カテゴリーアーカイブ:行政

霞ヶ関に緊張関係を持ち込む

2007年2月11日   岡本全勝
「生活省をつくって、生活者保護を担わせる」と提案しました。この提案に対しては、業界を担当していたこれまでの省(事業省と名付けましょう)の方が知識が豊富なのに対し、生活省はそれだけの知識がないので、対等に戦うのは難しい、との批判があるでしょう。それは承知しています。しかし、対立する使命を担わせるには、組織を分けなければならないと思います。
今、霞ヶ関にあるこのような対立は、経産省対公正取引委員会、経産省対環境省でしょうか。違った角度では、分権推進の総務省対各省、構造改革についての経済財政諮問会議対各省や規制改革会議対各省などがあります。
省として分けるのが望ましいのですが、そこまで分けられないときは、同じ省にあっても、局や課を分けることがよいと思います。たびたび取り上げた医薬品については、厚労省のなかで医政局医薬安全局に分かれています。農水省に消費安全局があり、経済産業省に製品安全課などがあります(最近も、ガス湯沸かし器による事故が問題になっています)。そしてこれからは、消費者保護。生活者保護の政策分野が大きくなるべきなのです。それを担う組織を独立させることで、それがはっきり見えるのです。
生活省と事業省を対立させることについては、「今でも調整が困難な霞ヶ関に、さらに対立を持ち込むのか」との批判が出そうですが、これは必要な緊張関係だと思います。そして、国民の前にその対立を見せるのです。これまで、それを官僚同士で調整しようとしたから、問題解決が遅れたのです。
生活者保護だけでなく、構造改革についても、担当省をはっきりすべきでしょう。今は、経済財政諮問会議(それを助ける内閣府)や規制改革会議(それを助ける内閣府)が担当しています。これらの仕事を担う省を、はっきりと位置づけるのです。

省庁再編の軸

2007年2月8日   岡本全勝
これから行政の使命は、これまでのような業界振興ではなく、生活者保護になるべきではないか、というのが私の考えです。そこで、省庁再編も、この哲学に沿って行えないか、と考えています。「生活省」をつくり、生活者保護を担うのです。
今、暮らしという観点で、内閣府にある組織が「暮らしの相談窓口」としてくくられています。クリックしてみてください。そこには、男女共同参画、配偶者暴力、消費生活、個人情報保護、NPO制度、公益通報、食の安全、インターネット上での違法・有害情報、交通事故被害、学校生活・友人関係等、社会生活における深刻な悩み、といった事項が並んでいます。
これらを見ると、これまでの官庁とは違ったイメージを、持たれるでしょう。道路を造ったり、農地を整備する仕事とは違った役割が、求められているのです。そして、一般の国民には、これらの方が切実なのです。
もちろん、各省にもそれぞれの分野で、業界でなく生活者・利用者側にたった施策、窓口があります。これらを軸に、生活省をつくれないかというアイデアです。地方団体には、すでに、生活部とか県民部、市民局があります。
次回に続く。

業界振興から生活者保護へ

2007年2月8日   岡本全勝
私は、役割変化の方向の一つが、業界振興から生活者保護への転換だと思います。これまでの追いつき型行政・発展途上国行政では、業界を保護することで、各分野を振興しました。これは、工業・農業といった産業だけでなく、建設、運輸、金融、教育、医療といった分野もです。需要側でなく供給側を育成すること。この方法は、発展途上時代には効率が良かったです。しかし、その目的は達しました。多くの分野で、国が支援しなくても、民間は自ら活躍しています。独り立ちできるのです。
逆に、業界保護と消費者保護がぶつかった場合、官庁が業界寄りで、問題を大きくしました。公害問題はその典型です。水俣病でも、被害者救済が遅れました。最近では、薬害エイズの時の厚生省薬務局、不良債権問題の時の大蔵省銀行局、BSE牛問題時の農林水産省畜産局で、この問題がよく見えました。生活者や消費者より業界の利益を優先したと、批判されたのです。
そして、薬務局は解体再編、銀行局は大蔵省から分離、食の安全については内閣府に食品安全委員会を設置(食糧庁を廃止)しました。そこには、業界の振興と消費者の利益保護の2つの行政を、分離しようとする意図があるのです。もっとも、金融庁は、その2つが一緒の役所になりました。しかし、銀行などに対する業務停止命令を、たびたび発するようになりました。

行政の役割変化

2007年2月8日   岡本全勝
官僚の役割と評価」を連載したので、関連する行政の役割変化について、ここでまとめておきます。
これからの行政のあり方を考える際に、これまでの行政と使命や役割がどう違うか、を踏まえておくことは重要です。私は、明治以来、行政の使命は、欧米に追いつき追い越すことだったと考えています。そして、先輩たちはそれに成功しました。行政サービスや社会資本整備だけでなく、産業や文化、暮らしにおいても成功しました。しかし、追いついたこと・成功したことで、目標は達成しました。これが、「新地方自治入門」の主張でした。では、これからの行政の役割は何か。これが、今日のテーマです。

新しい仕事57

2007年2月8日   岡本全勝
8日の読売新聞夕刊「安心辞典」は、大津和夫記者が、大きく再チャレンジ支援を取り上げてくれました。支援プログラムを紹介し、「達成目標を掲げたのが特徴です」と評価してもらいました。また、カラーで働き方の人生双六もついています。なかなか良くできた図です。私たちが多くの言葉で説明するよりも、ずっとわかりやすいです。ありがとうございました。
もっとも、「いずれの事業も、各省庁が既定路線としていたものばかり。全体として寄せ集めの印象はぬぐいきれません。格差の固定を避けるためには、路線変更が難しい旧来の制度・慣習を改め、必要に応じて別の路線に乗り換えることができるような、柔軟な雇用制度が求められます」とも指摘されました。
御指摘の前段は、作成者として否定はしません。フリーターや女性の雇用対策は、今回始めたのではなく、すでに各省が取り組んでいました。私たちは、それを整理し、一覧表にしたのです。そして、それらを拡充するとともに、まだ足りないところを充実し、再チャレンジというパッケージで「大売り出し」したのです。それは単なる寄せ集めでなく、対象者別・手法別に整理したものです。ごった煮でなく、3本の大きな串に刺し、さらに細かく並べてあります。また、今や、そんなびっくりするような新規施策はありません。これらの施策を着実に実施するしか、道はありません。もちろん新しい良いアイデアがあれば、追加します。
指摘の後段は、私たちが訴えていることです。政府が予算や法律だけでは、改善できないものです。社会の慣行・国民の意識の変更なのですから。これも、様々なチャンネルで、働きかけていきます。
どうぞ、支援してください。政府公報より、こうして新聞が取り上げてくれる方が、国民意識への働きかけは効果が大きいと思います。