カテゴリー別アーカイブ: 主な著作

地方財政改革論議

三位一体改革が、予想以上に進んでいるので、改訂の準備に入りました。出版後の動き(三位一体改革)については、進む三位一体改革-評価と課題」月刊『地方財務』(ぎょうせい)2004年8月号、9月号に載せました。これを加筆すればいいのですが、全体構造から変えようと思っています。目標は2005年春です(決意表明)。(2004年9月20日)→すみません。目標時期を秋以降に延期してください。(2005年5月5日)
いよいよ、着手しました。「三位一体改革-その成果と課題」(仮称)です。「地方財政改革論議」の改訂というより、その続きになります。(2006年9月24日)
と言いつつ、挫折してます。(2007年4月7日)
(お詫び)
すみません、挫折しました。8割ほど書き終えたのですが、出版時機を失してしまいました。「進む三位一体改革ーその評価と課題」を連載したので、それを加筆すればすむことだったのですが。私の怠惰のせいです。「三位一体改革の記録」として、出版しておきたかったのですがねえ。(2007年4月23日)

地方交付税-仕組みと機能

出版してから12年がたち、状況も変わりました。基本は変わっていませんし、今なお「もっともわかりやすい交付税の解説書」でしょう。もっとも、かなり状況も変わっているので、そろそろ改訂したいと思っています。「早く書き換えろ」とのご要望もあるので。
といいつつ、これも当分めどが立ちません。交付税課長を離れてから、詳しく追いかけていないのです。また、まとまった時間が取れそうにありません。

地方交付税-仕組と機能

『地方交付税-仕組と機能』1995年、大蔵省(現:独立行政法人)印刷局刊

地方交付税制度を、わかりやすく解説したものです。理解しやすいように、制度の仕組みだけでなく、機能、結果、歴史などの角度から多面的に解説してあります。地方交付税の基本的教科書になっています。
ただし、これも古くなりました。

目次
序章 地方交付税制度のあらまし
第1章 地方公共団体の活動と財政
1 地方公共団体の行政と財政
2 国と地方との仕事の分担
3 地方財政と国家財政
4 国と地方との財源配分
5 国と地方との経費負担区分
6 地方財政計画
第2章 税源の偏在と財政調整
第3章 地方交付税の総額
第4章 普通交付税の算定の仕組み
第5章 基準財政需要額
第6章 基準財政収入額
第7章 特別交付税
第8章 地域づくりと地方交付税
1 地域開発から地域づくりへ
2 特定地域に対する地方交付税措置
3 ふるさと創生と地方交付税
4 地域福祉と地方交付税
5 社会資本整備と地方単独事業
6 地域経済と地方財政
7 地方分権と地方交付税

地方財政改革論議

           2002年5月、出版社ぎょうせい刊
           2006年1月、第6刷

【有名になった拙著】
月刊「経済セミナー」(日本評論社)7月号が、「夏に読むこの1冊」を特集しています。財政分野の担当は橋本恭之関西大学教授で、拙著「地方財政改革論議」を取り上げてくださいました。
「日本社会の構造を大きく変える三位一体改革。・・・このような国と地方の財政関係を、なぜいま変えなければならないか、その改革がわれわれの生活にどのような影響をもたらすかについては、以下の3冊を読めば理解できるはずです」
「まずは、岡本全勝著「地方財政改革論議」をご一読ください。・・・この本では、地方交付税の基本的な仕組みを丁寧に解説したうえで、地方交付税に関する改革論議を紹介しています.・・・」
橋本先生、ありがとうございます。(2005年7月10日)
【第5刷】
拙著「地方財政改革論議」の5刷が出ました。このような専門書が売れるのは、地方財政、特に地方交付税の行方に、関心が集まっている証左だと思います。地方分権・地方財政の問題が、政府の重大課題に取り上げられるのは、ありがたいことです。一般の方が地方財政を理解して下さるのに、少しでもお役に立てれば幸いです。(9月30日)
1 最近の地方財政改革論議
最近地方財政、特に地方交付税の改革論議が高まっています。私は、次のような2つの要因によると考えています。
(財政的要因)
この時期に改革議論が高まった主な原因は、財政赤字の増大です。国家財政の急速な悪化から、経済財政諮問会議の主要課題の一つとして地方財政が取り上げられました(後の課題は、公共事業と社会福祉)。また、地方自治体にとっても、このような借入でによる財政運営は、持続可能か疑問がでてきたのです。
(社会的要因)
もう一つは、第1次分権改革が成就し、次なる分権は地方財政の分権だと認識されたからです。また、地方財政が「ナショナル・スタンダード」を達成したことも、もう一つの要因であると、私は考えています。
2 現在の地方財政の課題は、大きく言って二つ有ります。
 一つは、財政赤字の解消です。もう一つは、地方財政の自立です。
3 本書では、最近の地方財政改革論議を検証し、現在取り組んでいる交付税の見直しを解説するとともに、これからの地方交付税像を検討しています。
追補
その後の動きは、次をご覧ください。
「進む三位一体改革-評価と課題月刊『地方財務』2004年8月号、9月号
「続・進む三位一体改革」同2005年6月号
また、次も参考になります。
「近年の地方交付税の変化」月刊『地方財政』2004年1月号

「地方財政改革論議」

 「地方財政改革論議ー地方交付税の将来像」
目 次
第一章 財政再建
一 借入金の増大
二 借入金の縮小へ
第二章 地方交付税の課題
一 交付税批判の整理
二 総額論
三 算定の簡素化
四 行革努力と財源確保努力
第三章 地方税財源の充実強化
一 分権改革の次の課題
二 選択肢(税源移譲)
三 今後の方向
第四章 将来に向けて
一 「交付税問題」の原因
二 地方財政の課題
 1 地方財政改革の目標  2 団体自治の観点から  3 住民自治の観点から
三 地方交付税の将来
 1 改革のシナリオ  2 生じる問題と対策  3 これからの地方行政論

新地方自治入門 補足3

【街の醜さ】
朝日新聞7月6日夕刊に文化欄に、丸谷才一さんが連載「袖のボタン」で「内の美と外の美」を書いておられました。
古代日本語では、所属の助詞が2つあったとのことです。一つは「我ガ背子」のガで、自分あるいは自分に近いものを受けます。もう一つは「諸人ノため」のノで、それ以外のものを受けます。前者を内扱いのガ、後者を外扱いのノというのだそうです。
そこから始まって(このあたりが格調が高いですね)、日本人にとって内と外の区別は重要で、しかも内を重んじ外を軽んじてきたことを論じておられます。そして話は、都市景観の醜さに発展します。日本人の坪庭の思考と、西洋建築の外見を重んじる思考との差です。電線類の醜さを取り上げ、海外旅行に行っても見方が変わらないことを指摘しておられます。(2004年7月18日)
【第7章】
社会的共通資本(p193)については、
内閣府国民生活局が、15年8月に「ソーシャル・キャピタル-豊かな人間関係と市民生活の好循環を求めて」(2003年8月、国立印刷局)をまとめ、出版しました。
宮垣元著「ヒューマンサービスと信頼-福祉NPOの理論と実証」(2003年11月、慶應義塾大学出版会)が、教育や福祉といった対人サービスにおける、信頼・情報・NPOの機能を分析しています。
そこでは、福祉サービスが家庭から行政へ「外部化」することによって、信頼の役割がどのように変化するか、NPOの場合はどうかなど、をわかりやすく分析しています。また、コミュニティを、「地域コミュニティ」と「テーマ・コミュニティ」に区分するなど、示唆に富んでいます。(2003.11.24)
【文化の効果】
14日の読売新聞「地球を読む」で、白石隆京大教授が「韓流と東アジア、文化が一大産業に」という題で、韓国ドラマなど文化商品による、東アジアの「一体化」「均質化」、アジア人意識の形成を論じておられます。(2004年11月15日)
【第8章】
山脇直司先生が、「公共哲学とは何か」(ちくま新書)を出版されました。先生は、東京大学大学院総合文化研究科授です(3月まで私も客員教授を勤めていました)。先生の主張は、
①公私二元論でなく、政府の公・民の公・私的領域の三元論
②経済・科学・教育などにおいても、「公共性」が必要であること
③学問においても、現状分析だけで終わらせる実証主義や、批判だけして対案を提示しない批判主義でなく、「現状分析」と「あるべき社会像の追求」と「実現可能性の探求」を考えるべき
④「公共性と個人の関係を重視する」。滅私奉公でも滅公奉私でもない、「自己-他者-公共世界」論。中間集団の重視、などです。
拙著「新地方自治入門」(第7章地域の財産とは、第8章公の範囲は)での主張と、大きく重なっています。意を強くしました。ご関心ある方は、ご一読ください。
私は、「政治をシステムとして理解する現在の政治学」に不満を持っています。大学の講義でも、政策=アウトカムを分析の軸に据えました。拙著では、p280以下で触れています。(2004年5月9日)
【第10章】
日本の政治のページをご覧ください。