カテゴリーアーカイブ:人生の達人

階統制組織と平等的組織

2020年8月6日   岡本全勝

組織構成員の分類その3。階級の区別」の続きにもなります。
人が集まって、ある目的を達成するために集団を作ります。その際に、構成員が平等な組織と、上下関係をつくる組織があります。
前者は、議会や組合、同好会などに見ることができます。後者は、会社や役所などです。

後者の仕組みを「ヒエラルキー」と言いますが、会社組織にあっても前者のような仕組みをがあり、それを「ホラクラシー」(holacracy)というそうです。
ホラクラシーでは、対外的に会社を代表する社長・役員はいますが、会社内では肩書や役職が存在しません。仕事上のリーダーはいても、役職に基づく上司や部下がありません。経営方針なども、トップダウンで決定するのではなく、社員同士が相談して決めます。
ホラクラシーでは、自分たちで決めた規則に基いて行動します。その規則を守っている限りは自由度が高いです。サッカーを例えに説明する場合があります。「危険なプレーはいけない」「手を使ってはいけない」といった規則を守れば、どういうプレーをするかはチームも個人も自由に決められます。この項続く

 

心理社会的なストレスによる病気

2020年8月1日   岡本全勝

7月26日の読売新聞、中井吉英・関西医大名誉教授の「心療内科の神髄 体と心 患者さんに触れる」から。
「社会が複雑化し、ストレスであふれた現代。先の見えないコロナ禍も重なり、今後は心身の調子を崩す人がじわじわと増えることが予想される。ストレスが背景にある病気は、検査で異常が見つからないことも多く、診断と治療が難しい」

「ベッドサイドで手を握る。体をさする。大人もそれで安心します」
・・・心療内科医になって50年がたちました。でも、いまだに心療内科は多くの人に誤解されています。
精神科は、統合失調症やうつ病、不安症などの精神疾患が対象。神経内科は、パーキンソン病や脳梗塞こうそくなど脳神経系の病気を診ます。
一方、心療内科は、「体と心を分けずに診療する内科」です。主に心理社会的なストレスの影響で、体に不調が表れたり、もともとあった病気の症状が悪化したりした身体疾患(心身症)を診る「心身医学」を、内科の領域で実践します。心療内科医は名前の通り、内科医なのです。

1995年の阪神大震災の時、避難所の体育館に70代の男性がいました。被災後に血圧が高くなり、降圧剤を飲んでも上の血圧が180から全然下がらない。話を聴くと、地震で家が倒壊し、親友が目の前で亡くなった。その場面が何度もフラッシュバックとして現れ、1か月間、ほとんど眠れなかったといいます。私は彼の脈を診ながら手を握り、じっくりと話に耳を傾けました。その後に睡眠薬を処方すると、男性はぐっすり眠れるようになり、血圧も120台にまで下がりました。

人間関係の悩みからじんましんが度々発症していた30代の男性。夫の言葉による暴力から胸痛が表れていた50代女性。幼少時から親に甘えられず大量の飲酒を繰り返して慢性膵炎すいえんになった40代男性――。こうした患者さんたちは、医師が身体所見を正確に診た上で、心理面をはじめ、家族、学校、職場などの社会・環境まで見据えた「全人的医療」を行うことで症状が改善されるのです。
このような心療内科の診療で特に大切なのは、患者さんに「触れること」です・・・

テレワークの短所

2020年7月31日   岡本全勝

7月27日の日経新聞、西條都夫・編集委員の「一過性で終わらせない 希望と不安のテレワーク」から。テレワークの長所と短所が並べられています。

・・・これがテレワークの理想像とすれば、他方で負の側面も浮かび上がった。現時点で明確になったマイナスは2つあり、一つは(田中社長の感想とは正反対の)生産性の低下、もう一つは働く人の不安の増大だ。
前者については6月の内閣府の調査で「仕事の効率が上がった」と答えたテレワーク経験者が9.7%だったのに対し、「下がった」は47.7%に及んだ。他の調査でも同様の結果が出ており、これが緊急事態宣言解除後にオフィス回帰が急速に進んだ理由である。
背景にあるのは、「コロナによって、突然余儀なくされたテレワーク」による準備不足だろう。テレワーク研究で有名な米スタンフォード大のニコラス・ブルーム教授は生産性の足を引っ張る最大の要因は「子供」だという。
「うちにも4歳の男の子がいて、パパが家にいると遊んでほしくて書斎に乱入してくる。これは生産性の大きな妨げ」と教授はいう。ほかに「自室がなく家族共用の食卓で仕事をする」「通信状態が悪い」といった要因も大きく、家で働くための環境整備がテレワークの成果を引き出す前提条件であることが分かる。

「不安」については、職場における基盤が弱い若年層がより強く感じているのが特徴的だ。例えばパーソル総合研究所の調査によると、見えない場所で仕事をするので「上司から公正に評価してもらえるか不安」という人は50代では23%にとどまったのに対し、20代は43%に達した。
全員が会社に来ない一斉テレワークより、来る人と来ない人が混在する「まだらテレワーク」のほうが不安を助長するというデータもある・・・
・・・コロナによるテレワークの機運が一過性で終わるのは、やはり惜しい。日本経済の直面する人手不足やワークライフバランスの改善などの課題解決にテレワークは威力を発揮する。マイナス面を抑える取り組みが企業には求められる・・・

「明るい公務員講座」の活用

2020年7月28日   岡本全勝

何人かの人から、「明るい公務員講座に世話になっています」と報告をもらいました。民間企業の方からもです。新しく管理職になった人に、活用してもらっているようです。

・以前読んだときは「なるほど」と思うだけでしたが、管理職になって読み返すと、「そうそう、これだ」と思い当たるところがいくつもあります。
・数ヶ月に一度、読み直しています。そのたびに、違う発見があります。自分が悩んでいる事案にぴったりの文章に出会うときです。
・職員として事務を処理していた頃が懐かしいです。部下の仕事ぶりを見て、自分で処理した方が絶対早いのですが。ぐっとこらえて、見守っています。
・部下の仕事ぶりに、思わず怒りたくなります。「怒ってはいけない」と自分に言い聞かせています。
・自分が課長になってみて、かつての上司が何に苦労していたかがわかりました。事務処理だけなら楽なのですが、出来の悪い部下の指導ばかりです。

森ビル社長、生涯最高のプロジェクト

2020年7月28日   岡本全勝

日経新聞私の履歴書、今月は、現代美術作家の杉本博司さんです。杉本さんの本論とは外れるのですが、7月22日の掲載文から。

・・・私の作品を収集してくれているコレクターの方々が直島に集まる機会があった。森ビルの森稔社長と夫人で森美術館理事長の佳子さん、原美術館の原俊夫さんと、後に夫人となる内田洋子さん、大林組の大林剛郎会長、そして福武さんだ・・・
・・・その場を借りて皆さんに護王神社の構想を披露した。これは私の生涯最高のプロジェクトであると。すると内田さんがすかさず森社長に尋ねた。森さんの生涯最高のプロジェクトは何だったでしょうか。
森社長はしばらく考えた後、こうおっしゃった。「そうだなあ、佳子と結婚できたことかな」。皆ヒューヒューと囃し、佳子さんはそのほほをほんのりと染めた・・・