くやった人ほど、午後10時以降の深夜残業時間が長かったという。「宿題をするのが遅いというのは、努力を後回しにし、楽しいことを優先することです。大人になっても一部、そうした後回しの傾向が残るのでは」と、黒川さん。残業の理由はそれだけではないだろうが、深夜にこの原稿を書きながら身につまされた。
「もちろん、ずっと変わらないわけではありません。どこかの時点で、つい後回しにする自分の癖に気付き、工夫して乗り越える人もいると思います。大事なのは気付くことです」

まだ宿題を追い込み中の人が、これからできる工夫はないか、黒川さんに尋ねた。
「『来週までに50ページ』といった漠然とした目標だけではなく『毎日5ページ』のように、具体的にできる範囲の目標を設定すると達成しやすい。強めの方法だと、スマホを家に置いて図書館に行き、宿題しかできない状況を作るというのもあります」
自由研究や工作などは「このテーマにする」と、決めないと始まらないのでさらにハードルが高い。
「いきなり『アイデアを出す』というのは大変です。5分でも、とにかく何かを書いてみるところから、でどうでしょう」

笠井康子さん、官庁と日本の雇用文化を破る

2022年8月28日   岡本全勝

日経新聞有価「人間発見」8月15日は、笠井康子・情報通信研究機構上席研究員の「科学でE・マスクに挑め(1)」でした。
・・・最先端電磁波の研究者であり異能人材育成の政策を進める行政官、宇宙に挑む起業家と多彩な顔を持つ。一貫するのは常に新しい世界に挑み、科学で社会をよくしたいという思いだ・・・

・・・いろんな仕事をしているので最近は、できるだけ名刺に書くようにしました。しかし「ここが私の場所」と思う場所はありません。笠井という人間がいて、たまたま今はこことここの仕事をしている、ということではないでしょうか。自分は既存の仕組みから、はみだしているのかなと思うこともあります。
研究は楽しいし、官庁の仕事は国を動かすやりがいがある・・・

・・・日本は「出るクイは打たれる」「失敗を恐れる」といわれます。でも「あの人は変だね」とニコニコしながら周囲に認めてもらえる環境をつくりたい。国としては初めての取り組みが多かったのですが、官庁の仲間たちの協力もあり、「破壊」という言葉を霞が関に持ち込み、失敗を許すことができるようになってきたのでは、と思います・・・

二種類の「がんばる」

2022年8月21日   岡本全勝

8月10日の朝日新聞文化欄「荒井裕樹の生きていく言葉」「「がんばる」には二つある」から。

その時々の社会状況に応じて、どんなふうに使われるかを観察し続けている言葉がある。「がんばる(がんばれ)」だ。
二〇一一年の東日本大震災の時、被災者の心中を慮ってか、多くの人がこの言葉を自粛したように記憶している。対して、コロナ禍ではむしろ積極的に使われてきた節がある。がんばる医療従事者、がんばる飲食業界、がんばる観光業者、といった具合に。

私見では「がんばる」には「はつらつ系」と「忍耐系」がある。前者は、当人が好きなことや望ましいことに打ち込む様子を肯定的に捉える際に使われる。後者は、当人が不幸な出来事に巻き込まれた際、くじけそうな気持ちを鼓舞するために使われる。
もちろん、両者の区別は曖昧で、普段は意識されることもない。だが、私はこの違いに自覚的でいたい。でないと、本当に必要な区別が付かなくなってしまうように思うのだ。