若手官僚の職場への不満の一つに、「技能が身につかない」があります。連載「公共を創る」第157回「官僚の役割ー現状分析」で、若手官僚の悩みを紹介しました。
この人たちを対象に研修の講師をする際に、内閣人事局の担当者たちと議論して、若手官僚の悩みを整理しました。それは、「どのようにしたら良い仕事ができるか」「どのようにしたら官僚としての能力が身に付くか」といったことよりも、次の三つでした。
・生活と両立しない長時間労働がいつまで続くのか。
・従事している仕事が国家国民の役に立っているのか。
・この仕事で世間に通用する技能が身に付くのか。
ここにも、技能を身につけたいとの希望、現状では身につかないのではないかとの不満がありました。ところで、彼ら彼女らは、どのような技能を考えているのでしょうか。私の経験では、最初の5年間は仕事を覚えることで精一杯でした。そしてその後も、勉強することばかりでした。
若いうちは、与えられた仕事を覚え、さらに現状の問題点を考え、改善することを考えました。その分野の第一人者になることを目指しました。
あわせて、上司や先輩の仕事術を学びました。よいお手本もおられましたが、反面教師もいました。それは、将来自分がそのような席につくための勉強でした。
そこで得た知識と技能が、他の職場で通用するか。それは、一概には言えません。もっとも、それは官僚の世界だけでなく、企業や民間団体でも同じでしょう。「技能を身につける2」に続く。
参考「官僚で身につく技能」「東京海上日動火災保険社員の転職記」の「損保社員の市場価値」