カテゴリーアーカイブ:行政

雑誌『行政法研究』

2018年2月20日   岡本全勝

宇賀克也責任編集『行政法研究』第20号(2017年10月、信山社)を紹介します。
第20号は、「行政法の課題」です。現在の行政法学の課題を、それぞれ第一人者が解説しています。目次を見るだけで、そして冒頭の宇賀先生による概要紹介(はしがき)を読むだけで、現状が分かります。
行政法の世界も、社会の変化にしたがって、どんどん変わっていきます。教科書では追いつけません。何が問題になっていて、どのような考え方になっているのか。それを知るために、このような概括は便利で、ありがたいです。

この雑誌は、宇賀先生が編集者になって、2012年から発行されている論文誌です。この号で、20号になります。
フランスなどでは、有力な研究者が編集者になって、雑誌を編集することが多いようです。宇賀先生のこの雑誌も、そのような試みでしょうか。
社会科学系の研究者が論文を発表するには、ジュリストのような商業雑誌、学会の機関誌もありますが、それぞれ制約があります。このような雑誌は、良いことですよね。もっとも、商業的には成り立ちにくいでしょうし、編集担当の先生にも大きな負担がかかるでしょう。
信山社からは、その他の分野、環境法、社会保障法、消費者法などの論文誌も出ているようです。

シェアリングエコノミーで地域活性化

2018年2月13日   岡本全勝

シェアリングエコノミーが、一つの流行になっています。「個人が保有している遊休資産の貸出を仲介するサービス。それもインターネットを介して行われるもの」というのが定義のようです。はやり言葉ですから、きっちりとした定義はありません。
これを活用して、地域活性化につなげようという動きがあります。
三井住友海上火災が、シェアリングエコノミー協会と、自治体向けに、先進的な取り組みを紹介するセミナーを開くそうです。
おしらせ プログラム

行政だけでなく、民間の知恵と力を活用して、地域を元気にしようとする試みです。
総務省でも、いろんな取り組みをしています。

トランプ大統領と中国と、リベラルな国際秩序

2018年2月11日   岡本全勝

2月8日の読売新聞「南シナ海問題と世界秩序の未来」、ジョン・アイケンベリー教授の発言から。
・・・リベラルな国際秩序は、問題が生じた時に支えとなる枠組みとして必要と考えられていた。自由貿易進展で経済が成長し、様々な国際条約が結ばれて大量虐殺が禁止され、人権が守られ、軍縮が進んだ。リベラルな国際秩序は世界の問題を解決してきたのだ。
だが、これまでの制度や枠組みは冷戦を前提に作られていた。グローバル化により民主化の発展段階や文化が違う多様な国家が秩序の中に入って機能不全を起こしている。また、リベラルな国際秩序は繁栄や安全につながり、労働者のより良い生活のためにも必要であったが、今やその関連が途絶えてしまった。グローバル化により途上国では富裕層が生まれた一方、先進国の中間層は所得が下がり、不平等が生じている。
リベラルな国際秩序が将来的に維持されるために重要なことが3つある。まず、国内問題と国際的な課題を関連づける。ナショナリズムと国際主義は相反するとされるが、国際的な課題に取り組むことで政府の能力が向上して国内問題を解決できることもある。第二に、新興国と先進国が貿易や新たな国際協定などで連帯を強めることも必要だ。そして、気候変動や核拡散など、(多くの国が)脆弱性を抱える課題に対応していかねばならない・・・

アイケンベリー教授の主張は、かつてこのページでも紹介しました。「勢力均衡や覇権主義でない国際秩序」「その2

浅野亮・同志社大学教授の言葉から
・・・中国が米国をしのぐ力を持った時、ウェストファリア体制(国家主権の尊重を基調とする伝統的国際秩序観)や既存の価値を尊重するのか、自国の狭い利益を追求するのかはわからない。いずれの場合も、中国の力が衰え、一帯一路で拡大した勢力範囲や社会整備基盤システムを維持できなくなった場合、何が起きるか、どのような崩壊プロセスがあり得るのかを考えないといけない・・・

人口減少地区でのサービス維持

2018年2月10日   岡本全勝

1月29日の日経新聞が、「小売店などの撤退で生活に支障をきたしている地域を抱えた自治体が4割に上ることが判明、自治体主導で店舗やガソリンスタンドを設ける事例もあった。小規模集落を抱えたところも多く、住民の生活をどう支えるのか試行錯誤している」と伝えています。「店舗閉鎖「生活に支障」4割 人口減市町村
調査対象は、2015年の国勢調査人口が、2010年に比べて10%以上減少した220市町村です。回答は175です。
市町村は、ガソリンスタンドや商店を設けたり、バスを走らせたりしています。集落が消滅する事例も出ていますが、住民が減った地域でどのように商業サービスを維持するか。新しい課題です。

地方議会の課題

2018年2月3日   岡本全勝

2月1日の朝日新聞オピニオン欄は、前長野県飯綱町議会議長・寺島渉さんの「地方議会は変えられる」でした。
・・・なり手不足を解消しようと、夜間議会、日曜議会、若手への報酬の増額などを始めている議会がありますね。形式的な改革ばかりをしても根本的な解決にはなりません。なり手がいないし、議員も多すぎるといわれるし、安易に定数削減をすると、二元代表制を弱める危険性すらあります。
今の地方議会には魅力がない。身近に議員がいなくて、話す機会もない、何をやっているのかわからない。そんな不信感から住民が議会から遠ざかっている。そこを改善しなければなりません。
地域の課題が変化しているのに、議員が変わっていない。昔は生活の基礎、農道や用水路のハード整備など鮮明な行政への要求がありました。現在は地域のインフラ整備も一段落し、子どもをどのように地域で育てるのか、高齢者の福祉をどうするのか、集落ではなく町全体で共通の課題を考えなければいけなくなった。そのために、議員は政策立案していくことが求められますが、その姿勢がない。首長の追認機関のままでいいという議員もいる。それが住民との間にギャップを生んでいます・・・

・・・議員を出す地域の機能が低下しているんです。集落は行政、農業、生活、住民自治の基礎ですが、若者が流出し、高齢化で基礎がぐらついている。昔は農協青年部の米価闘争など政治活動を学ぶ場所が身近にあった。
今はいかに個人がインターネットなどを使って稼ぐか。横の連携が弱くなって、集落の中で人々が個々に分断されています。集落が男性中心の運営で昔から変化しないことも問題です・・・