カテゴリーアーカイブ:行政

非常事後の増税準備

2022年5月6日   岡本全勝

4月19日の日経新聞経済教室は、佐藤主光・一橋大学教授の「増税の時期・選択肢、検討急げ ポストコロナの財政」でした。

・・・コロナ禍のなか、大規模な財政支出が続いている。政府はワクチン確保や感染対策に加え、国民一律10万円や持続化給付金などの支給、雇用調整助成金の拡充などを補正予算や当初予算の予備費で対応してきた。
非常時には積極的な財政出動が求められる。とはいえ、国の財政悪化は著しい。2021年度末の国の債務残高は1千兆円を超えた。国・地方を合わせた一般政府の債務残高の国内総生産(GDP)比は250%超と国際的にも高水準にある。

諸外国でも財政規模は拡大している一方で、財源確保に向けた動きもある。英国は法人税率を引き上げる方針だ。米国でも10年間で総額1.75兆ドル(約220兆円)規模の歳出計画の財源として大企業の法人税率引き上げや所得税・キャピタルゲイン税の最高税率引き上げなどを検討する。
対照的に日本ではコロナ対策で膨らんだ赤字国債などの償還を巡る議論が封印されてきた。岸田文雄首相は「新しい資本主義」の一環として看護師・介護職員などエッセンシャルワーカーの賃金引き上げを含む分配政策を重視するが、ここでも財源論を欠いたままだ・・・

対照的なのが、東日本大震災からの復興経費です。当初10年間で32兆円の経費が見込まれました。これに対して、復興増税、歳出削減、日本郵政株式会社株式売却などで財源を確保しました。国民も増税に協力してくれたのです。

損保会社の協力による罹災証明迅速化

2022年4月25日   岡本全勝

4月23日の読売新聞1面が「罹災証明 発行迅速に 自治体・損保 家屋調査一本化」を伝えていました。

・・・災害時の支援金受給などに必要な「罹災証明書」の発行手続き迅速化のため、内閣府は、自治体と損害保険会社の連携を推進する。災害時には証明書を発行する自治体と、保険金を支払う損保がそれぞれ被災家屋を調査しており、これらの一本化を進める。今年度に一部の自治体の先行事例を調査し、普及を図る。

罹災証明書は、市町村が被災家屋の状況を調査して「全壊」「半壊」などを認定する書類。災害救助法に基づく公費による応急修理や、被災者生活再建支援法に基づく支援金の受給に必要になる。
しかし、大規模災害では、しばしば自治体の調査負担の増大で発行に時間がかかる問題が指摘されてきた。例えば2019年秋に台風15号、19号などの被害に相次いで見舞われた千葉県市原市では、計約1万1500件の証明書の発行申請があり、発行まで約1か月かかる状況が生じた。
こうした中、一部で始まったのが損保会社と自治体の協力だ。三井住友海上火災保険(本社・東京)は21年から自治体向けサービスとして、水害時の保険金支払いのために調査した被災家屋の写真や被害状況を、契約者の同意の上、罹災証明書発行の資料として無償提供する協定を結んでいる。
同社によると、損害保険は調査から支払いまで最短3日で完了し、自治体の手続きよりも早い。既に全国45市町村がこのサービスを導入し、自治体によっては発行申請も同社経由で可能で、被災者による自治体への手続きは不要になる。
あいおいニッセイ同和損害保険(同)も20年、福井市と水害時の保険調査で撮影した被災家屋の画像などを提供する覚書を交わした・・・

このホームページで非営利団体との協働「NPOとの協働、地方の観光振興」、行政の企業との連携「コマツの被災地支援」を取り上げたところです。

コマツの被災地支援

2022年4月24日   岡本全勝

日経新聞私の履歴書、4月はコマツ特別顧問の野路國夫さんです。
東日本大震災では、コマツも東北地方の工場が大きな被害を受けます。建機は復興に欠かせません。陣頭指揮で生産を再開させるとともに、被災地に建機を送ってくださいます。21日掲載の「郡山工場 建機生産を継続 安全データ共有 復興最優先に」に書かれています。

22日は「被災地支援 東北行脚1年 現場に学ぶ 保育所や診療所の設置で協力」でした。私も、コマツが復興支援に力を入れてくださっていると聞いていたのですが、保育所の設置などにも支援をいただいていたのですね。ありがとうございます。そして、お金だけでなく手を動かす支援をしてくださいました。
野路さんは「民間企業が得意分野の経営資源とマンパワーを提供できれば、迅速な復旧が期待できると思う。」と書かれています。

これは、東日本大震災で政府が学んだことです。私も企業や非営利団体との協働の有効性に気がつき、どんどん助けてもらいました。
課題は、支援を申し出くださる企業や資源を持っておられる企業と、行政や被災地が求めているものとをつなぐことです。これが重要です。しかし、意外と難しいのです。お互いのことを知らない、どこにどのような資源があるのか、どこで誰がどのようなことを求めているのかが分からないのです。

NPOとの協働、地方の観光振興

2022年4月23日   岡本全勝

4月9日の日経新聞「データで読む地域再生」は「観光資源、NPOと磨く 企業参入少ない自治体で」でした。

・・・地方の観光振興の支え手としてNPO法人の存在が重要になっている。人口あたりの観光NPOの数で全国最多の鹿児島県は旅行消費額の伸び率が全国平均の3倍だ。民間企業が採算面で参入しづらい地域で、独自の観光資源を磨きあげようとするNPOの知恵と熱意は、新型コロナウイルス禍で注目を集める「マイクロツーリズム(近場の旅行)」時代に生きてくる・・・

過疎地域で、自治体が非営利団体と連携しています。民間企業がない、あるいは参入してくれない地域では、非営利団体は力強い味方です。
私もかつてはそう思っていたのですが、非営利団体・NPOと聞くと、ボランティア活動から連想して無償で活動する団体と思ってしまいます。それは間違いで、「もうけを会員で配らない」という意味です。すなわち、企業と同じように料金を取り、もうけを出してよいのです。違いは、そのもうけを会員に配らず、次の事業に充てることです。こうしてみると、非営利団体と企業とは、活動においてほとんど同じです。

1995年に起きた阪神・淡路大震災が、ボランティア元年と呼ばれました。2011年に起きた東日本大震災では、個人ボランティアだけでなく、法人格を持った非営利団体が大活躍しました。政府もそれらと積極的に連携して、被災者支援や町の復興に取り組んでもらいました。彼らには熱意や技術があるのですが、資金と信用力がありません。そこを、政府が補ったのです。
かつては「市民団体」は行政の敵とは言わないまでも、別世界の人でした。多くの人がそう考えていたのではないでしょうか。
東日本大震災での行政と非営利団体との協働は、その後の手本になったと考えています。この記事にある観光だけでなく、すでに孤立防止、引きこもり対策、子供の貧困対策などで、非営利団体の力を借りています。

孤独・孤立実態調査

2022年4月21日   岡本全勝

4月8日に内閣府が孤独・孤立実態調査結果を発表しました。各紙がその概要を伝えています。朝日新聞「孤独・孤立の実態調査の結果を公表

詳しくは発表資料を見ていただくとして、孤独感があると答えた人は4割です。孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人は男女とも30代が最も多く、70代が最も少ないです。

この調査は、孤独・孤立担当大臣が置かれて、政府が初めて行ったものです。政府に担当部局が置かれると、資料の収集や対策の検討がされ、また社会にこの問題と窓口があることが周知されます。解決への第一歩です。